第三章 バミュール邸での密議 1-2
「それ以上チュウーイを酷い目に遭わせないでくれ、そいつはなにも知らない。三月前にいかさま博打でドジを踏んだところを、たまたま居合わせた俺たちが金を出して助けてやっただけの仲だ。それに恩義を感じて、昨夜も手を貸してくれた律儀で可愛いやつなんだ。大事な友達なんだよ」
仲間の一人が見ていられないとばかりに、顔をくしゃくしゃにして声を上げた。
女と逃げようとしていた張本人は、ウェッディン・サイレン家の嫡男のヴィクターであること。自分たちはそれぞれ名のある貴族の子息で、子供の頃からの遊び仲間だという話しだった。
手下からそれを聞いたクエンティは、賭場に出入りしている博打好きの不良貴族を連れて来て、秘かに本人確認をさせた。
その結果、ウェッディン家の嫡男ヴィクターで間違いがなく、他の奴らも商務長官の三男だったり、外務卿次官の末の弟、地方の領主の長男だということが判明した。
その貴族には借金をチャラにするのを約束して、ここで見たことは絶対に他言しない旨を誓わせた。
何からなにまで行き届いた行動だ。
驚くことに白状した通り、全員がれっきとした上級貴族の子弟ばかりであった。
そこまで確認したクエンティは、すぐにヴィクターを使いウェッディン家と接触することを思い立ったのだという。
どう考えても大公アーディンは、ウェッディン家の者たちから軟禁されていることは確かだった。
そのウェッディン家にあって次男のフェリップだけは、当主と意見が合わずに館に引き籠り、上洛軍にも加わっていないのは独自の調べの結果分かっていた。
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