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第二章 草原の戦い 4-5



 ウォーホーの振るう〝ジ―クシード〟は益々赤さを増して行く。

 唸りをあげて降り降ろされる鉄柱を、オギィロスの〝ロッドゲヌス〟が真正面から受け止める。


「いいねえ、これくらい手応えがないと闘ってる甲斐がない」

 撥ね返しざまに、突風のような穂先がウォーホーの頬を掠める。


 間一髪で躱しつつ〝轟ッ〟と横殴りに鉄柱が襲ってくる。

 オギィロスの槍の柄が、下から鉄柱を()ち上げる。

「こんな打ち合いをしていても、いつまで経っても決着(けり)はつかないようだ」

 ウォーホーが笑いながら、馬間を広げる。


「そうだな、お互い技量は五分五分のようだ。ここらで一発勝負と行くか」

 相手の意を察したように、オギィロスも相手との距離を取るように馬を歩ませる。


「お互いの気力が最高潮に達したら、最後の勝負としよう」

「わかった、だが殺すにゃ惜しいなあんた──」

 オギィロスの言葉に、照れたようにウォーホーが微笑む。


 十分に距離を取った両雄が、静かに睨み合う。

 右手一本で大上段に構えられた〝金剛神柱・ジ―クシード〟が、ヘラクリウス神刀特有の闘気を具現化させる発光現象を更に高める。


 鉄柱の周りに漂うゆらゆらとした赤い気が、まるで炎のように大きくなる。

 一方の〝豪槍・ロッドゲヌス〟もオギィロスの闘志を受け、目には見えぬ神気のようなものが凝り固まり出す。


〝吧っ〟


〝勢っ〟


 同時に馬が奔り出す。


 鉄柱に炎のようだった気がぐるぐると纏わり付き、まるで大きな咢を広げた竜のように見える。

 ロッドゲヌスからは神々しいばかりの神気が、周りの空気さえも凍らせるように放出される。


〝!〟


 お互いの得物が繰り出された刹那、目に見えない閃光が辺り一面を覆った。


〝どさっ〟


〝ずだんっ〟


 両者の身体がまるで強い力で弾かれたように吹っ飛び、馬上から飛び跳ねるかのように地に落ちた。

 互いの気と気がまともにぶつかり合った結果であった。


 俯き横臥っているオギィロスの身体からは、まるで火傷でも負っているかのように、ブスブスと湯気が立っている。

 大きく大の字になって斃れているウォーホーは、全身がズタズタに傷ついている。


 両者とも息はしているものの。これ以上闘える状態ではなかった。

 駆け寄り救け起こそうとする兵卒を制して、よろよろとウォーホーが立ち上がる。


「手助けは無用、わが身くらいは自分で支えられる」

 俯せに臥しているオギィロスも、手を振れた兵を邪険に払い除けむっくりと身を起こす。


「俺に触るな、向うさんが一人で立ってるんだから格好がつかねえだろ」

 立ち上がった二人が、ぼろぼろの躰で互いを見つめ合う。


「ウォーホー、これでまた張り合いのある毎日が送れそうだ。今度やったら俺が勝つ、首を洗って待ってな」

「いつでも相手になってやる、あんたとならなん度やり合ったって楽しめそうだ。一つ約束して欲しい、こんな味方同士みたいな意味もない戦で命を落とすなよ」


「お互いにな──」


 ザンガリオス鉄血騎士団の六勇将筆頭ウォーホー・ヘイム=リューテムゼンと、リッパ―騎士団の生き残り、オギィロス・ボルセイス=カーネルディオ男爵の勝負は、互いに戦闘続行不能で痛み分けとなった。



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