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第60話「その罪人の子、涙を流す」

アオ:後悔は決して消えない。なら、私は。

カンナ:めちゃくちゃお久しぶりですお忘れじゃないですよね? ヒロインですよなんて冗談ができないほど号泣してます。

ネネ:話を聞いて引っ掛かっている事がある。まさか……。


 前回のあらすじ。こんなに長くするつもりはなかった(by作者)


 一体、アオが何したっていうんだ。

 そんな思いしか湧き上がらないほどわたしは怒りと悲しみで顔をぐちゃぐちゃにした。


「おい、そんな泣くなよ」

「ヒッグ……な、泣くに決まってるでしょっ! 泣かないわけ無いじゃん! アオのバカ!!」

「あ? 何だ久しぶりの登場だっていうのに早速消えたいのかこのガキ」


 言葉だけ聞けば怒ってそうなのに、アオの声は酷く優しかった。淡々と語ったアオの過去のお話がこんなにも苦しみで溢れているなんて思ってなかった。途中だって苦しかったけど、何ラブってんだとか色々思って悲しくなる思いを耐えたのに、それなのに、


 こんなのって悲しすぎる。


「あ、アオ〜!」

「うわっ! 何だガキ! その色んな液体でべしょべしょになった顔をひっつけるな!」

「ブ〜〜〜〜ッ!」

「鼻をかぐな!!!」


 アオに抱きついて、柔らかくもない胸板のところで鼻をかんでもアオはこんなにも優しい。こんなに優しいのに、苦しい思いもいっぱいしてきたのに、ロトさんのことを心から愛していたのになんで奪うんだ。


 どうして、わたしの血に初代女王の血が流れているのだろう。


「――なんで」

「あ?」

「なんで、あのときわたしを殺さなかったの……?」


 最初にあったとき、アオの封印を解いたあのときアオはわたしを殺そうとした。でも、結局は殺さなかった。気が削がれたとか言っていたけど、過去の話を聞いて、封印されている間も狂い続けたその憎悪がそんな簡単に消えるわけがない。


「なんでって、言っただろ? 今のお前らになんの罪もねぇ。それに私が許せねぇのはあのクソ女であってお前らじゃないし」


 でもアオは、消えない憎悪を持ちながらも簡単にそう言ってのけた。そのクソ女の血が流れているわたし達を許していた。


「……」

「んだよその不服そうな顔は。むしろ殺されなかったんだからいいだろうが」

「そうだけど、ってうわ!」


 まだ言いたいことがあったわたしの頭を雑にかき回すのはアオの手。固くて温かい手だった。


「それに、カンナがアホすぎたからな。気が削がれたんだよ」


 そう笑ったアオは、とても優しくて名前の通り、青い空のような綺麗な笑みを浮かべていた。


 ****


「わたし、強くなる!」

「何だいきなり。頭でも打ったか?」

「いきなり強火のコメントかましてくるじゃん。違う!」


 あの話を聞いたあとで何しないなんてわたしにはできないっ。今度はこんな事にならないよう、アオを守れるぐらいには強くなるんだ!


「な〜に言ってんだ。カンナが私を守るなんて夢のまた夢だっつーの」

「なんでそうやってやる気削ぐのかなぁ!? できるもん! 絶対にアオをヒロインのように守ってみせるわぁ!」

「へッ」


 鼻で笑いやがったぞこの鬼悪魔。人のやる気削ぐわ、全否定するわ性格悪いぞ。あ、元からか。それとも悪魔だからかもしれない。性格の悪さが滲んでますよーその悪役顔の笑みー!


「ほんと、シリアスを続けさせないヒロインね。この14話ほぼシリアスだったというのに」

「過去編ってこんなもんだろ」


 いや人のこと言えないからね? そっちもメタい話をしないでよ空気感壊れるでしょうが。


「ま、いろんなことがあったけど今は平和な世でつつがなく過ごしてますよーってことだよ。国だって滅ぼす気ないし、なにかするつもりねぇから安心しろよネネ。それにお前の知りたかったであろう呪の話もしたしこれでいいだろ」

「もう疑ってすらないし、十分よ。それに、アオの過去のお陰で少し……わかりそうなことがある」

「? わかりそうなことって?」

「言ってもカンナにはわからないでしょ」

「お? 喧嘩?」

「勝てると思ってんの?」


 思ってないです。はい白旗白旗。




「――クロード」


 その時、今の今まで黙っていたレオン殿下様が声を上げた。その顔は悲痛に歪められ、今にも泣き出しそうだった。


「殿下……?」

「……私があのとき、彼女の出入りを禁じていれば。あのとき、少しでもクロードの話を聞いていればっ、あんなこと起きなかったッ……起きなかったんだ……」

「!」


 ああ、そうだった。あの事件に関わっていたのはアオだけじゃない。レオン殿下様もなんだ。そしてこの人にとって、あの事件は自分のせいで引き起こされたことだと、アオと同じくらい後悔している出来事なんだ。


「済まない! 謝って済む問題じゃないことは重々承知しているっ! それでも、クロードから……エンドウを奪って、済まない!!」

「……」


 土下座し謝罪するレオン殿下様を、アオはただ静かに見つめていた。


「殿下……いや、レオンでいいか。なぁレオン」


 土下座するレオン殿下様を呼び捨てにしたアオが膝をつく。その顔は俯いていてわからない。ただアオの声だけが静かに聞こえてくる。


 い、一体何を言うつもりなのか……。


「あの最期にロトがくれた棒に飾りのついたアレ、なんだ?」

「「「「えっ」」」」


 ドキドキと緊張でなっていた心臓が止まる。そう、あまりにも突拍子もないその質問に、わたしどころかアオ以外の人全員が間抜けな声で驚いた。

 え、この人なに聞いてるの?


「女性用だよな? 多分。それも東方のものだと思うんだけどわかんなかったんだよなぁ。アレ何?」

「か、カンザシと言って……髪の装飾具で、髪をまとめるものだと」

「アレでどうやってまとめんだよ。ただの棒だったぞ」


 訳わからんみたいな顔をしているアオ。いや、それこっちの感情なんだけど。なんで今それを聞いてんの。


「で、装飾具ってことはアクセサリーだよな? なんか意味あんだろ」

「!」

「カンザシをロトがくれたとき、ようやく渡せたみたいな顔してたんだ。カンザシ、渡す意味は何だ」


 顔を上げて床に座り込んだレオン殿下様が、少し黙ったあと今までで一番優しい声でカンザシの意味を伝えた。


「深い愛情や、尊敬、これからも守るなどの意味で……つまり求婚だ」

「ぁ……」


 アオに最後に渡したものが、そんな意味を持っていたなんて。それほどまでに、ロトさんはアオを愛していた。愛されていたんだ。

 すべてを聞いたアオは静かに目を瞑り、誰に向けたかわからない「馬鹿だなぁ……」という言葉をしみじみ呟いた。


「じゃあやっぱり、壊すんじゃなかったなぁ」


 聞こえた言葉にまた涙腺が緩くなっていく。そんなわたしを笑いながらアオが立ち上がり部屋を出ていこうとしていたその時。


「ああ、そうだ。許してくれだっけ」

「!」


 思い出したようにアオが振り返りレオン殿下様を見てニヤリと不敵に笑った。









「アオって呼ぶなら、赦すよ」



これにて4章「鬼悪魔編」完結! 本当に遅くなりすみませんでしたぁ!!

スランプと私事で本当に書けませんでした。ここから更に忙しくなり、更新は難しいですが、ちょっとずつ貯めて一気放出したいですね。


と、謝罪はここまでにしてちょっとだけ振り返っていきます。さすがはこの物語が始まったきっかけであるアオくんです。精神力強すぎでしょ。なんでこいつ闇落ちしてないの? と書いている中で思う作者です。

なんて言いつつ、正直カンナ殺す殺さずとも彼女が闇落ちしていたらこの物語全く別物になってましたね。国を封印から開放された悪魔を倒すみたいな。で、悪魔になったきっかけがこの国のせいだったとか。


誰も救われないわ。でもちょっと書いてみたい。


この物語でようやくまともに出てきた恋愛要素がアオだったのは、正直プロット通りです。ええはい、そうですよ。察しの良い方居ると思います。そうですロトとは端から死別する運命です。そう決まってました。最初の構想では喧嘩別れで〜を考えてました。アオの未亡人設定は最初からあったけど、これは流石に凹むどころじゃないよね。

まぁ少し長くなった過去編ですけど、楽しんでくれたら幸いです。


さてさて雑談もこれまでにして。次章からは番外編ならぬ日常を書いていこうと思います! ようやくヒロインにお相手が出てきてくれたんですから少しは距離を縮めないとっ。ちょっと難しいが。

それではまた次でお会いしましょう。お読みいただき、ありがとうございました。

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