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第48話「それは悪魔の後悔 3」

アオ:一人称がまだオレのピチピチ20歳。突然の求婚でビビり倒す。まだまだ青い。

ロト:お付き合いすっ飛ばして求婚したとんでも男。一体何者なのだろうか。



 前回のあらすじ。ついにラブの風が吹いた。アオに。


 男の茶色い髪が風に吹かれる。この国ではあまり見ない黒の目はあまりにも澄み輝いていた。イケメン、というより渋いタイプのハンサムな男は、そこらで歩けば女にでも騒がれそうなほど美丈夫だ。そんな男が何故かオレの前で膝をついて求婚の言葉を叫んでいる。そう、このオレにだ。


「まじでどういうことだよ!?」

「ですから、俺と結婚してください!!」

「いや、何が「ですから」!? というか誰だよ!!」


 おか、おかしい! 全部がおかしい! だって今日は第1騎士団団員の任命式の日。つまり学校で例えたら入学式だ! そんな初日でなんでオレは求婚されてんだ!


「はっ、そうか! 名前がまだだったな。オレの名前はロト・エンドウ。あなたの旦那です。ついでにここで副団長してます。結婚してください」

「違いますが!? って、ロト・エンドウ……だって?」


 しかも副団長って、あの移民で副団長に任命されたっていう剣術の天才と言われたあのロト・エンドウか!


「確か、移民っていう」

「いやそれは俺の祖父だ。俺は普通にこの国で生まれたぞだから結婚してください」

「そうなのかって、なにが「だから」!? なんでそこで求婚なんてしてくるんだ!」

「一目惚れです! 俺も衝撃だけど結婚するならあなたしかいない! だから結婚してください!」

「い、嫌です!!」


 周りからの驚きの視線と好奇心やらなんやらですっごい注目されている中、オレはなんとかこの男からの求婚を断る。いやだって何も知らないし、そもそも結婚なんて嫌だし。それに、男だと散々言われているオレに求婚なんてそんな……まさか。


「お、男が好きなら悪いがオレは女だ。悪いが他で当たってくれ」


 騎士団という男所帯。女騎士がいないわけじゃないがそれは本当に極稀だ。だからこそたまに性癖こじれて男を好きになる男が現れる。オレを好きになるやつは何人かいたが、女とわかった瞬間諦めた。つまりこいつも同じような。


「な、なんだと……お、女性だというのか」

「……」


 驚きで固まるロト・エンドウに、オレはなんとか胸を撫で下ろす。やはり似たようなものだったが。良かった、これで変な茶番から開放される……。


「ならばなおさら結婚してくれーーーー!!!」

「いや、なんでだ!!」


 はずだった。

 全く開放されなかった上に更に面倒くさく引っ付いてきやがったぞこの男! こいつ男が好きなわけじゃないのか!?


「お、男が好きなわけじゃないのかっ!?」


 つい思ったことをそのまま聞いてしまったが、それを聞いたロト・エンドウはすんと真顔になる。その変化に恐怖が湧いた。何だこいつ情緒不安定か??


「なわけ無いだろ。なんで俺がむさ苦しいやつを好きにならんといけないのだ。だいたい俺の好みはナイスバディなお姉ちゃんだ」

「ならそっちに」

「だが結婚するならあなたしかいない、ですので結婚してくださいアオ・クロードさん!」


 一体何なんだコイツは! つーかどうやってオレの名前を!? いや違うこいつは副団長だ。きっと名簿で名前を……それでもなんでオレの名前がアオ・クロードだって知ってんだ! 顔知らないだろ!


「つーかいい加減に……しろ!!!!」

「ぶべぇえええええええええ!?」


 オレが第1騎士団に来て始めにしたこと。それは張り付くそこの副団長を全力で蹴り飛ばしたことだった。


 ****


 第1騎士団団員になって早2週間。ジョン、お前は元気か? 西方は農業とか漁業が盛んだからな。美味い飯いっぱい食えよ。そうそうオレといえば。


「アオ、俺と結婚しよう」

「お断りします。消え失せろ」


 今すぐ騎士団を辞めたくなってるよ。


「あ”ー、今の鋭い目つきと罵倒は効いた! なんかすっごいゾクゾク来たわ。流石は俺のアオだな、サイコーの女だ!」

「本当に消え失せろ気持ち悪すぎるんだよこのドMが!!」

「本当にアオは可愛いなぁ」

「こいつの鼓膜と視界はどうなっている。その耳と目は飾りか??」

「アオの可愛い声を聞くためとかんわいいお顔を見るためについているぞ。今すぐ結婚しようぜ」


 この男、ロト・エンドウはオレが所属する第1騎士団副団長であり、ここ第1騎士団が発足して以来の剣術の天才。そんな天才様はなぜかオレに求婚しては永遠に引っ付いてくる。それこそトイレとお風呂以外はずっとだ。全力で抵抗したからトイレと風呂はついてこなくなったけど、抵抗してなかったらこいつはついてきてた。それと何故か寝所が隣である。間違いなくこの男の職権乱用だ。もうやだほんと。


「アオ〜アオ〜俺のアオ〜」


 この男が、どうしてオレにここまで構うのかわからない。もはや構ってくるの領域超えてストーカーになっているし。遊びにしても執着というかやること超えているし。


「まったく、オレの何がいいんだか」

「お、アオにこれをやろう。好きだよな、食堂の唐揚げ」

「……」


 2週間だ、オレがここに来て。その2週間でこの男についてそこそこわかったことがある。そしてそれは向こうも同じようだ。オレは唐揚げが好きとかそういうことを明言した覚えはない。けど何故かこの男はピッタリと当ててくる。正直怖い。


「副団長も好きでしょ、唐揚げ」

「名前で呼んでもいいんだぞ? 俺はアオが食べている方が好きだからいいんだ」

「……意味がわからないですよ」


 ほらこれだ。この男、何がいいのかこうしてオレに尽くしてくる。服は勝手に洗って干してあるし、武器や鎧の手入れも勝手にしてある。部屋もきれいにするし風呂の準備もしている。ちなみに部屋は鍵をかけてあるし服は部屋においてある。そしてしっかりと施錠魔法もかけてある。こいつは一体どうやって部屋に忍び込んだ??


「俺の全てはアオを愛し幸せにするために存在してるんだな。これが生きる理由……」

「違います。本当に消えてください」


 この生活、続けてたら本気で胃に穴があくかもしれない。そう思ったのは割と冗談ではない気がすることに、オレはため息をついたのだった。

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