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第37話「巨大迷宮『栄華の夢魔』 3」

カンナ:遂に覚醒か!? 自分の力が恐ろしい。

アオ:思ったよりも早く倒せたのでお菓子を全部食べずに済んだ。

ネネ:まさかカンナの光魔法があれほどとは思わなかった。

ヴァン:何も活躍できなかった。まじ悔しい。



 前回のあらすじ。カンナの光魔法はマジで強い。


「はーい、おめでとー。10階層クリアでーす」


 パチパチと、消滅していくスライムを踏みつけながらやってくるアオの、その場違いな拍手にようやくわたしは正気を取り戻した。え、今のなに!?


「あ、アオ! なんで、なんでわたしのライトボール・改でスライムボディが消えたの!? どうなってるの!」

「アオ、聞いてないわよ一体どういうこと」

「あーうるさいうるさい。その話は次の階層に行く途中で話してやるからさっさと行くぞ」


 面倒くさそうに先頭を歩くアオは、また同じように何の変哲もない壁の近くまで寄って魔力を流し込んでいる。ゴゴゴッと言う音ともに開けた扉の先には、やはりあの長い階段があった。


「――で? 一体どういうことなのアオ。どうしてただのライトボールがあそこまで威力があるの? 木の的を焦がした程度のものでしょ」


 しばらく階段を降りていったあと、ようやく本題にネネが切り込んだ。そうだ、攻撃できるようにまで昇華させた魔法とは言え、魔法に対して抵抗を持つスライムのボディにあそこまでの穴を開けるなんて、自分の攻撃とは言えちょっと信じられなかった。


「何だネネ。お前もう忘れたのか? カンナの魔法は光だぞ? あれぐらいは簡単にできるに決まってる」

「「?」」


 ん? 全然意味がわからない。ネネも珍しく首を傾げているからわたしが馬鹿だから意味がわからないというわけでもないらしい。


「はぁ、つまりだな。光魔法は魔を払うことに特に力を発揮する特性を持っているんだ。悪魔や鬼はもちろんのこと、呪いや魔物に対しても強いアドバンテージがある。だからあんなヘナチョコなライトボールでも魔物にとってはどの魔法攻撃よりも最悪な魔法ってことになる」

「! あっ」


 アオの説明で、ようやくネネは理解したらしい。わたしは全くできてないけど。えーっと、つまり? わたしの魔法はたとえどんなにヘナチョコでも? 魔物にとっては致命傷になるってこと?


「そゆこと?」

「いえーす」

「え、じゃあめちゃくちゃ強いってことじゃん! わたしついに覚醒!?」

「まぁ、と言っても魔物だって馬鹿じゃない。そのうち対処されるようになるさ」


 だが50階層までの魔物はそれだけで十分対処できるだろうな。というアオの言葉にわたしはとても興奮した。ついに、ついにわたしの時代が来たということだね! これでもうポンコツだの落ちこぼれだのアホの子だの言われなくなるってことでしょ! いやっほーい!


「おいそこ階段ちょっと崩れて」

「え、あ、ぎゃあああーーー!!」


 階段につまずいて転げ落ちるわたし。それをアオの呆れた目線が突き刺さった。……調子乗りました……。


 ****


「……アオ、どうしてこのことを黙っていたの?」

「あ? 何がだよ」

「カンナの力がここまで強力だなんて聞いてないわ。言っていれば他にも戦う手段が増えていた。でもあなたはワザとこのことを言わなかった。なぜ?」


 調子に乗ったことを反省しながらゆっくりと階段を降りるカンナ。その隣で心配そうに助けていたヴァンを前に、ネネが切り込んできた。やっぱりこの女を騙すのは難しいな。言い訳を許さないと言わんばかりに私を見てくる赤い目を横目に階段を下っていく。


「まぁなに、深い意味はねぇよ。ただ実戦では、たとえ味方の魔法だろうがなんだなろうがわからねぇ場合がある。それこそ直前までな」

「実戦的な訓練をしたかったということ?」

「そう思ってくれて構わんよ」


 そう、別に深い意味はない。ただ知ってほしかった。自分の魔法が弱いと思っているカンナは、その魔法属性がどれほど恐ろしいのかをしっかり理解してほしかった。アイツは、やろうと思えばこの国を支配できるのだと。


「……はぁ、だからといって本人にも黙っているなんて」

「いや言ったぞ? 本人はしっかり聞いてない上に忘れているようだが」

「本当にさすがねあの子」


 3回ぐらい真面目な顔でいったと思うが、どうやらあのアホ娘は全て聞いてなかったみたいだ。後で説教だな。


「私はあなたにも説教したい気分なんだけど? ホウ・レン・ソウはどうしたのかしら?」

「ハハハ、すまーん」

「本当にミンチにするわよ?」


 やばい流石に本気で謝ったほうがいいかもしれん。殺される。


「すまん、今度からしっかり言うわ」

「全く。それで? いつになったらあなたの話をしてくれるのかしら」


 おっと、ついに突かれたか。ヴァンはともかく、カンナはしっかり忘れているから行けると思ったんだけどな。


「はぐらかすちゃんと言うっての。まぁ、50階層までクリアしたらな」

「……わかった。必ずよ」

「はいはい。嘘なんかつかねぇって」


 じっとりとした視線を向けるネネを取り敢えずカンナの近くまで連れていく。あとはカンナに任せておけばいいだろう。全く、ネネは疑り深いんだから。


「それに……」


 ちゃんとすべて教えるさ。この国が、一体どうやって出来たのかもな。知りたいのなら、教えるよ。そのためにはカンナにはしっかりと魔法の扱い方を学び、モノにしてもらわないといけない。無いと言いたいが、この国を支配するのがアイツラだとしたら最悪の場合が起こり得るかもしれないからな。


「……ロト……」


 もう二度と、あんな悲劇を起こすわけには行かない。

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