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第22話「その女、公爵令嬢失格 3」

カンナ:別に方向音痴じゃない。ただだた道を知らないだけ。つまりアホ。

アオ:方向音痴だし、何故か進むたびに何かしら事件が起きる。お前は死神か?  

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 前回のあらすじ。ネネの回想がスタート。一方その頃、カンナはなにかあくどいことを考えていた。


 そして話を聞いていれば、どうやらアオが思っていた以上に強く、闇魔法で対応していたけどそれも有効打ではないと感じたネネさんが焦って闇魔法を連発したらしい。え、というかネネさんって闇魔法使いなの? 初めてみたぁ。


「分かったな。今上は危険な状況だ。地面とかバッキバキだし、今アンタが行ったところで何も出来ないし、足手まといなだけ。実際、意識混濁したお嬢様から俺達を守っているのはあの悪魔だ」

「え……あの天上天下唯我独尊、全ての物は私のもののあのアオが?」

「ひっでぇ言い草だかそうだ。あの悪魔がいなかったら俺達はとっくに死んでる。それぐらい、お嬢様の魔法は強力で、最凶なんだ」

「……」


 うーん、となると本当にわたしはここにいたほうがいいかも知れない。だって怖いし、死にたくないし。でも、でもなぁ。なんだかなぁ。


「多分、多分ですけどわたしならそれどうにかできると思いますよ」

「はぁ? アンタに何が出来んだよ。光魔法の使い手だからって、アンタ光魔法をまともに扱ったことないだろうが」

「いやでも、闇魔法の対抗魔法って光魔法だけですよね」

「……それは、そうだが」


 それに、アオは言っていた。光魔法は最強の魔法であり、唯一無二の力だって。そして、闇魔法は光魔法をすべて吸収してしまうが光魔法は闇魔法を浄化してしまうのだ。要は、どちらが魔法技術が優れているかに掛かっている。


「じゃあやっぱり駄目じゃねぇか! アンタ落ちこぼれだろ! そんなやつがゴールデン家の試練を乗り越えたお嬢様に勝てるかよ!」

「ぐぅ……! ぐぅの音も出ないっ」

「出てるわもう!!」


 良いツッコミの仕方だ。この人できるな。ちょっと好感度が上がった。


「とにかく、アンタは大人しくしててくれ。終わったら俺がお嬢様に言ってなんとか出してもらうよう言うし、あの悪魔の処遇もどうにかするように言ってみるから」

「でもそれ絶対じゃないでしょ。下っ端の意見なんて聞いてくれるの?」

「お嬢様は確かに鬼みたいな人だが、俺達の意見一つを無視するほど酷くねぇよ。……今回は知らんが」


 モゴモゴと最後に言い放った言葉がとても気になるのだが?? それ絶対に聞いてくれないんじゃない? だって公爵家が、下っ端とは言え男爵家の娘を誘拐したんだよ? そう簡単に今回の件を認めないし、全力で隠すでしょ。


「お願いいい! 今回だけ、今回だけ見逃してよぉおお!!」


 というわけでわたしは全力で駄々をこねてみた。それはもう、16だと言うのに4歳児に負けない駄々を。ついでに誘拐犯のズボンを引っ張ってと。ちなみに言うが変態じゃないんだからね、誤解しないでよ!


「うわ引っ付いてきたこの女! ヤメロ離せ!」

「絶対になんとかしてみせるから! 絶対にお嬢様の暴走を止めるからいかせてよぉおお!」

「いいから離せ! ズボンをずり落とそうとすんな!!」

「先っちょだけ! さきっちょだけだから! やったら大人しくするから!」

「ヤメロ誤解を生むし、ズボンがずり落ちる! ちょ、まじでやめな……――分かった! 分かったから離してくれ!!」


 ついに音を上げた誘拐犯に、わたしはニヤリとほくそ笑んだ。よっしゃ、勝った!


「ちっ、何だよこの女。羞恥心はどこに行った」

「この状況で羞恥心って必要?」

「いきなり正論言うな。その通り過ぎて何も言えなくなるだろうが。……はぁ、しょうがねぇ。連れて行くが、どうなっても知らねぇからな。死んでも俺を恨むなよ」

「うん、大丈夫。死んでも枕元で国歌を歌うだけだから。毎晩」

「連れて行くのやめようかな」


 よし、待ってろアオ! 絶対にその暴走を止めてみせるから! でももしわたしを見つけたら全力で守ってほしい切実に!!


 ****


 そうして、その日は来た。両親が王都に向かう日が来たその日は、いつもは痛いほど静寂に包まれている屋敷もにわかに騒がしかった。


「ネネ、私達は行ってくる。私が課した修行をこなしなさい」

「はい、父様」

「勉学もよ。終わらせない限り寝ないように」

「はい、母様」


 両親の義務的な言葉に私は静かに返事を返す。この人たちは優しい言葉が使えない。そういう人間だと知っている。そのことにいつもなら何も思わないのに、少しだけほんの少しだけ悲しんでいる自分がいたことに目をそらした。


「……行ったわね」


 能面のような顔をした両親が乗った馬車が見えなくなる頃に、私は行動を起こす。私がサボるなんて露ほどにも考えていない両親や使用人を騙すなんて片手間でもない。書斎まで向かう私を止めるものは一人もいなかった。


「……」


 そうして中にはいった父の書斎。初めて入ったが、執務室と違って本棚が壁を覆い尽くし、紙とインクの匂いばかりの部屋だった。


「さて、ここの記録を見るならこの記録書だけども……やっぱりなにも書いていないわね」


 今までの、父が当主となった記録からのすべてが書かれているけどやはりというか、なんの手がかりもなかった。それは不自然なほどに。でも、ここまでなにもないというのならあの子供部屋は過去に子供を連れた使用人がいただけということなのかしら。


「……ん?」


 そう納得し、記録書を怪しまれないようにもとに戻した私は、ある一冊の黒い革に包むまれた一冊の手帳を見つけた。その表面に書かれた名前と日付は、紛れもなく父のものだった。


「これは……日記帳?」


 まさかあの父が、日記をつけていたなんてと驚きが隠せない。しかもこの手帳は隠すように置かれていた。……この手帳は、私の疑問を解決する手がかりを、もしくは答えが書いてあると直感で理解した。


「……」


 震える手で、父の手帳を開く。心臓が嫌な音を立てているのを何処か他人事のように思いながら月の光すら入らない部屋で、1ページ目をめくった。

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