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末っ子王子は貧乏令嬢を見初める ~御令嬢は実は凄腕冒険者でした~  作者: 秋月真鳥
一章 王子と冒険者の出会い

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19.アルマスとカードゲーム

 翌日の朝ご飯は猪のモンスターの豚汁とおにぎりとコカトリスの卵焼きだった。

 魔族の国ではこんな食事もしているようだ。王城ではあまり食べられなかった種類の食事なので、僕は興味津々で食べる。


「曾祖父から伝わった料理です。魔族の国では東方の島国の料理を取り入れていると聞きました。エドヴァルド殿下のお母上も同じようなものを食べていたかもしれません」


 僕の母上も食べていたかもしれない料理。

 豚汁は魚のモンスターの出汁が聞いていてとても美味しいし、おにぎりには魔族の国から輸入した塩昆布が混ぜられていた。コカトリスの卵焼きは綺麗に巻かれていて、少し甘くてとても美味しい。


「ロヴィーサ嬢は魔族の国の食事にも詳しいのですね。母上と同じものを食べていたかもしれないと思うと尚更美味しいです」

「ロヴィーサ様は貴族様なのに料理もなさるんですね。とても美味しいです」


 アルマスもロヴィーサ嬢には何とか敬語を使っている。

 僕には気安い言葉でロヴィーサ嬢には畏まっているというのが、面白くて僕は笑ってしまう。

 まだ婚約の状態で臣籍降下していないので僕の身分は王子のままだ。王子には気安く、侯爵令嬢には畏まっているというのは、どこかおかしいが、アルマスと僕は親友なのでいいことにする。

 食べ終わるとアルマスが僕とロヴィーサ嬢をカードゲームに誘った。


「遊ぼうと思ってカードを持って来てたんだよ。エドヴァルド殿下と、ロヴィーサ様と俺じゃ、ちょっと人数が少ないかな」

「爺やに入ってもらおう。爺や、一緒にゲームをして」

「私は手加減いたしませんよ」

「手加減されたらそっちの方が腹が立つから、本気でやってね」


 僕にロヴィーサ嬢にアルマスに爺やの四人でカードゲームが始まる。

 ゲームのルールをアルマスが僕に教えてくれる。


「ジョーカーが一番強いんだけど、最後に出したら負けなんだ。他のカードの中では二が一番強い。二から、エース、キング、クィーン、ナイト、ジャックの順に強くて、三が一番弱いんだ」


 それはアルマスが家でよく遊んでいたカードゲームのルールだった。


「同じ数字は二枚ずつ出すこともできて、二枚ずつ出されたら、同じように二枚で続けないといけない。三枚ずつも出せる。四枚一度に出したら、革命っていうのが起きて、それまで二が強かったのが、三が一番強くなる。逆転するんだ」


 そのゲームの名前はアルマスも知らなかったようだけれど、ルールは何となく把握できた。

 アルマスがカードをよく混ぜて僕とロヴィーサ嬢と爺やとアルマス自身に配っていく。

 配られたカードを見て僕はどれを出そうか考える。


「配られたカードは、三から二まで順番に並べておくと見やすいよ」

「順番にカードを出していくだけですか? 勝利条件は?」

「それは言ってなかったですね。最初にカードがなくなったものが勝利します」


 ロヴィーサ嬢の問いかけには丁寧に答えているアルマスは敬語が使えるようになってきているのかもしれない。


「出されたカードを覚えて、今一番強いのはどのカードかを常に考えながら出して行かないといけないんだね」

「そうなんだよ。結構難しいし、配られたカードで決まっちゃうところがあるから運もあるな」


 喋りながら僕がこの中では一番年下なので、僕からカードを出していいということになった。僕は三のカードが二枚あったので、それを出してみる。


「ペア攻めか。いい感じだな」

「いい感じなの?」

「二枚組はカードを持ってないと出せないからな」


 言いながらアルマスが七を二枚出した。

 続いてロヴィーサ嬢がカードを出す。

 ジャックが二枚だ。


「どうしましょうかな。序盤からカードを出し過ぎるのもよくない気がしますな」

「爺やさん、それは正解だよ! 特に、キングのペアとか、エースのペアとか、二のペアは、二枚組で使うよりもばらして使う方がいいこともあるからな」


 爺やはパスをして、僕の番になった。

 僕はジャックより上の二枚組がなかったのでパスをした。

 アルマスもパスをする。


「それではわたくしですね。これでいいのですか?」


 ロヴィーサ嬢は無難に四を一枚出した。爺やがそれに六を出して、僕は七を出せる。

 アルマスは素早くキングを出した。


「えー!? アルマス、ここでキングを出すの!? 強くない?」

「まぁまぁ、見てろよ」

「どうしましょう……エースを出してみますわ」


 悩んだロヴィーサ嬢がエースを出すを、アルマスはそれを二で切り返した。

 アルマスの番になって、アルマスがカードを出す。


 ジョーカーを含めて十が四枚。

 革命だ。


「革命ってどういう感じだっけ」

「三が一番強くなるんだよ。次は四。二は一番弱くなる」


 大事に取っていた二がもう弱くなってしまったと知って僕はがっかりしてしまう。

 その後もアルマスは四や三を持っていて、一番に上がってしまった。

 やはりカードゲームをし慣れているアルマスは強い。


「打倒アルマスだな!」

「悔しいですわね。もう一回やりましょう」


 僕もロヴィーサ嬢も負けず嫌いだったようだ。続いて二回目をやる。

 二回目はカード運がよかったのか、僕が勝つことができた。ロヴィーサ嬢はそれにも悔しがってもう一回やった。

 もう一回やると、ロヴィーサ嬢が勝った。


「他にも細かいルールがあって、八を出せる場面で八を出すと、八切っていって、場を流せるとか、同じ絵柄の数字が連なっているのは連番で出せるとかあるんだ」

「とても面白いゲームでした。興奮して喉が渇きましたね。わたくしはお茶の用意をしてきますわ」


 楽しく遊んだ後にはロヴィーサ嬢がお茶を淹れてくれた。

 僕のお茶だけはポットが違う。魔族の国から輸入した茶葉を使っているのだ。ミルクも牛のモンスターのミルクである。

 お茶菓子も魔力を帯びたもので作られていた。


 完全に僕の分だけ別にされている茶器とポットだが、ロヴィーサ嬢はお揃いのカップを使っていることに僕は気付いていた。

 同じお茶は飲まないけれど、カップはお揃いにしてくれるところが可愛い。


「ロヴィーサ様はミエト侯爵家の当主なんですよね。料理をして、狩りをして、お茶も淹れてくれて、大変ではありませんか?」


 アルマスの疑問は当然のものだった。

 侯爵家の当主となると領地のことで執務がたくさんあるはずだ。それをしたうえでモンスターも狩って、料理もして、お茶も淹れてくれて、僕のお遊びにも付き合ってくれて、家庭菜園も作ってでは、ロヴィーサ嬢は倒れてしまうのではないだろうか。

 僕の心配にロヴィーサ嬢が微笑んで答える。


「まだわたくしは研究課程に通っているので、侯爵家の執務は父が代わりにやってくれています。そんなに大変ではないのですよ」

「それでも、研究課程にまで通って、やることが多すぎませんか?」


 僕の心配に、ロヴィーサ嬢は首を振って答えた。


「元々体を動かすのは好きなのです。鬼の力の指輪を母から受け継いでから、ますます好きになりましたわ。モンスター狩りも毎日ではないし、家庭菜園の世話もエドヴァルド殿下のおかげで楽です。料理はエドヴァルド殿下が喜んで食べてくださるので、作り甲斐がありますわ」


 僕のためにならば料理を作る苦労など厭わない。そう言ってくれているロヴィーサ嬢に僕は感激してしまう。

 ロヴィーサ嬢はやはり素晴らしい女性だった。


 僕がロヴィーサ嬢に見惚れていると、アルマスがこほんと咳払いをする。


「いけない、ロヴィーサ嬢が素敵過ぎて惚れ直してた」

「エドヴァルド殿下ったら! 恥ずかしいです!」


 ロヴィーサ嬢が僕の背中を叩く。

 僕は吹っ飛ばされて錐もみ状態で床に突っ込んでいた。


「うわー!? エドヴァルド殿下!? 生きてるかー!?」

「きゃー!? 申し訳ありません!?」


 アルマスとロヴィーサ嬢の悲鳴が聞こえる。

 僕はすぐに立ち上がって服に着いた埃を払った。


「この通り、怪我はありませんよ」

「わたくし、恥ずかしいとつい手が出てしまって。軽く押しただけのつもりだったのですが」

「そんな逞しいロヴィーサ嬢が大好きです」

「エドヴァルド殿下! もう! そんなに言われると照れるじゃないですか!」


 顔を真っ赤にしているロヴィーサ嬢に今度は叩かれないように僕は素早く避けた。

読んでいただきありがとうございました。

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