第20話
緊急決定! 僕の【男の娘アイドルデビュー】!
そんな騒ぎから――はや二日が経った。
「お兄ちゃん、ちょっと早く起きなよ。学校、遅れちゃうよ」
「……ふぁ、宮古?」
月曜日。午前7時45分。
僕はいつも通り――と言うにはちょっと遅い時間に目を覚ました。
場所は自分の部屋。
ベッドに寝転ぶ僕を、窓を背にして妹の宮古が見下ろしている。
くたびれたTシャツとハーフパンツがちょっと肌寒い朝だった。
セーラー服姿の妹はなんだかちょっと不機嫌。
すると廊下から「ゆうちゃん早くおきなさーい」と母さんの声がする。
どうや妹は母さんに頼まれて僕を起しに来たみたいだ。
ごめんね。
けど、寝坊じゃないんだ。
「今日、高校の文化祭の振替休日なんだ。一日お休みなの」
「なにそれ⁉」
食いつくように宮古が僕に顔を寄せる。言い訳する間もなく「なんで先に言わないのよ!」と、激おこなセリフ。すぐにぷいすと彼女は僕に背中を向けた。
お年頃ってのはほんと気難しいなぁ。
あぁ、お年頃と言えば――。
「宮古。誕生日だね、おめでとう」
「……なに? そんなんで機嫌直らないんですけど?」
見透かされたか。
今日が妹の誕生日だったことを思い出して、話題を振ってみたんだけれど、お怒りの妹には逆効果だったみたいだ。
振り返った宮古は、剥れっ面にジト目と相変わらず不機嫌だった。
「プレゼント何が欲しい?」
「えー、何にしよっかな? ちょっとお高い下着とか?」
「それは自分で買って」
誕生日プレゼントにかこつけて虐めないで。
すると気が済んだのか、宮古は「なんでもいいよ!」とからっと笑う。
ふわりとスカートを揺らすと妹は扉の影に消えた。
起き抜けのトラブルが無事に終わってほっと一息。
スマホのアラームを解除して僕はベッドから立ち上がる。
「ゆうちゃーん! ごはーん! お母さんお仕事だから、早く食べちゃってー!」
「はーい!」
母さんに急かされて僕も宮古の背中を追った。
ふと振り返った部屋の窓の向こうでは、庭の木に止まった小鳥が眠たげにさえずっている。10月の朝日は少しぼんやりとして、ベッドが少し恋しくなった。
さて――。
僕のかわいい動画がバズり、人気アイドルグループへの参加まったなし、いざ【男の娘アイドルデビュー】――という展開は、ギリギリの所で阻止された。
好意とも悪意ともとれる、ネットの人々とその流れにどうやって対抗したのか。
答えは簡単。
僕には頼りになる女友達が三人いたのだ。
◇ ◇ ◇ ◇
時間は戻って、土曜日。
場所はパソコン室。美琴さんにアイドル事務所から連絡が入った直後。
「ゆうちゃんさん! こうなったらこの流れを利用しましょう!」
「利用するって⁉」
「大丈夫、私に作戦がありますわ!」
不本意なアイドルデビューに戦々恐々とする僕。パニックに頭が回らない状況で、救いの手を差し伸べてくれたのは――またしても美琴さんだった。
彼女の作戦はいたってシンプルなもの。
まず、僕は事務所と正式に契約を交わし、彼女のアイドルグループのメンバーになる。そして、電撃デビューの初舞台として【僕の学校の学園祭ライブ】を指定する。
僕がやることはこれだけだった。
「これだけ話題になっているなら、明日のライブにはまず間違いなくゆうちゃんさんのファンが詰めかけますわ」
「そんなの集めてどうするのさ」
「……なるほど、そういうことでして」
美琴さんの思惑を察したらしい幸姫さんが話に加わってくる。
すぐに彼女はパンパンと二礼二拍手。
そこからの――指を銃の形にして猿田に向けて大絶叫。
「奥義! 超催眠記憶改竄光線!」
「うぇええええっ⁉」
光線は出ていないけれど、幸姫さんの忘れろビームが炸裂する。
絶叫と共にパソコン室の壁に猿田がふっとんだ。
大丈夫かと駆け寄ると、「ゆうちゃんis集団幻覚」と猿田は記憶を改竄されていた。かわいそうな猿田をよそに、「こういうことですね?」という幸姫さんの神妙な視線に美琴さんが頷く。
「観客に催眠術をかけるんです。『ゆうちゃんなんていない。集団幻覚だった』と思い込ませれば解決ですわ」
「操るのと比べれば、記憶を書き換えるなんて楽勝でして」
友達が催眠術の使い手で助かった。
けど、学園祭に来ることができない人はどうすれば――。
すると愛菜さんがぴんと指を弾いた。「これだね!」と彼女がかざしたのはスマートフォン。画面にはYouTubeが映っている。
「目には目を歯には歯をだよ、ゆーいち!」
「……まさか⁉」
「私たちで動画を作るの! ゆーいちの偽のライブ映像をね! それに催眠術を仕込むんだよ!」
ライブ+動画の二段仕掛けの記憶書き換え作戦!
話題になっている今なら、確実に人はやってくるだろう。
あれこれ策を弄さなくてもこの方法なら、確実に相手の記憶を書き換えられる。
ただし――。
「けど、ライブはしなくちゃダメなのかな?」
「背に腹は代えられませんわ」
美琴さんが「これだけは、仕方ない……」と俯く。
「記憶を完全に消すことはできないの?」
「それは流石に催眠術でも難しいです」
幸姫さんが「申し訳ない……」と僕に頭を下げる。
「公開した動画は残っちゃうよね?」
「見たら記憶が書き換えられるんだから、実質存在しないのと一緒だよ!」
お気楽な感じに「ノーダメージ! ノーダメージ!」と愛菜さんが笑った。
うーん、諸刃の剣。
やらなくて済むならやりたくないよ。
隣には、僕の腕を引っ張って「大丈夫だよ、ゆうちゃんなら人気アイドルになれるよ」と、まだアイドルを諦めていない恋人。
普通、恋人は止めるものじゃございません?
しばらく悩んで僕は決断した。
「……分かった。美琴さんたちの作戦で行こう! お願いできるかな!」
微笑む幸姫さん。
サムズアップする愛菜さん。
優雅に頷く美琴さん。
彼女達はは三者三様の反応をみせると声を揃えて僕に言った。
「「「まかセロリ!」」」
だからそれ流行っているんですかね。
かくして、僕を救うための作戦――【男の娘ネットアイドル催眠キメハメライブ動画】配信計画が発動した。そして、それは見事に成功し僕は自由の身となった。
もっとも、動画自体はネットに残る。
見た人間に「ゆうちゃんis集団幻覚」という謎の記憶を植え付けるその動画は、公開して半日も過ぎる頃にはSCP財団に管理されることになった。
以上が、僕が文化祭で巻き込まれた騒動の結末だ――。
◇ ◇ ◇ ◇
さて。
頼りになる女友達の協力により事なきを得た僕。
だが、これだけ世話になっておいて「ありがとう!」の一言で済むはずがない。ライブが終わり動画も無事に公開され、事態が沈静化してほっとした僕は、運命の二言目を放ってしまった。
「お礼に僕にできることならなんでもするよ!」
「「「……なんでも?」」」
和気あいあいとしていた三人の美少女がマジな顔で聞き返してくる。
あまりの迫力に「ヒェ……」ってなって、取り消すこともできなくなった。
一難去ってまた一難だ。
という訳で。
事件解決の翌日。
月曜日。午前10時20分。
親も妹も出かけた僕の家。
「へぇ、ここがゆうちゃんさんのお部屋ですのね」
「ゆーいちとよっぴーの写真がある! うわぁー、二人ともちっちゃい!」
「……ふふっ、勇一さんの香りがいたします」
僕は三人の女友達を自室に招いていた。
親の居ぬ間に。彼女でもないのに。しかも朝っぱらから。
カーペットの上に座る美琴さん、愛菜さん、幸姫さん。
流石はお嬢さま。借りてきた猫みたいに大人しい。
座り方は人それぞれだが、なんだかどれも妙に品があった。
けど、逆にそれが不安。
こほん、と咳払いをしたのは「僕の家へ遊びに行きたい」と言い出した張本人。なんでものお願いを、こんなかわいい内容で済ましてくれた美琴さんだった。
ゆったりとした桃色のブラウスに丈長のプリーツスカート。
黒色のストッキングに包まれた脚がスカートの端からちらりと覗く。
金色の髪はいつもよりふんわりとしていてアイドルの休日という感じだ。
総じてたまらない。
「本日はお招きくださりありがとうございます」
「いえいえ、こちらこそ。というか、学校はよかったの?」
「別に、一日くらい休んでもどうということはありませんわ。お嬢様学校って、意外と融通が利きますのよ」
ちょっと不良っぽい笑顔もまた素敵。
美琴さんには敵わないや。
たじたじになって美琴さんから視線を逸らすと、隣の愛菜さんと目が合った。
ふふっと、彼女はいつものように意地悪に笑う。
「学校サボってお家デートなんて、なんだかいけないことしてるみたいだね」
体育座り。膝を引き寄せてこてんと首をかしげる。
黒いホットパンツから伸びた脚を、見せつけるように彼女は指でなぞった。
服装は今日も変わらずボーイッシュ。
黒いデニムのホットパンツ。上はレモン色のサマーパーカーだ。
パーカーの中は肩紐が細いタンクトップ。くすんだ赤色をしたそれが、彼女の健康的な首元を、エロティックに縁取っている。
脚を撫でていた指先がふわりと浮き、彼女の桜色をした唇を怪しく撫でた。
「ねぇ、ゆーいち? ここまでしちゃったし、もっとイケないことしちゃおっか?」
「やめてってば愛菜さん!」
「ジョーダンじゃん! もーっ、ほんとかわいい反応するんだから!」
唇に当てた手をぱっと開いて前に出すと、冗談にしてしまう愛菜さん。
いつもながら心臓に悪いよ。
そんな、愛菜さんの悪戯を止めるように幸姫さんが僕の前に出た。
「勇一さん。本当におつかれさまでした。何事もなく済んでよかったです」
「ありがとう幸姫さん。君の催眠術のおかげだよ」
「いえ、私など何も……」
くすぐったそうに笑って彼女は口元を隠して顔を逸らす。
ただそれだけなのに、同い年とは思えないこのエロスはなんだろう。
やはり幸姫さんは和服が似合う。薄緑色に亀甲の模様が入った着物に、小麦色の帯を合わせたシンプルな格好。カシミヤの茶色いコートを膝に置き、女座りでおっとりと彼女はこちらに視線を向ける。
純白の足袋が柔らかそうなお尻の後ろでゆっくりと動く。
まるで小動物がひょっこりと顔を出したような、妙な愛らしさを感じた。
うぅん。
「今更だけれど、こんな美少女たちを部屋に呼ぶってすごいことだよなぁ」
一人でも部屋に呼べたら快挙のような美少女。
それを三人まとめてだ。
自分の身に起こっていることながら、ちょっと現実感がなかった。
「というか、こんなお礼で本当によかったの?」
「えぇ、もちろん」
澄ました顔で頷く美琴さん。
愛菜さんと幸姫さんは思う所があるらしくもじもじとしている。
美琴さんのお願いに「私も!」と便乗してくれて助かった。もし、個別にお願いをされていたら、どんなお礼になっていたことだろうか。
すると、ふふっと美琴さんが口元を手で隠して笑う。
「お友達の家に遊びに行きたいと思うのは普通のことでしょう?」
「それは、まぁ」
「それに、お友達を助けるのもあたりまえですわ。見返りが欲しくて、私たちはゆうちゃんさんを助けた訳ではありません。貴方がそうだったようにね?」
「え?」
「それとも、私たちはお友達ではないのかしら?」
目の覚めるような美少女達が僕を優しい顔でみつめている。その表情の奥にあるのは、性欲でも恋慕でもなくもっと温かい感情のように僕には思えた。
その瞳に「そうだね」以外の言葉を返せる人がいるだろうか。
僕はいないと思う。
彼女たちの問いかけに素直な気持ちを僕は返した。
すると、美琴さんが少しだけ俗っぽい顔をする。
「けれども、ちょっとくらいエッチな悪戯をしても許されるかもしれませんわね?」
「もうっ! やめてよ!」
「うふふ。冗談ですわよ」
美琴さんが誤魔化すようにウィンクをした。
この国の多くの若者を魅了する魔性の顔を向けられて、さっそく僕の中の友情が愛情に変わってしまいそうだよ。
やれやれ。
本当に美琴さんにはかなわないな……。
「それじゃ、飲み物入れてくるね。なにがいい?」
「あら、ありがとうございます。それではコーヒーで」
「私は紅茶がいいな!」
「緑茶でお願いしましてー」
全員が全員、違う飲み物を頼むなんて。
ほんと遠慮がないんだから。
気を使わない友人達に、ちょっと呆れながら僕は立ち上がる。
家捜しをしないよう三人に注意すると、僕は部屋を出てリビングに向かった。
幼馴染のバーチャル女子会で僕は三人の女の子と出会った。
そして彼女達と、僕はどういう縁か惹かれ合い、性別を超えた友情を育んだ。
いや、僕の思い違いの可能性は大いにある。
今の僕たちの関係は危うい均衡の上に成り立っており、ちょっとした気の緩みで破綻したり、恋愛感情に化けるのかもしれない。
けれども――。
「この友情を今は大事にしたいかな」
僕はリビングの扉を開ける。
母もいなければ妹もいない一家団欒のスペース。そこには、全裸の幼馴染の姿しかなかった。僕は赤ら顔の彼女の横を通り過ぎると飲み物を求めてキッチンに入る。
冷蔵庫上の籠からティーパックとドリップコーヒーを取り出す。
同じ柄のカップを戸棚から取り出したが、困ったことに盆が見当たらない。
どこにあるのだろうかとキッチンを見渡していると、「はいこれ」と全裸の彼女が気を利かせて持って来てくれた。彼氏の家なのによく知っているなぁ。
もうすっかり新妻気分だね。
「ありがとう陽佳。助かるよ」
「うぅん、いいよゆうちゃん。気にしないで」
道具が揃ったので、僕はポットからとくとくとお湯を注ぐ。
さて、自分の分はどうしようか――。
やっぱり、男はコーヒーだよね!
それもブラック!
僕はドリップコーヒーのパックを破ると中身を取り出す。
そして、フィルターの中のコーヒー豆を全てカップの中にぶちまけた。
視線を上げれば、指をくわえてこちらを見る全裸の彼女。
ふっくらとした愛らしい胸、惚れ惚れするラインのくびれた腰、柔らかそうな大きなお尻、すらりとしてきめ細やかな肌をした脚。
何度見てもいつ見ても飽きない。
僕にとって完璧な女の子。
そんな彼女を眺めてぐびりといっぱい。
うぅん。
――全裸やん。
僕はコーヒー豆のスープをシンクに吹き出した。
「なにやってるの陽佳さん!!!!」
「やーん! やっと気づいてくれた! 無視するなんて酷いよ!」
酷いのは君の格好じゃない⁉
唐突な陽佳の登場と異常な状況に頭がパニック&パニック。
何が起きてるのかさっぱり分からない。見慣れたはずの彼女の裸を前に、僕は【全裸女子会】の時のように固まってしまった。
この感覚、本当に懐かしいな――。
僕の前で全裸彼女はしょんぼりと肩を落とした。
つんつんと、人差し指を突き合せてちょっと不安げ。かわいらしい仕草だけど、格好のせいでちっとも感情がついてこなかった。
「ごめんね、ゆうちゃん。私、ゆうちゃんが他の女の子に盗られちゃう思うと我慢できなくて。ずっとずっと好きだったから。私の方が先に好きだったから」
「うぅん、今度はWSSかぁ……」
少し高飛車なギャル系【お嬢様】。
フレンドリーな悪友系【スポーツ少女】。
ミステリアスな清楚系【大和撫子】。
たしかに、少女漫画に出て来そうな敵役属性!
陽佳が心配しちゃうのも納得だ!
そうこうしているうちに陽佳が僕に組み付いた。
彼女は僕を強引にソファーまで連れてくると、「どりゃぁー!」とムードもへったくれもなく押し倒した。
そのまま全裸馬乗り。
不安げに揺れる濡れた瞳。悲しみに凍える小さな唇。
付き合いはじめたころから少し伸びた栗色の髪。
唇の端で髪を噛んで陽佳は僕を睨む。「どうしてこんなことするの?」と責めているようで、「いいから私を見てよ!」と甘えているようにも見える。
僕にはもう黙ることしかできない。
服を着たままの僕の胸に陽佳が沈み込むように身を寄せる。
陽佳の切なさが僕の胸にこれでもかと伝わって来た。
「大丈夫だよ、陽佳。僕の彼女は君なんだから。美琴さんたちはただの友達」
「浮気する人はみんなそう言うじゃない!」
「じゃあ、どう言えばいいのさ!」
拗ねてしまった陽佳の頬を僕は優しく撫でた。
零れそうな涙をすくうわかりに僕は彼女の目元に口づけをする。
それから悲しいことを言う唇も塞ぐ。
再び二人に別れた僕と陽佳。その顔を見上げて「まだたりないかな?」と僕は視線で問いかける。すると、「まだまだ足りない」と熱っぽい顔で愛しい恋人は頷いた。
僕に残されている手札は、もう恋人同士の愛情確認以外にない。
もうしょうがないんだから――。
「ゆうちゃん、ごめんね。こんな重たい女の子で」
「いいよ陽佳。僕だって重たい彼氏だ」
陽佳の柔らかな手が僕のお腹を服の上から撫でまわした。
おへそをこね回した人差し指が、そこから零れるように脚の方へと流れていく。
彼女の愛でしっとりとした指先が僕の肌に触れた――。
その時。
「ゆうちゃんさん。やっぱり手伝いますわ」
「ゆーいち、ちょっと遅いよ! なにやってるの!」
「まぁ、陽佳さん。いらっしゃっていたんですね。それに……」
ガチャリとリビングのドアが開いて僕の女友達三人がやって来た。
僕の帰りが遅いのを心配してくれたようだ。
なんて健気な女友達だろう。
きっと僕が居ない隙に家捜しするんだろうな――なんて、邪なことを考えてごめんよ。君たちはそんなスケベな女の子たちじゃないよね。
けど。
――なんで全裸なの!
僕の様子を見にリビングに降りてきた、美琴さん、愛菜さん、幸姫さんの三人は、 Discordで初めて会った時と同じ姿になっていた。
堂々たるすっぽんぽん。
目に痛いほどのヌード。
全身全霊全力全開全裸。
なんでだよ!
僕は部屋の入り口にならんだ、六つのうつくしいたわわに戦慄した!
「どうして全裸なの三人とも!」
「あーん、やっぱりそうだ! ゆうちゃんとみんなS○Xするつもりだったんだ!」
動揺する僕。泣き喚く陽佳。「S○Xするのはお前達だろう」という視線を向ける美琴さんたち。チクタクと壁に掛かった時計がやけに五月蠅い。
どうしようもない空気の中で、毅然と声を上げたのはやっぱり美琴さん。
彼女は今にも吹き出しそうな笑顔で僕に言った。
「なにって、友達の家に集まってやることと言ったら決まってましてよ」
「……まさか」
「そう――【全裸女子会】ですわ!」
そんなわけで。
きょうもぼくはかのじょたちといっぱいなかよくするのだった。
【了】
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