EP:22-Hot break. 〜④〜
デートタイム。
被害者は厨二巫女娘。
「和スイーツ良かったですね!」
「ウチじゃパンケーキとアイスしか無ぇしな...このレパートリーは憧れるな。」
「親日フェアという名目で和スイーツをお出しするのはいかがですか?」
「それ頂き。」
カフェでしっかりスイーツを堪能した所で、2人は山道へ。
"案内したい所がある"と彼は言い、彼女を連れて行く。
雪道を歩くという事で、足元もそれなりの装備。
だが、慣れないのもあって足元がおぼつかない。
「ほら、捕まれ。」
だが、バランスを崩さぬ様に彼が腕を差し出す。
恥ずかしがっていると迷惑を掛けそうだ。
言葉に甘えて組む様に捕まる。
「カップル訓練、雪国編。」
「い、言わないでくださいよぅ...」
絶対何か言われると思ったが。
しかし、本当にどこへ行くつもりなのだろうか。
人里からどんどん離れて行く。
森林の中へ。
初雪と会ったという寺院跡だろうか?
それにしてはそれらしき装飾が見当たらない。
寺院と言えば和の筈だ...周りにはどちらかと言うと洋のモノが見える。
石壁の残骸。
石碑の跡。
「昔この地に来ていた時はこの辺りをよく遊び場にしたもんさ。」
確かに、神秘的な場所だ。
こういう雰囲気に憧れる人間にとっては、格好の遊び場になり得る。
懐かしむ様に、優しい表情の彼。
が、突如苦笑いに変わって。
「...そこにいる奴の様に。」
「氷結、解!!」
彼が指す方には、初めて会った時と変わらずお手製なのか、お札を振りかざす巫女服少女...佳奈江の姿が。
「氷結、か...はぁあああ!!?」
こちらに気づいたのか、顔を真っ赤にして凍結。
皮肉な事に彼女が唱えていた通りに氷結が起きている、自分に。
と思ったら顔だけ真っ赤に発火し始めた。
「な、な、な、何で...」
「こんな所に...か?昔テメェをここまで連れまわした悪ガキは誰だと思ってやがる。」
「そう言えばそうだったのよ...あどヴぉっ」
突如彼女の後頭部を穿つ雪玉。
それなりの威力だった様で、仰け反った彼女は涙目で後ろを睨みつける。
「痛いのよ!?」
「誰が休んでいいと言ったの。」
投げつけたのは初雪。
自らが持つ能力で雪玉を発生させたらしい...かなり高度な技術だが、そこは流石神様か。
どうやら、佳奈江に力の使い方を教えているらしい。
"ごっこ"ではなく、本物の。
札の術式は余り見覚えが無いが、初雪が教えているのならちゃんとしたモノなのだろう。
しかし、雪玉...。
ブレードも無言で作り出し、投擲。
「わぷっ、ブレードさん!?」
ソニアに。
なので彼女は、犬の様にふるふる雪を頭から落とし。
彼女もせっせと雪玉を作り。
「お返しです!」
ブレードに投擲。
「馬鹿ガード。」
「なのよっ!?」
が、それを鷲掴みした佳奈江の顔面でガード。
「はっはっは、来いよソニア、俺は盾持ちだぜ?」
「ヘールプ!!ヘルプなのよー!!」
「遠慮なくやっちゃっていいの。」
「い、いいの!?」
突如始まった雪合戦だったが程なく方が付き。
結果として巫女服姿の雪像が一体出来上がった。
落ち着いてから、ソニアは佳奈江にブレードの昔の姿を聞く。
聞くと、彼女は病弱でよく学校を休んでいた。
それはいくらか元気になっても癖の様に休んでいたらしい。
が、夏休みの時期。
突如現れたクールに見えて腕白な少年、ブレード。
周りの家族は忙しくて暇だったのか、何故か自分に構ってきた。
最初は誰かと関わるのを嫌がり、無視していた。
が、余りにも出不精の自分を心配したのか織江に家を追い出され、彼と遊ぶことに。
遊びの内容と言えば、サブカルチャーを彼に勧められながらその真似事をしたり。
彼は元々身体が動く方だったので、所謂"かっこいい動き"を沢山見せてくれた。
それは彼女にとって未知の世界で、目を奪われた。
そして会う度に同じ様に遊び。
アニメ等のサブカルチャーにもハマり。
気が付けば...今に至る。
という、彼の話から頭を抱えて激しい自己嫌悪にシフトするのは早い話だった。
聞いててオチでソニアの顔も苦笑いに。
だが、昨夜もブレード達に言った通り。
自分も似たような時期があった。
嘗て自分を助けた少年...ブレードの姿を、はっきりとは忘れていても。
黒衣に身を包んだ何者かが自分を救ってくれた、それだけは忘れない。
けど、沢山傷つけてしまったのも思い出してしまった。
彼だけじゃない、自分は何度も助けられてきた。
色んな人に...存在に。
そして沢山自分のせいで傷つけてしまった。
自分を助けたせいで。
「ソニアさん、どうしたのよ?」
思い出して顔を俯かせていた。
それを気になった佳奈江が問うが。
ソニアは直ぐに表情を笑顔に戻し。
「ううん、何でもない...ごめんね。」
誤魔化した。
一方、ブレードと初雪。
彼は以前手に入れたリュンクスを彼女に見せる。
これも祠関連で手に入れたモノだ。
「この地もこういったモンあんのか?」
「あるの。」
思ったより即答だ。
まぁ、あるとは思っていたが。
「でも、渡せないの。」
まだそこまで信用していない。
という訳では無い様だ、表情につれなさが足りない。
「手元に無ぇって事か。」
「なの。」
「で、その様子だとどこにあるかはわかってんだな。」
「当然なの、あれは雪の力の一端。」
「そうかい...ってことは。」
再度リュンクスを眺め。
これが起こしていた風。
昨夜、初雪の力と共に手助けしてくれた風。
一致する感覚がある。
「こいつは"あいつ"の力の一端か。」
「...」
"あいつ"が誰を指しているのか。
彼女はわかっているのだろう。
だが、反応がない。
怪訝に感じるブレードだが、何も言わない。
敢えて...何も言わない。
「ま、いいや...単刀直入に言う、俺は"そいつ"が必要だ。」
「昨夜みたいのがまだ来るという事なの?」
話が早い。
「それもあるが、この島全体に何かが起きている...純粋に力が欲しい。」
「人は何時の世も欲張りなの。」
「人だからな。」
「真理なの。」
だが、今すぐは無理だとの事。
残念だが、向こうの気を待つしかない。
"ここ"から感じる力を渡してもらえる気になるのを。




