EP:22-Hot break. 〜③〜
新武器入手。
彼は言わばマルチウェポンなのでこれからもジャンジャン増えます。
食べ終わり、ブレードはソニアの元へ。
アニマも誘おうとしたのだが。
「にぃ、ソニアと2人で行く。」
「あ?けどよ...」
「行け。」
「へい。」
何も言い返せない凄みがあった。
彼が言い返せないなど相当である。
まぁ、また明日色々連れて行こう。
「おーいソニア。」
「あ、ブレードさん。」
丁度一人でロビーの従業員からおすすめのお土産を聞いていた所である。
ブレードは来たのでとことこ駆け寄る。
...犬みたいだ。
尻尾があったらふりふりしてそうな程に満面の笑み。
「どうしたんですか?」
「デートしようぜ。」
「はい!...え?」
彼は何と言った?
デート?逢引き?
「ぴぃいッ!!?」
「お、この旅行初の小動物ボイス。」
目の前の男は何軽く言ってくれてるんだろうか。
しかし、この男とはよく遊びに行く。
これもその感覚...そして弄りだろう。
そうと理解したソニアは軽く心を落ち着ける。
「い、いいですよ、行きましょう!」
ここで慌て続けたら目の前の男の思うつぼだ。
この意地悪男の。
「じゃあ、着替えてくるから30分後にここでな。」
「はい!」
けど、それはそれで楽しみだ。
昨夜も激戦で疲れているであろうブレードに何か自分なりの労いをしたい。
観光スポットは色々調べて来た。
後は気合を入れて着換えよう。
...これではまるで、想い人と出かけるみたいだ。
そうふと思った瞬間には顔がとんでもなく熱くなっていた。
5分消費。
しかし、今は旅行中...着れる服など荷物の要領的に限られてしまう。
ずっと悩んでいると、後ろから姉、チェリムが声を掛けて来た。
"イイ笑顔"で。
自分が悩んでいる理由は全てお見通しだと理解した。
...してしまった。
最近の姉は前までの仏頂面が鳴りを潜めてとても表情豊かだ。
ニヤニヤしながらメアリーと一緒に自分を着せ替え人形にするなんて前じゃ考えられない。
まるで御伽噺に出てくる悪い魔女が自分を実験台にしている様に。
その頃、ブレードはサッと着替えて待ち合わせ場所のロビーに向かっていた。
が、突如織江が彼を呼ぶ。
ロビーに向かう道と同じだったので、そのままついて行くことに。
そして、途中の部屋に案内された。
倉庫の様だ...少し埃臭い。
織江はその中から一丁の銃を取り出した。
漆黒に彩られたフリントロック銃。
否、それらしく見えたシングルアクションピストルだ。
不思議な構造をしており、サイトの奥にスリットがあり、そこに弾丸を刺し込むらしい。
中折れ式の折らないパターンと言うべきか。
「これは?」
「古来より我が家に伝わる短銃にございます...南蛮から届けられたモノかと。」
「まぁ、確かにカリブ時代の海賊とか持ってそうだよな。」
手に取る。
しかし、尋常でない圧を感じた。
魔力。
「女将...こいつぁ。」
「言わば、自然のA・Wでしょうか。」
「やっぱな...」
それも、生半可な使い手は受け付けないらしい。
下手したら飲まれる。
だが、自分だってそれなりの修羅場を潜って来たと自負している。
己の力を以て銃に命ずる。
従え。
従え。
従え!!
命ずる事数秒、その圧は収まった。
先程は暴れそうな程の重圧を感じたが、今では嘘の様に手に馴染む。
「やはり、今の坊ちゃんなら使いこなせますか。」
「爺さんが言ってたのか、それ。」
「えぇ...」
ミキシング事変。
そしてそれまでにも彼は過酷な人生を送って来た。
語るのはまだになるが。
それに最近の仕事、そして魔人との邂逅。
「ま、色々あったしな...いいのか?」
頂いても。
その問いに対し、織江は笑顔で。
「もちろんです、その為に貴方をここに呼んだのですから。」
「旅行に来たのは偶然だったのにな。」
「それでもこちらにいらっしゃったのですから、丁度良いではございませんか。」
それもそうだ。
「名は?」
「ございません。」
「そうかい。」
練習の用意もしている様で、共に庭へ出ると的が置いてあった。
「準備が良い事で。」
ホルスターを後ろ越しに取り付けて、弾も仕舞い。
振り抜くと同時に弾を放つ。
的のど真ん中を撃ち抜き、即座にリロード。
専用弾を込めて他の的も撃ち抜き、撃ち抜き。
駆け出し、飛び上がりながらリロード&シュート。
ちょっと魔力を込めると弾丸は意思を持った蛇の如く捻って動く。
それはやがて大きく無数のWを重ねた様にジグザグを描き、残った的を纏めて穿つ。
...気に入った。
「草生やし銃。」
「おやめください。」
「冗談だ、アウトローと名付けよう。」
新武器入手。
アウトロー...フリントロック式を象った追尾性能がかなり強力なシングルアクションピストル。
装填の手間を考えると使い時を考えねばならないが。
それでも心強い武器だ。
眺めて感心していると、力強い拍手が聞こえる。
音の方へ眼を向けると、お目ん目キラキラさせながら高速拍手しているソニアの姿。
...
「流石ブレードさん、かっこいいです!!」
「...どうも。」
この少女、偶に自分を特撮ヒーローと同じ扱いしていないか?
どうやら今の動きを全部見ていたらしい。
その上でこんなストレートな称賛...むず痒い。
「おや坊ちゃま照れてらっしゃるので...」
「うるせぇ。」
知らず知らず、彼女は仕返しを完了した。
そんな所で、デートへ。




