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EP:21-Do you want to dance? 〜②〜

ブレードは手を抜いている訳ではありません。

全盛期を思い出して来ているだけです。

代価と共に。


「ただならぬ様子だったのですわ...」

談話室。

初雪が女性陣の部屋に向かった時には、コーニッシュが全員叩き起こしていた。

男性陣も、女性陣も。

そして旅館の人間も...貸し切り状態になっていた様で、顔見知りしか見当たらないのが好都合だ。

そしてこの部屋に集め、話した。

謎の存在に襲われた事。

彼が護ってくれた事、そして今現在交戦中だという事。

そして、離れる様に警告を受けた事。

「あいつがそこまで言うのは余程の事態よ。」

続けたのはメアリー。

「しかし、それ程に危険なのであれば援護を...」

「気持ちはわかるけど、ダメよ。」

「どうして!?」

「...私達じゃ足手まといになるわ。」

高校生時代、彼は同じ事を何度も言っていた。

ミキシング事変と呼ばれた最悪の内紛の時に。

一度だけ破った。

そして地獄を見た。

自分も、彼も。

特に彼は...泣き叫ぶことすら出来ない自分を護りながら傷つき続けた。

自分がなるべく同じ戦場に立たない理由はそのトラウマだ。

だからこそ、彼の警告を破れない。

簡易的にその事情を告げ、言い放つ。

「あいつの警告は絶対よ。」

「メアリーさん...」

「あいつが本気を出すと決めたら周りにも被害が及ぶ。」

それが意味するのは。

今まで彼は"本気"を出していなかったという事だ。

そして更に、彼の警告が意味するのは。

"邪魔だから来るな"だ。

一同は理解それをしてしまった。

「理解できたでしょう、だからここに留まるべきなのよ。」

何も言わせぬその剣幕に、誰も動くことはできない。

現実的に、彼に敵うランカーはここにいない。

ケインや一すら、動くのを躊躇してしまう。


「それでも。」


それに異を唱えたのは、意外な人物だった。

普段、強く意見を言う事の無い。

「アニマちゃん...」

無垢な娘が。

「にぃをこのままにしてはいけない。」

その瞳は真っ直ぐ、ここではないどこかを見据えている。

いつもの彼女ではない。

しかし、敵ではなくブレードを?

一体どういう事なのか。

それを理解してるのは彼女以外にもう一人。

初雪だ。

「時間が無い..."黒"の気が強くなってるの。」

「...行かなきゃ。」

不思議をなぞる少女。

決意の目を向けてその"気"とやらを辿る様に歩き出す。

が、2人して突如立ち止まり。

止めようとしていたメアリーも固まる。

何事か、2人は大窓へ。

そこは中庭を一望できる。

「動く必要は無かったの。」

初雪の言葉に、続く様頷くアニマ。

2人の見つめる方を追う様に見ると。






ーーーーーーーーーーーーー






「人間の癖に!!」

感情剥き出しに襲い掛かるポロフ。

が、すれすれで躱し。

左掌底を打ち込む。

「かはっ」

「休む暇は与えねぇ。」

ボディに決まった所を逆手に持ち替えていたインペリアルを振り下ろす。

「ッ…甘いよ!!」

が、それを両手を使って組み付く様に受け止めて来た。

このままではあちらも術がない。

呪いが来るか、どう来るか。

と言っても目から念を飛ばす呪いはもう一度食らっても無効化できる。

付与した力の恩恵で。

なら、どう来る。

なんて悩む間もなく、尻尾を生やしてきた。

尻尾の先は蠍を思わせる刺々しさ。

毒なんて安直に考えない方が良い、きっと呪いが付与されている。

それも目からの呪いとは別のモノだ。

呪いというのは一つ一つがプログラミング言語の数式でできている。

一つ対処した所で形を少しでも変えられたら新たに対処するのに面倒が掛かる。

それに、対処する魔力のキャパも考えると...想像はしたくない。

魔人相手に人間の企画で考えてはいけない。

呪いは二の次だ、多少食らう覚悟で行くしかない。

それはそれとして、成す術がないとでも思ってドヤ顔のポロフ。

伸びてくる尻尾に腕を絡ませる。

さっきと同じ要領で。

テンパった所で、インペリアルを放し、力を込めて腕を伸ばす。

首を鷲掴みにした所で持ち上げ。


叩きつける。


その衝撃は予想を逸脱していた様で、諸に食らった。

故に拘束は離れていき、距離を取るブレード。

その表情は余裕綽々と言った所。

「どうしたガキンチョ、随分と地味じゃねぇか...あ?」

嫌味の一つでもかました所で、様子がおかしい。

「よくも...よくもよくもよくも...」

目に見える程のドス黒いオーラを放ちながら更なる変貌を遂げていく。

禍々しく紅い筋の文様が身体中を巡り。

尻尾が九つに。

その一つ一つから違う魔力を感じる。

属性...違う、呪いだ。

多種多様の呪いを一尾一尾に宿している。

更に宙に浮き始めた。

生半可な攻撃は届かないと考えよう。

冷や汗が流れて来た自分には気づかないふりをするとして。

「あっれー...テメェのそんな姿初めて見たんだが。」

「殺しテやる!!」

「いじめるからシフトしやがったよ...ッ!」

しかも口調がおかしい、精神にも異常を来す程の覚醒を起こしたとでもいうのか。

改めて気を引き締めろ、自分。

覆う様に襲い掛かって来る尻尾の波。

その場に落としていたインペリアルを拾い弾きながら躱す。

機関銃を相手にするのと同じものと考えよう。

「甘イよ!!」

追尾性能付きだが。

後を追うように追いかけてくる尻尾の棘を弾いていに。

ホルスターからローグを引き抜いて、本体目掛け数発発砲。

が、尻尾は防御性能も高い様で難なく弾いてきた。

「その程度ォオ!!?」

「色直しした途端に強気だなこんクソガキャ...」

逆にこちらはジリ貧の可能性も出て来た。

必殺を打つという手もあるが、魔力の消費が激しい。

いざという時の決め手の為に残しておくには一撃に留めておいた方が良いだろう。

だがどうする。

"黒"の力も永続的に使えば魔力を超えて体力に影響してくる、そうなると疲労も相まって益々地獄だ。

再び覆う様に襲い掛かる尻尾の群をバックフリップで躱したところで再度発砲。

追い詰められている、このまま下がり避け続ければ旅館にも被害が届く可能性もある。

牽制しながらで良い、考えるんだ。

次の瞬間。

「にぃいいいい!!!」

馴染みのある声が聞こえる。

いつも一緒にいる声だ。

その声と共に上から降って来たのは...鞘。

誰が彼女に渡したのか、わかるがそれは後回しにして受け取る。

インペリアルを目前にてその鞘に納め、左腰元に携え、構えを取る。


抜刀術(自分の本気)の構え。


「あはははそんナおもチゃ増えた所デぇ!!」

油断している。

動きを止めた彼を確実に仕留められると勝利を確信し。


その慢心を。


断ち切る為の、抜刀。

振り抜かれた刃は尻尾を全て斬り裂いた。

「なっ!?」

怯んだ所で畳みかける。

「そんナ構え...見タ事...」

「こっちに来て教わったからな、中々ハマったぜ。」

次に交差の構え。

左掌に魔力集中。

紡ぐは呪言(じゅごん)

「来たれ、追憶より出でし星刻(せいこく)極光(きょっこう)!!」

彼にしては珍しく、呪文詠唱。

言葉によるブーストが掛かり、瞬時に魔力が募る。

超新星が凝縮されたかの様な光の塊を。

「ノーザンライツ!!」

放つ。

眩き滅びの極光を、目の前の"憎きあんちくしょう"に向かって。

「こんナ...もノ...ぐ...」

受け止め、拮抗する。

かの様に見えたのも一瞬、光は広がって弾けた。

「馬鹿...な...ぐぁあああ!!!」

その衝撃に抗えず。

光が去ると共に爆散した。

魔力の消費も半端では無かったが。

「倒したか...」

やっと終わった。

その安堵と共に皆の元へ戻ろうとする。


メアリーのトラウマは別の話で語られます。

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