EP:20-As the flowing stars guide. 〜④〜
わしも温泉入りたい、美女と。
食後は温泉に。
ここでは露天風呂に定評がある様で、男湯女湯それぞれに大きな湯舟がある。
その中、コーニッシュは一つ気がかりがあった。
アニマは良い、初雪もだ。
だが問題は他の面子にある。
一番小さくてもクラナ...ある。
次にカノン...ある。
チェリム...ある。
メアリー...背は低いが胸だけモンスターなトランジスタグラマー。
一...サラシで抑えて苦しくないのかバズーカ級。
ソニア...これでもか、神級。
そして自分を見つめなおしてみよう。
ある筈のモノが無いのだ。
バグだろうか、この世の。
自然と涙が溢れそうになるがそこをクラナが肩を抑え。
「入ろう、レヴァノンさん。」
「クラナさん...」
自分よりもあるけど常識人の彼女はこの旅行でよく自分の愚痴を聞いてくれていた。
警察と怪盗なのに。
ていうか、"彼"からの扱いからしてバレていたらしい。
"大変だったらしいね。"
なんて同情された時には号泣しそうになった。
ともかく、気にしていても仕方ない。
ここにはほとんど敵しかいないが気にしない事にしよう、惨めだから。
雪景色を暖かな湯に浸かりながら眺める一夜。
一同は一種の感動を覚える。
「綺麗なの...。」
「初雪ちゃんは温泉入った事ある?」
と、尋ねるのはソニア。
彼女の隣では気持ちよさそうに目を細めるアニマ。
「昔にちょっとだけなの。」
「そっか、私もなんだ。」
「...さっきからあの男と親しそうにしていたけど、恋人なの?」
「こ!!?」
確かに、近頃の彼女は彼とよく2人っきりでデートしたりが多い。
端から見れば恋人に見えても仕方ない。
正直、チェリムとしてはニヤけてしまう様なネタだ。
が、そこでまさかの。
「にぃとソニア、恋人違うー。」
「アニマちゃん...そうだよね、私なんかとブレードさんじゃ釣り合わないよね、ね。」
「まだ。」
「そう、まだ...ぴぃえ!!?」
赤面スイッチオンで小動物モード。
アニマ、わざとである。
「い、いや、あのブレードさんは優しくて思いやりのある方で少し怖い所もあるけど強くてかっこよくて私にはもったいない程良い方で...」
「え、誰ですのそれ?」
コーニッシュの知っている彼と違う。
優しくて思いやり...いや、あるのかも知れないが。
孤児院のみんなの面倒を無償で手配してくれたり。
けれど自分に対しては唯我独尊で暴虐な面が目立つ。
「そう言えば、俺も色々兄貴に助けられたんだよな...」
続くのは一。
家族の事情、性別の事情。
ピンチも助けてもらった...今も昔も。
「そうだね、お兄ちゃんがいるから私も無事でいるんだね。」
彼を兄貴分と慕うジュリアスに助けられ。
ジュリアス共々彼に救われ。
枷を壊してくれて、新たな居場所もくれた。
「あいつってば、乱暴だけど何だかんだ誰かを救うのよね。」
「会った時から変わらないよね。」
続けて紡ぐのは同級生コンビ、メアリーとクラナ。
「お2人は彼と同級生だったか、そんなに今と変わらなかったのか?」
問うのはチェリム。
対して2人はやれやれといった感じで笑いながら。
「えぇ、ほとんど。」
「面倒見が少しよくなったよね、昔に比べて。」
済し崩しとはいえ、アニマを受け入れて。
初雪にも優しくし。
そしてソニアの面倒も見ている様なモノだ。
チェリムはやはり、彼なら妹を任せられると再度確信する。
「にぃ、優しい。」
「...まぁ、悪い奴じゃないの。」
一応救ってもらった身だ、恩義は感じている。
かくいうソニアも色々助けてもらって、彼を意識していない訳では無い。
そんな懇意にしている彼がこんなにも沢山の人間から評価を頂いている事が何だか嬉しく思えた。
けど、コーニッシュにはまだ彼自身に救われた経験など無い。
脅された経験ならあっても。
だから皆が言うほど、彼の魅力を理解できないのだ。
何故かちょっと、悔しく感じた。
何故だろう。
何故...?
「モテモテだな、友よ。」
「どこがだダチ公、全員錯覚だ錯覚。」
なんて女性陣の会話丸聞こえだった男性陣。
ジュリアス1人だけ、周りを羨まし気に見つめる。
彼の身体はまだ筋肉が未発達でかなり華奢だ。
その割には防御力的な逞しさはしっかりと鍛えられている訳だが。
そんな彼を見て、今でも少し複雑な心境を抱くのはケイン。
初対面で彼を害する為に動き。
和解後に女装した彼を本気で女性と勘違いし、一目ぼれして玉砕。
その時に心底から謝ったのを自ら忘れない。
今ではこの間の海軍の件もあって、彼も立派に戦士の器だと認めている。
これからの成長が楽しみだとも。
が、願わくば兄貴分の悪影響だけは受けてくれるなよと望むばかりだ。
「ふふ...B.E、君はそういった所が昔からモテてたよ。」
「見てくれに騙されてんだろ、どいつもこいつも。」
優しいだのモテるだの背中が痒くなる想いだ。
自分の容姿が中の上か少し下と評価するとして、自身の言動が周りから見ればキツい自覚がある。
そんな人間がモテてたまるかというのが彼の見解だが。
「ホプキンスさんは、行動で誰かを助けますよね...一も僕も目標にしてますよ。」
「選べ、目標くらいちゃんと選べブルーヒーロー。」
と言っても、憧れの対象が様々な面においての恩人であれば無理もない。
全ては彼の行動が"今"を繋げたのだ。
それを自覚してしまっている為、複雑なロジックに悩まされ続けるブレードだった。
モテると言えばモテますが、これはハーレムではありません。




