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EP:19-The person who inherits the soul. 〜⑤〜

気に入っていた、いる相手の為ならぶっきらぼうでも骨を折るし、頑張って慰めもする。

本当は優しい男。


「それから私は、放浪していた所、この教会の先代神父に拾われて今に至ります。」

「...」

「私も本当ならあのアジトの人間と同じく、彼に裁かれるべきなのです...我が身可愛さに2人も見殺しにした私なんて...」

全てを聞いた。

対し、臨時神父ブレードは。

「...(しゅ)はそなたをお許しになるだろう。」

「いえ、そんなはずが。」

「ていうかな。」

いい加減に面倒くさくなったのだろう、乱暴にヴェール解除。

その下には呆れッ面。

「逆にあんたはそのガキを恨まねぇのか、一応仲間を皆殺しにされたんだぜ?」

「とんでもない、当然の権利です...本来なら私の事だって。」

「するかバーカ、罠に嵌めたのはテメェ以外のあのバカ共だろうが。」


...


「...へ?」

「察し悪ぃな神父様...いいか、それなら本来懺悔するのは俺の筈だ、マハの仇の為の復讐とはいえ、テメェの仲間を皆殺しにしたんだぞ。」

ナイフだけで、命乞いをする者も含めて無残に。

より残酷に、苦しませる様に。

屍累々の地獄絵図を作り出した。

たった1人で。

「ッ...じ、じゃあ...貴方は"あの"ブレード...?」

「あぁ...何年振りだろうな、トレム。」

彼は優しかった。

マハに次いで兄貴分の様だった。

どこかで無事でいて欲しかった、裏切り者で無ければだが。

が、その望みは叶えられた様で。

「あの晩、あんただけがあそこにいなかったから、てっきり奴らと離反したモノだと。」

「さっきも言いましたが、情けない事に怖くて何もできませんでしたよ。」

「我が身が可愛いのは人として当然だろ、俺もそうだ。」

その当時も、囮にされた彼は生きるのに必死だった。

最中、マハが助けに現れたが、自身を庇って重傷を負う。

それも、自身がこの島に来る時に招いた下らない因縁のせいで。

だが、彼のお陰で済し崩しにその場を高所から転落する形で離れられた。

死亡扱いされ、追手は来なかった。

けれど、マハは蓄積された肉体のダメージにより、もう長くなかった。

実は元ランカーだった彼は、自分の身を魔力で強化していたが。

体力の限界により、魔力も尽き。

彼に最期の言葉を遺して、彼の腕の中で息絶えた。


"苗字が無けりゃ、俺のをやる...あぁ、金を手に入れて、ハワイアンカフェやんの...夢だったのにな..."


「だから俺は、ブレード・E(エリューシル)・ホプキンスとして生きる...あの後、全て諦めようとした俺が言うのも烏滸がましいが、二度と背負った荷は降ろさねぇと決めたんだ。」

「...そうですか、それは心強い。」

彼の魂は、確かに目の前の彼に受け継がれている。

力強きブレードの瞳が語っている。

「それに、今じゃハワイアンカフェのオーナーだぜ。」

「それは凄い、正しく彼を継ぐものですね!」

「ハッハー、この名(ホプキンス)に誓ってそれだけは譲れないぜ。」

と、唐突に「よし」と何を気合入れたのか。

「酒飲むか。」

「突然!?」

「何事も突然降ってくるもんだ、だからそこで盗み聞きしてる洗濯板、晩酌付き合え。」

「え?」

ブレードが言葉で指す方から現れたのはパジャマ姿のコーニッシュ。

盗み聞きがバレたからか、それとも聞いていた罪悪感からか、俯いて沈み気。

乳ネタで弄られても怒れない程に。

敬愛する神父の事も。

苦手でもあるブレードの事も。

踏み込んではいけない領域に土足で入ってしまった気がしたからだ。

「ごめんなさい...悪気があった訳では...」

「偶然聞こえちまったんだろ。」

「はい...そのまま...」

「聞き入ってしまったと...すみませんコーニッシュ。」

「そんな、神父様がどうして謝るのですか!?」

「私はこの通り、汚れた身です...本当は慕われる資格は...あ痛ぁ!?」

過去を語ったからか、卑屈になる彼に。

流れるような動作で隣に近寄り繰り出された、流星的な鳩尾肘鉄。

激痛しか生まれない大胆不敵な一撃である。

ゲホゲホと息を整えるトレムに対し、かました本人はあっけらかんとし。

「これで汝の罪は許された、身は潔白である、主よ、あ(キリエ・)われみたまえ(エレイソン)、ハイOK。」

「いや使い方間違ってますし罰が当たりますよ!?」

「なら今から俺が神だ、さっさとその卑屈を取っ払わねぇと神罰という名のコブラツイストが火を噴くぞ。」

「質の悪さが秒にしてレベルアップした!?」

「諦めてくださいまし神父様...昔はどうか知りませんが、今の彼はこうですの。」

時とは愉快ながらも残酷な物である。

幼い彼は天使の様だったが、今では悪魔である。

親しみやすい悪魔でもあるが。

「コニー、酒を頼む...この神父様の気分が上がる感じの。」

「それなら、確か居酒屋からもらって送った強いのがある筈ですわ。」

「じゃ、それで頼むぜ。」

夜は長い。

彼女を巻き込んだ宴会の始まり始まり。


そして。


翌朝、リビングには床で寝て2日酔いのトレムと。

途中で寝ちゃって毛布を掛けられながら寝ているコーニッシュと。

床で寝ながらもぴんぴんしているブレードの姿があって、起きて通りかかったソニアの悲鳴が上がったそうな。


そして帰ったブレードは、朝から不機嫌丸出しのアニマに振り回されることになった。


"こいつも最初から連れて行けばよかった...。"








一昨日。

レストランバーにて、ヴィネット夫妻との会話。

「今のままでも足りない...いずれ結界は意味を無くす。」

「では、軍事力の強化が必要という事かしら。」

「と言うより、自衛力だ。」

「自衛力...つまり、その魔人は段々襲い掛かってくるという事かな。」

「そうだ。」

とどめを刺せなかった分、また夢の大魔法がいずれ起きてもおかしくない。

他の魔人も襲い掛かってきたらなお骨だ。

「俺も更に強くならねばならない...強くなって。」

この島で生きる事を目的とし。

やがて思い出し、真なる目的として胸に抱いた野望。


「魔人共を従える魔王...ダグラス・ショウマンを抹殺する、この俺が。」


それは彼が初めて憎しみを抱いた相手でもあった。






to be continued...


今回はここまで。

閲覧ありがとうございました!


次回は月曜日!


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