EP:19-The person who inherits the soul. 〜②〜
スサノオ…もとい彼女は割と身体スペックが高いので、魔法無しでやるなら彼と良い勝負ができます。
これでも軍家の娘。
その翌日、軍事訓練施設。
広間エリアにて、宙から落下する様に木刀を振り下ろすスサノオ。
それを受け止め、流すブレード。
そのまま柄打の体勢に持ち込むが、空中で流したスサノオはそのまま滑る様に地面に降り。
身体を独楽の如く回転させ、強烈な一撃を繰り出す。
が、その背中をなぞる様に重ねて回転していた彼は彼女の頬のすぐ隣に刃を突き付ける。
しかし、頭を下げてブリッジ体制で足を勢いよく上げるスサノオ。
流石に驚くブレード、刃を弾かれ。
カポエラの要領でブレードの手元に蹴りを叩き込むと共に立ち上がり。
新たな一撃を叩き込む。
それを読んでいた彼は刹那、ローンダートで詰め。
刃の上に飛び乗り、背後へ。
再び横に一撃が来るか。
それとも...なんて、迷う間も無く。
背中に衝撃...鉄山靠を繰り出したのだ。
だが、倒れかけても辛うじて膝を立てて衝撃を防ぐ。
このまま背後から襲い掛かる。
訳がない、彼だぞ。
彼女の背を台の様に転がり、正面に躍り出るブレード。
予想通り。
スサノオは突きを繰り出す。
これが決め手になる、そう信じて。
が、勿論彼はそう甘くなく。
突きの切っ先を柄でピンポイントに防ぐ。
処か、その反動を利用して縦に大回転させた木刀をアッパーフルスイング。
穿つ様に彼女の木刀を空高く弾き飛ばし。
首筋に刃先をピタリ、その軌道は∞を描きながら。
今度こそ勝負が決まった。
2人とも息が荒い。
「今回の見事だったぜ...特に、俺の剣を蹴って弾いた所。」
「[我ながら必死だったよ...素直に負けたくなかったんでね。]」
「死中に活を見出すのは古来より人類の正しき姿だぜ。」
手を取り合い、鍛錬は終了。
その後、シャワー浴びて着替えて2日連続デートタイム。
当人に言ったら顔を真っ赤にして小動物モードになるだろうが。
場所はジパング。
「温玉揚げだってよ。」
「美味しそうですね!」
「じゃあ買うか、おばちゃん2つ。」
「あいよ。」
なんて、ついさっきまでの剣幕も嘘の様にゆったりタイム。
当然、彼の奢りだ。
そして購入した時、福引券を2枚もらったので。
やってるらしき場所へ向かうと、大賑わい。
その中、スッと券をソニアに差し出す。
「えぇッ!?」
「いや、俺こういう運すこぶる悪いし。」
昔から何故か。
故にギャンブルもクソが頭に付くレベルで弱い。
それなら仕方ないと手に取ったソニアは並び、やがて彼女の番が来て。
引くと...
金の玉。
いや、卑猥な意味でなく。
店主がベルをカンカン鳴らす中、ソニアは現実から乖離したかの如くフリーズ。
まぁ、勿論特賞だ。
内容は...温泉旅行。
辺鄙な場所だが、冬の日本の田舎をモチーフにしているエリアの旅館で、人気の高い場所だ。
しかもペア。
当てた当人は未だに信じられないのか、頬を抓っている。
割と強めに抓って痛かったのか、半泣きだ。
はい、手刀。
「落ち着けソニア、お前が当てたんだ、リアルに。」
「は、はひぃ...」
ショートは続いてる様だ、しかし自分が今ダメなのを自覚しているのか、二度目をブレードに回してきた。
仕方ないからガラガラ引いてみると、残念賞。
うん、知ってた...ポケットティッシュの袋がよく手に馴染む。
とにかく、景品の拳を受け取って、その場を後にする。
やっと冷静になったのか、券を眺めて笑顔を浮かべ。
少し経って沈む。
そして何かに気づいた様に首を横ブンブン。
そもそものくじ引き券はブレードの物だ、景品も当然。
が、それに対しブレードは。
「そこの旅館、じいさんの昔馴染みだからよ...口利いてみんなで行ける様にするか、なぁソニア。」
「!、良いんですか?」
「お前が当てたんだ、どうする?」
「えっと...よろしいですか?」
「よろしい。」
よくわからんやりとりだが、合わせてみる。
「ッッッー!!」
すると大声でやったーなんて普段外で叫ばない彼女は声にならない叫び声で券を掲げだすソニア。
次の瞬間だった。
風が吹いたと思えば、彼女の手元にあった封筒が消えていたのは。
秒で驚愕にフリーズするも、涙目インカミン。
「ぶ、ぶぶぶブレードさん...私...私ッ...」
私のせいでチケットが。
と泣きながら謝ろうとするソニアにブレードは冷静に頭に手を乗せ。
「泣くなソニア、大丈夫だ。」
「で、でも...せっかくの...」
「だから泣くなって、これやるから。」
そう言って、彼が懐から渡したのは見覚えのある封筒。
...ていうか、今無くなったと思っていた封筒そのものである。
「...へ?」
理解が追い付かない彼女は再度フリーズ。
「言っとくが、俺が盗った訳じゃねぇぞ...予めすり替えておいただけだ。」
「すり替えて...何とですか...?」
「そりゃ...」
ちょっぴり離れた場所で、爆発音。
マンガみたいな爆発後の雲が上がっている。
「あそこにいんのがお前の手元にあった物を掻っ攫った下手人。」
「何とすり替えたんですかぁ!?」
「爆弾...知り合いに頼まれて作った札型爆弾の試験品。」
我音に"日本の漫画によくある札型の爆弾を作って欲しい...この間の報酬代わりに沢山頼む"と頼まれ、彼自身が開発。
末恐ろしい男である。
「確かに商品の券を受け取ったものだと...」
「そこから素早くすり替えておいた、盗もうとしてる奴らの顔がそこに写っていたんでな。」
彼が指さすのは車のサイドミラー。
元スラムの破落戸で盗みも働いていた彼は何となく雰囲気で同族を察してしまう。
その難儀な癖が良しと働いた訳だが。
「ま、行ってみるか...場合によってはとどめ刺さなきゃな。」
「お、穏便に行きましょうよ...」
ともかく、向かう。
その爆心地にはズタボロの三人組が倒れていた...まだ幼い子供の。
五体満足だ...骨も折れていないしびっくりな事に傷も無い、滅茶苦茶恐かっただろうが。
真ん中にいる者が残骸らしき物を握っている。
「てーい。」
「がぎゃふっ!?」
そんな気絶中の下手人の頭に容赦なく拳骨を叩き込むのが彼だ。
鬼の極み、ソニアも止める暇が無かった。
「さて、チェリム呼んで合法的に拷問するか。」
「いやいいですそこまでしなくて大丈夫ですのでやめてください怖いです!!」
最早盗人よりブレードのせいで泣いている。
というかチェリムを呼んだらソニアを泣かせたのもあって洒落にならなくなる、なんたって彼女はシスコンだ。
最近の彼女ならブレードと並んで悪鬼羅刹と化すだろう。
まぁ。
流石に冗談なので、場所を移すべく運び出す。
「ソニアは真ん中の奴頼む。」
そう言って彼は両端の2人を担ぐ。
向かう先は...
流石ブレード、容赦無い。




