EP:16-The Case-Book of Dazuma vol.1 〜③〜
事件発生。
ダズマの覚悟が試される。
翌朝、昨日飲み過ぎたにも関わらず、2人はキビキビと出勤。
というのも緊急連絡が来たからだ。
"クラナが誘拐された。"
どうやら、こちらがもたもたしている間に向こうから仕掛けて来たらしい。
よりによって人質とは。
場所の指定は無かった。
雲隠れをするつもり...では無さそうだ、タイミング的に。
こちらが情報を掴んだ瞬間だ、M4に敵の刺客が潜んでいたのか。
あるいは。
「バディ、こっちに寄れ。」
ダズマは怪訝に思いながらも、ブレードの言う通りに従い。
「電子機器はこっちに置け、全部だ。」
これも従う。
何をする気なのか、身構えてしまう。
「そう固くなんな、直ぐ住む。」
「せめて何を...ッ!?」
するつもりなのか言ってくれ。
そう言おうとした瞬間、彼が自身の身体全体に衝撃が走る。
火花が散る様な痛みが全身を包んだ。
一瞬だったが、激痛が走った。
いつの間にか、彼が触れたことによって。
「コネクト・ノヴァ...テメェの身体に小爆発を起こさせた。」
「な、何故...」
問いを投げた時、自分の首元から何かが火花を放って落ちる。
黒く、小さな粒。
「盗聴器だ...無線とかにも気取られないたぁ、とんでもねぇ高性能さだ。」
「...くッ...。」
付けられたタイミングは把握できる。
そう...嫌でも。
「そろそろ痛みも抜けた頃だろう...行くぜバディ。」
「...あぁ、バディ。」
正義を...
昼下がりの廃工場。
お決まりのパターンだ。
突入するのは、ダズマ1人。
拳銃を構えながら、静かに、ゆっくりと場内に入る。
まだ日中だというのに、日の光を通さず暗い。
よく見えないので何があるかわからない、壁に擦りつける様に進む。
背を見せれば何を受けるかわからない。
...敬愛する恩人...コルトの教えだった。
前に何かある...ブレードから渡されたインカムに付いているライトを微弱に点けると扉らしき物が。
音が鳴るだろうが、止むを得ない。
少し開き、即座に入り、銃を構えて扉に背をくっつける。
すると、突然のライトアップ。
ホールに出た様だ。
そんな事よりも、だ。
「んん!!んんー!!」
真ん中に小さな椅子に立たされ、猿轡を噛まされているクラナの姿。
他に何も見えないし、そのまま降りて逃げ出せそうに見えるが、どこか不自然だ。
ただ目立つように置いてあるとは思えないし、まるで処刑台の様だ。
そう思った時には、インカムからモノクルを出して不可視モードに。
やはり。
見えない縄が彼女の首に掛けられている。
気づかずに降ろしたら彼女は絞首刑だ。
早く解かねば、そう思って近寄ろうとしたが。
足元に銃弾。
「1人か、相方はどうした?」
現れたのは件の売人。
手元にはリボルバー銃。
「別件でな、ここには来ない。」
「そうか...まぁどうでもいいがな。」
銃口をクラナに向ける。
つまり、彼女を撃たれたくなくば動くなという事だ。
言わなくてもわかるだろう?と言わんばかりに笑みを見せる。
超憎たらしい笑みだ、腹立つ。
が、従わなければクラナが危ない。
直接撃たれるか、椅子を動かされて首を吊らされるか。
恐怖か、申し訳なさか、泣きっぱなしのクラナ。
...
"お前は"正義"を護りたいのか...それとも、誰かを護る"ヒーロー"になりたいか?"
バディに昨夜掛けられた言葉だ。
自分は。
要求にしたがい、銃を静かに置いて流す。
「両手を上げな。」
両手を上げる。
だが、従えば開放すると彼は言っていない。
両手を上げ、拳銃を失い。
無防備の彼を容赦なく殺す等実に容易いだろう。
現に、銃口がこちらを向いている。
身を案じるクラナは首を横に振りながら泣きじゃくる。
絶体絶命...今の状況を表すとそういう感じだろう。
「良い子だ...死にな。」
弾が放たれる。
「なッ!?」
ダズマの右肘から。
瞬時に左手を右肘に添えていたダズマは取付型隠し銃を放っていた。
手を上げながら狙いを定めていた。
こうなるだろうと予測したバディからのプレゼントである。
放たれた弾丸は敵の銃を弾き。
怯んだ隙に空かさず接近し、鳩尾にブロウを叩き込む。
そのまま銃を奪い取り、足から胴に向けて数発発砲。
「がっ...」
「安心しろ、急所は外してある。」
手錠を掛ける、これで彼は行動不能だ。
残弾を確認し、クラナのを吊るしている縄を撃ち切る。
これでやっと解放された。
近寄って猿轡を解く。
「ありがとう...リーネット君...。」
「無事で良か...」
銃声。
「ぐッ...」
「リーネット君!!」
撃たれたのはダズマ。
いや、射線上はクラナを狙っていた。
それを彼が庇ったのだ。
防弾チョッキに当たったので、無傷である。
が。
「何でこんな事を...バーニッシュ警部!!」
アリソンから教えられた情報に書かれていた協力者の名前は...コルト・バーニッシュ。
銃口を向けるその顔は...笑っていた。
「息子はな...、誰に殺されたと思う?」
「暴漢でしょう、それが...?」
「あのクソ上司の息子なんだとよ。」
「!」
理解した。
あの犯人が逃げれたのも、父親であるあの上司の手回しに寄るものだ。
だからコルトはこの売人と協力して、自分も力を得て。
「復讐するつもりですか...その為に、どれ程の人が犠牲に...」
「正義だ、ダズマ...正義の為の些細な犠牲だ。」
正義。
自分もこの言葉に固執していた。
彼の教えで。
彼と同じ様に、暴走しようとしていた時期があった。
初めてブレードに会った時もそうだった。
正義とは、一人一人違う形をしているモノです。




