EP:15-Magic in kiss for you. 〜④〜
注射器を切らしていたこの状況で彼が考えた最善の手段。
この作品はフィクションであり、実在する人物・組織・団体とは何の関係もございません。
夕方、ヴィネット家の屋敷。
前以て連絡を受けていたシスカが招き入れる。
「娘を...頼むわね。」
短く返事を返し、2階へ。
ノックもせずに、奥のソニアの部屋へ入る。
「ホプキンス...ソニアが...」
息は荒く、顔は真っ青、汗の量も尋常でない。
ギリギリだ...もう少し遅かったら...
「このままでは...」
だが、間に合った今なら。
今なら手がある。
濃紫の弾丸をソケットに刺し込む。
【venom.】
あの毒を...再び体内に宿した。
勿論、自身に影響はない、操作して周りにも。
絶対耐性が付いたくらいだろうか。
そして体内である物を生成するように集中し。
「チェリム、水入れてきてくれ...なるべく沢山。」
「わ、わかった。」
返事通り、彼女はこの部屋を出ていく。
さて...気が引けるが。
苦しそうな表情で眠り続けるソニア。
彼女の唇に、自分のをゆっくり重ねる。
舌でこじ開け、体内に生成した血清を流し込んだ。
「持って来た...なッ!?」
丁度戻って来たチェリム。
前嫌っていたけど最近信頼している妹と仲の良い男性が妹に口づけをしていた。
なんて、余りにも衝撃的な光景に赤面して凍りつく彼女だが。
ブレードは口を放して。
「水。」
と、手を伸ばし。
ハッと気が付いたチェリムはペットボトルを渡す。
それを受け取り、反対の手でソニアの頬を優しく叩く。
「ソニア、おいソニア。」
反応がまだ弱い...仕方ない、本来やってはいけないが。
水を口に含み。
もう一度口を重ねる。
そしてもう一度口をこじ開け、流し込む。
口を放し、数分経って。
「ん...」
「!、ソニア!!」
目が覚めた。
泣きながら抱き着くチェリム。
「お姉ちゃん...ッ!?」
次第に意識が覚醒して来たソニアは顔が段々赤みを増してきて...
何となく彼女が何を考えているかわかったブレード。
どうやら、薄っすらと意識はあった様で。
先程の口づけが後を引いてるのだろう。
「どうしたソニア、顔が赤くなっているぞ!?」
が、気づいていないチェリム。
姉よ、気づけ、自分はさっきどの光景に動揺した。
口元を抑えて俯くソニアにやっと理解したのか、ジト目をこちらに向ける。
必要があったとはいえ、甘んじてその目線を受け入れよう。
謝罪の句を述べようとした瞬間だった。
「ご、ごめんなさい!!」
何故かこっちが謝られて、固まった...ついでにチェリムも。
「私を助ける為に...口を重ねさせてしまって...」
「いやいやいや、確かに必要だったがお前さんの唇奪った訳だからな?怒っていいんだぞ?」
「そんな、また...助けてくださいましたのにそんな事...」
いや、怒れよ。
勝手に寝てる間に治療の為必要だったとはいえ怒っていいんだぞ。
そう思ってならないブレードである...唯我独尊な彼にしては珍しい。
「それに...い、嫌ではないので...助かりましたし...。」
...何と答えればいいかわからない。
若干の気まずさを感じながらも。
「まだ、本調子にはならねぇだろうから、安静にしとけよ。」
チェリムに後を任せ、その場を後にした。
逃げる様に。
途中、覗き見していたのかニヤニヤしていたシスカにデコピンかますのも忘れずに。
ともかく。
そう、ともかく。
ソニアは助かり、一件落着だ。
後は。
夜。
某所、廃工場。
そこに集うは、例のデモイベントに参加していた団体。
「次はどこで行おうか。」
「キングダムの学校に忍び込んで広げるのはいかがだろうか?」
「いいわね、なら私が行くわ。」
次の"ベへモスデモ"...バイオテロの計画をしている。
「踊らされ、眠れる愚かな人々に天誅を下す。」
「死に逝く人類はただの敗北者。」
「我らの崇高なる使命、人類の覚醒の為に。」
「デモを行い続ける。」
その時、轟音と共に地が揺れる。
そして何やら焦げ臭い。
「何だ!?」
「見てく...ッ」
言葉は続かなかった。
首から上が吹き飛んだからだ。
代わりに入って来たのは...ブレード。
後ろには、他の仲間がいた筈の工場が全て燃え盛っている。
そんな中、彼は大胆不敵な笑みをこちらに向ける。
「よぉ、残るはテメェらだけだぜ...なんたって他は全員殺しちまったからなぁ。」
「き、貴様ッ!?」
次に口を開いた者をインペリアルで縦に両断する。
「お、お願い話を聞いて!これは...」
「言葉はいらねぇ...ダチに被害も出たしな。」
ポケットから取り出した紅黒い弾丸を指で弾き、ソケットにセット。
【Despair - Finishing Combat mode - Activity.】
天高く掲げたインペリアルの刃が闇よりもドス黒く巨大な"闇"を灯す。
死を、滅びを宿した絶望の闇を。
「この国の安寧の為に...死んで逝け。」
...
「こちらブレード・E・ホプキンス...リヴ、敵勢力の"殲滅"を完了した。」
燃え盛る業炎の中、彼は悠々とこの場を後にした。
"死"の匂いを背に。
to be conntinued...
今回はここまでです。
閲覧ありがとうございました!
次回は土曜日!




