EP:14-Beyond the dream. 〜③〜
脱出&お片付け。
必殺技も盛り沢山だよ!!
体内にて。
生臭く、息も薄苦しい中。
四肢を肉質の壁に捕らわれ、ほとんど裸の状態のクラナが目の前にいる。
沈み気な表情で。
「よぉ、お姫様。」
「ホプキンス君...私...。」
実は彼女自身はずっと正気だった。
なのに、一瞬の"嫉妬"の感情に飲まれ、魔人の策略にハマってしまった。
その結果がこれだ。
化け物の身体が構築され、体内に捕まり。
直ぐ正気に戻ってももう遅い、リヴァイアサンは暴れ狂う。
皆に...想い人に多大な迷惑を掛けてしまった。
彼が実は、学生時代から好きで。
なのに自分をそう見てはくれなくて、他にも沢山の女の子と仲良くなって。
それで勝手に嫉妬して、こんな事になってしまって。
もう一緒にはいられない、いてはいけない。
「ごめん...ごめんなさい...ホプあっつぅ!!?」
なんて嘆きも知るかと言わんばかりに、彼はどこから取り出したのかバーナーの炎をこちらの頬に掠める。
「あつっ、あちちちちちちち...え、何で!?何で!!?」
「いや、顔面焼いてやると決めてたから。」
「発想が猟奇的!!」
「夢が覚めても焼いてやるよ。」
「爽やか笑顔で言わないで!怖い!!」
ワザとらしく渋々と言った感じでバーナーを粒子化させて仕舞うブレード。
「まだお仕置きし足りねぇから、俺から逃げんなよ。」
「っ...」
「テメェがどんな悔恨を抱えようが、放してやる気はないぜ。」
...そうだ、この男はこういう男だった。
馬が合っても、合わなくても、合わなくなっても。
自分の都合で振り回し、惹きつけ、掴んだら離そうとしない。
だから好きになったのだ。
自分では認めようとしない、ヒーローな彼を。
「そっか...わっ」
四肢を縛っていた肉質の触手が夫婦手裏剣に切り裂かれ。
片手で両方キャッチすると共に、クラナの身体を優しく抱き留めるブレード。
そのままエンドブロウダーをタッチ。
「この生臭ぇ場所からおさらばだ。」
【Finishing Slinger mode - Activity.】
手裏剣が目前にて重なり、回転を始める。
「こいつ気に入ったぜ...リュンクスと名付けよう。」
ヤマネコ...嘗て日本に来襲した台風の名前から取って。
やがて長く強大な風のエネルギーを作り出すリュンクス。
穴の前に拳を翳し。
「ぶっ飛べ!!狂叫風仙波!!」
発射された極太の強風がビームの如く全てを破壊していく。
その反動で起きる風で2人は上昇する。
勢いよく上昇が続き、外に出た。
大した高さでは無かったので、スーパーヒーロー着地。
無事出て来たのを確認し、安心したケイン。
「膝を痛めるぞ、その着地。」
「だが、男の憧れだ。」
「あ、あの...降ろして...」
体内の強風で残っていた布が殆ど吹き飛んでいたクラナは裸体をそれなりに晒してしまっていた。
ケインは紳士として目を背ける。
「割と良い身体してんな。」
「目を背けてよ!?」
が、この男はお構いなしだ。
まぁ、流石に放置する訳にはいかないので、自分のジャケットを脱いで被せる。
が、流石に下部を塞ぐことはできないので丁度良く駆け寄ってスサノオに。
「悪ぃ、マント貸してくんねぇか?」
[!、わかった。]
意図を理解したスサノオは即座にマントを取り、クラナに渡す。
クラナはそれを腰元に巻き、これでやっと局所を隠せる。
「しかし、どうすればこの夢は終わるのか。」
「やはり、作り出した黒幕を始末するしかないか。」
[だが、どこに...]
一同が悩む中、1人だけ違う者がいた。
その者はアニマに銃口を向ける。
それに気づいたのはコニー。
「!、何をッ...」
止めるも遅く、引き金は引かれ。
ローグの銃弾がアニマの身体を飛び散らした。
勿論、放ったのはブレードだった。
一同唖然。
それもそうだ、いつもアニマを一番大事にしているのは彼の筈。
「なんてことを...貴方なんて事を!!」
コニーが糾弾する。
続いてチェリムも彼に非難の目を向けようとするが...
が。
「こいつはアニマじゃねぇ。」
『え?』
「あいつにしては口数が少ないし、何より感じた事の無い魔力を感じる。」
そう言ってる矢先に、飛び散った筈のアニマもどきが再生していく。
が、再度撃ち抜かれ、飛び散る。
「いや、さっき感じたな...クラナから。」
「まさか...あれの欠片...?」
「いや、あれが欠片だ...こいつらは自分の思念を切り離せる。」
あれ…魔人に関しては彼がよく知っている。
彼の故郷に連なるモノだからだ。
「だが、殺せない訳じゃねぇ。」
「容赦ナイねェ...流石はアノ方の...」
「うるせぇ。」
まだ再生を繰り返すが、再度撃ち抜かれる。
が、次に再生した姿はアニマではなかった。
「なッ!?」
先程倒した海魔...リヴァイアサンだった。
瞬時に地割れを起こし、水を噴出させる。
底に溜まった激流はまるで流れの激しい川。
触手を伸ばし、一同を捕まえようとするが、咄嗟にブレードとケインが切り裂く。
しかし、取りこぼしが一つ、スサノオの足に巻き付く。
[くっ!?]
「しまった、スサノオ!!」
リヴァイアサンはスサノオごと下の川に落ちていく。
嗚呼マズい...奴はスサノオの思考を読んだのかとブレードに焦りが募る。
「ここから援護しましょう、そうすればスサノオ様も脱出のチャンスが...」
「あいつの身体能力を信頼してる様だが無理だ。」
「そんな事ありません、スサノオ様でしたら直ぐに脱出...」
ダメだ、ブレードは知っている。
スサノオは...あの娘は。
「あいつは川が苦手だ。」
「えっ...」
時間がない、自らを星に変えて飛んでいく。
彼女の元にリヴァイアサンとなった魔人が迫る。
今にも食わんと、口を大きく開きながら。
[き、来ちゃダメ...だ!!]
だが、彼女はこちらに気づいてか、ブレードに向けて声を上げる。
けどその声を無視し、彼女の元へ向かう。
[来ちゃダメ!!だって...このままじゃあの時のあの人みたいに...ッ!!]
そして彼女を庇うように押しのけ、牙が彼の腕を貫く。
今思い出してしまった"あの時"の様に。
ずっとトラウマだった、川が。
ずっと思い出せなくて、思い出したくなくて。
誰かが自分を助けてくれて、その誰かが自分のせいで傷ついて。
もうそんなの嫌だ、それなら自分が犠牲になった方が...。
「自分が犠牲になればいいとか考えんなよ。」
[...え?]
その考えを断ち切る、彼の言葉。
「前にチェリムから聞いてたよ...あの時と同じだな。」
スサノオの身体をしっかり掴んで。
「捕まってろ。」
昔、"彼女"に掛けた言葉をそのまま掛けて。
共に星となり、空高くへ。
{何ッ!?}
敵が驚きに怯んで触手を再度伸ばすががもう遅い。
空中で身体を元に戻したブレードは飴色の弾丸をエンドブロウダーのソケットに刺し込み。
銃口が明滅するローグを構える。
「いい加減消え去れ!!」
【Cracker - Finishing Slinger mode - Activity.】
「狂魂華火弾 !!」
放たれた虹色の弾丸はワニの口の中に入り。
無数の炸裂爆発を放ち、諸ともバラバラに砕け散った。
花火玉の様に。
彼は最初からお見通し。
忘れていた事以外。




