EP:12 - KING BLADE . 〜②〜
彼の辞書に【デリカシー】という言葉は存在しない。
【デカシリー】はみんな大好き後【オッパイ】も。
へとへとになったからシャワーを浴びて。
下着を着用しようとし、パンツを履き。
ガチャっと脱衣所のドアが開き。
「よぉハジメ、そこに携帯ねぇか?」
「え、あ、うん...?」
咄嗟に胸を隠し、隅に置いてあるマゼンダカラーの携帯をブレードに渡す。
「サンキュ。」
と、何も無かったかのようにその場を後にしようとする。
が、立ち止まって。
「初対面の時点で思っていたが、やっぱ胸でかいな、しかもソニア並。」
「ッ!!?」
外ではなるべく男らしく振る舞う様にして来た一だが、この時初めて自ら女性としての羞恥心を覚えた。
初対面の時...というより普段はさらしを上手く撒いて潰している。
が、もちろん風呂や風呂上がりで巻いてる訳がない。
一瞬とはいえ、ガッツリ見られたというのに何の反応もされなかった事に謎の敗北感を覚えた。
今までそんな事なかったのに。
というか、彼は初対面の時から自分が女だと気づいていたらしい。
恐ろしい洞察力だ。
ともあれ、さっさと服を着て夕食へ。
「よぉ、チチデッカー。」
「あ、おっぱいハジメちゃん待ってたよ。」
「その呼び名やめてくれ!」
精一杯恨めしそうな顔で2人を睨む。
けれど、暫くして笑い出す。
唐突だったので、怪訝に思い。
「どうしたよ?」
「いや、こんな風に遠慮のなく接してくれるんだなって。」
自分の性別を知っているのに。
組手とかも遠慮無し。
それが嬉しかった。
ヴォーレンジャーのみんなと一緒にいる時みたいに。
性別を偽っている時みたいに。
けど、それを怪しまれた父親は自分を嫁に行かせようとした。
ランカーの資格は将来の為にと取らされた物だ。
けれど戦隊を組んでそのリーダーを務めているのは内緒だった。
絶対に反対されるから。
帰ったら...また自分を否定される。
今と違って。
考えれば考える程、顔が沈んでいく。
「暗い顔してっと乳揉むぞ。」
「なぁっ!?」
「ズルいよB.E、僕に揉ませてよ...そう。」
『エロドウジンノヨウニ!!』
「やめろぉ!!」
ここにはアニマもいるのに。
けれど、沈み気は消えた。
そんな一に続けてブレードは。
「良いかハジメ、沈みそうな時、落ち込みそうな時、ピンチで負けそうな時...等々果てしなく困った時こう叫べ。」
一呼吸置いて。
「GO,KING,GO!!...勝利の呪文だ。」
「...ふふっ、何だよそれ。」
その妙な言葉が、やけに頭に浸透して行き。
心が晴れていく。
何でかはわからないが、食事の時間を晴れやかに過ごせた。
ここで過ごして感じたのは、彼がまるで兄貴分の様だって事だ。
頼れて、支えてくれて。
気が付けば彼を慕っている。
本人に言えば、絶対に認めないだろうけど。
翌日、高天ヶ原の公園。
あれから高天ヶ原で大きな騒ぎは起きていないそうだ。
そして他のレンジャー面子にも顔を合わせていない。
ブルー以外のメンバーは何があったのかわからず、戸惑っているが。
例外はあるが、それぞれ治安維持の為に努力している。
という情報を。
「そうか、貴方の家にいるのか。」
目の前のその例外である功から聞いた。
若干痩せこけている...あれからロクに飯を食っていないらしい。
話した功は髪を掻きむしる...自身の失態を嘆く様に。
「まさか、あれを見られていたとは。」
「ムードや色々、読み違えたな、坊や。」
「全くだ...プライドを傷つけてしまった。」
彼女が嫁に行かされると焦って、本音を伝えてしまった。
一番困るであろう感情を一番困るであろうタイミングで。
その直後、激しく後悔した。
「なら、次は大事にするんだな。」
ブレードは一旦その場を離れ、近くに隠していた一を連れて来た。
俯いていて表情は読めない。
「なっ...一ッ」
「よーく話し合って仲直りしろ、レッドにブルー...お前らの仲睦まじい活躍をファンが待ってるぜ。」
後は2人だけにして、自分は帰る。
暫くして、一もマハロに帰って来た。
顔を見る限り、スッキリしたらしい。
その後、勝手に調理台に立ったスティーヴによってアニマ含める全員を皆殺しにされた。
市販のアイスで口直しして蘇生された。




