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EP:09-Flare Dance. 〜④〜

切りどころがわからず、ちょっと長くなっちゃった。

男女平等リンチ再び。


居酒屋に戻ってくると。

「動かないで!」

入店一番。

最初に話しかけて来た女性店員が、輩共に蹴られていた子供を抱えている。

右手には銃...銃口は子供のこめかみに。

「何で邪魔してくれたのよ...ここを乗っ取れた暁には多額の報酬が約束されていたのに!!」

何ともわかりやすい動機だ。

「真面目に働いた方が早く確実に稼げるぜ。」

彼だけには言われたくない言葉だろう。

「こんな安月給の店じゃたかが知れてるわ!それに早く稼がなきゃいけないのよ!」

「何だ?」

親族が病気なのかという考えが脳裏をよぎった。

が。

「弟を良い大学に行かせるにはお金がいるのよ!!」

思ったより下らなかった。

殺意アップ、獄門レベル。

「...それだけであんな馬鹿共に肩入れ?弟の経歴にもダメージ行きそうだな、ノウタリン女。」

「...私にそんなクチ利いて良いのかしら?」

見せつける様に引き金に指を掛ける。

これ以上機嫌を損ねると、人質の頭を吹っ飛ばすぞ...そう言っているのだ。

けれども、彼女は気づいていない。

背後に忍び寄る影に。

無論、彼は気づいているので。

影とアイコンタクト...意図に気づいてくれるか。

くれると信じているので、ある物を粒子化を解いて召喚。

手榴弾だ。

「受け取れ。」

「なッ!?」

それを彼女に向けて放り投げる。

人質の子供の命などお構いなしか人でなしめ!と自分の事を棚に上げて慌てる女性。

子供を解放し、手榴弾から逃げようとする女性だが。

「[ハァッ!!]」

「がふぅッ!?」

背後から襲い掛かる、スサノオの木刀フルスイングが彼女の胴を捉えた。

少量の体液を吐いて崩れ落ちる。

「ナイスだスー。」

「[貴方こそ...よくできたおもちゃだ。]」

ゴム製の偽手榴弾。

こんな事もあろうかと、常に持ち歩いているのだ。

彼に抜かりはない。

さておき、怯んだ女性の。

顔面を思いっきりトゥーキック。

次に髪を掴んで地面に叩きつける。

後頭部をそのまま踏みつける。

重心を込めて4,5度。

気絶したと感じたら今度はライターを取り出し、肌を焼いて...

「やりすぎ!やりすぎですのよ!!」

慌てて止めに掛かったのはコーニッシュ。

目の前で淡々とスプラッターバイオレンスショーが繰り広げられているのだ。

気がおかしくなる。

しかし止まる気も無く。

「甘いぞコニー、こいつは敵だ、古今東西敵にはしっかりとわからせてやる必要がある…」

「あがぁっ!!?」

「身の程をな。」

次は右手を踏みつける。

それも今、魔力を込めていた。

無論、一般人がそんな一撃を受けて無事な訳が無く。

右手は拉げて複雑骨折。

哀れに見える程に泣きじゃくるが同情する気はない。

「おいヴィネット空軍元帥、この馬鹿をさっさとひっ捕らえろ...このままじゃ殺しちまいそうだ。」

本音である。

彼は子供に優しい。

それに理不尽に襲い掛かる者には厳しい。

故に。








周りがドン引きする程に大暴れした彼だが。

彼のお陰でみんなが助かったのを、誰も忘れていない。

そんな彼は...今。

空軍元帥、シスカ・ヴィネットにアイアンクローをかましている。

「オイ...あんたが雇った奴のせいで手間がめっちゃ掛ったんだが?」

手応えがあって楽しめはしたが、あっさりと済む任務の障害になった事は確かだ。

「ごめんなさいね...彼天然な所があっていたたたたた...」

「次同じ事やったら脳症炸裂させっからな。」

軍の元帥であり、知人の親にこの言い草この扱い。


そこに。


「元帥、お待たせして申し訳ございませ...」

[チェリム(部下兼実娘)到来。

現状の光景を見るなり顰めっ面MAX。

そりゃそうだ、自分の上司であり実母が暴行に遭っている光景など怒りに触れずして何になる。

それも酷く嫌っている相手が下手人。

「何をしているッ!?」

「よぉ堅物ちゃん、見ての通り馬鹿やらかした馬鹿な女のお仕置きだ。」

「いたたたたた頭割れる!坊や!そろそろ限界!」

「3人目が生まれるって?」

「そうそう助産師が必要...じゃない!チェリム!ヘールプ!!」

「え、あ、はい...」

家でも見せる事の無い彼女のフランクな様子に面食らうが、言葉通り助けなければ。

と、チェリムが近寄ろうとすると。

「飽きた。」

と、開放する彼。

何とも言えない空気が生まれる。

どうすればいいのかわからず、チェリムも固まってしまう。

そんな彼女に何があったのか説明する。

倉庫で拘束されている満身創痍の女性"元"店員も。

「...事情はわかりました。」

「話が早いな優等生ちゃん。」

「黙れ。」

「へいへい。」

後の処理は彼女に任せるとする。

何故か端で固まっているスーの肩を優しく叩いて共にその場を離れる。

そして壮年の元へ。

聞きたいことがある。

「お、どうしたよ兄ちゃん?」

「まず、あのガキは?」

「おぉ、さっき目を覚ましたよ...だが、あんま口を利けねぇみてぇでな。」

「そうか、次に...この店は前から奴らに狙われていたんだよな?」

「おう...買い出しとか行くとよく嫌がらせされたもんだぜ。」

その心配はもうない、1人を除いて殺したから。

その1人も後日、半植物状態と言える程に精神が壊れながら余生を生きる。

とにかく。

「前までは奴ら、この店に入れなかったのにいきなり入れるようになってな。」

「入れなかった?」

入ろうとしなかったのではなく?

疑問に思っていると壮年が説明してくれた。

「この店にはああいった輩が近づけねぇ様に結界があったんだよ。」

心を見通す結界...だろうか、そんな都合の良いモノ聞いた事が無い。

今も作動してたなら、自分も入れなかったかもしれないと自嘲気味に笑う。

「その結界が急に切れたのか?」

「あぁ...こっちに来てくれ。」

連れ出されたのは裏庭。

そこにあったのは、砕けた祠。

無残にも木っ端微塵だ。

「[これが...結界の要だったのですか?]」

「よく知らなかったが、こいつが砕けた次の日にあいつらがやって来たんだ。」

石でできた祠だったもの。

何の変哲もないモノに見えるが、とてつもない濃度の魔力を感じる。

一般の人間には伝わらないらしいが、ランカーであるなら肌で感じ取れる。

一種の共鳴現象である。

体内の魔石の影響...ブレードの様な純粋種の魔法使いなら生まれながらの体質故に。

ブレードは、特に魔力を強く感じる破片を拾い上げる。

すると、仕舞っていたクナイが反応する。

こっちも共鳴してるようで、取り出すと破片がクナイに吸い込まれた。

模様に深緑色のラインが入る。

「お、兄ちゃんそのクナイ。」

「知ってんのかおっちゃん...奴らのギルドで拾った。」

「そいつはこの祠の供え物だった...兄ちゃん良かったら貰ってくかい?」

「いいのか?」

「供え処がこれじゃなぁ…」

「そっか…なら遠慮なく。」

再度仕舞う。

しかし...

「祠はあの娘がやったのか...ずっとこの店を護ってくれていた大事なモンだったのになぁ...」

あの娘とは先程過剰に叩きのめした元店員の事だろう。

「まぁ、結界を張り直すのは諦めるんだな。」

「そうする...だが、あいつらはもう大丈夫なんだな兄ちゃんよ!?」

「あぁ、安心していい。」

もうこの世にいない、病院にいる1人を除いて。

なんて事は知らず、懲らしめたと思っている壮年は豪快に笑い。

「いやぁ、これで一安心だぜ...次からサービスするからな!!」

「おう、期待してるぜ。」

とにかく、一件落着。






「[私はこの辺で。]」

「おう、あの旅館にいる奴らお前の正体見んの諦めてねぇと思うから気を付けな。」

「[...脱出手段を用意しようかな。]」

「それも手だな...困ったら呼べ、駆け付ける。」

「[ありがとう...貴方には本当に感謝している。]」

「こっちも感謝している...お前の動きに俺も色々学ばされているよ。」

「[そんな...ありがとう。]」

「フッ...またな。」

今度こそ別れる。

無事を祈ってやろう。

さて。

少し歩いて、彼は携帯端末を取り出し。

コール...オリヴァー・ガンドレッド。

「[よぉB.E、どうした?]」

「マズい事になったぜリヴ...封魔結界が破られていた。」

実はブレード、あの祠の正体を知っていた。

それもかなり重要な物だ…この地に。

と、深刻な相談をオリヴァーにしようと…

「ふーま...?」

「あぁ、普通の人間は愚か、並のランカーでも壊せな...ん?」

今聞こえたのは端末を通したオリヴァーの声ではない。

声の聞こえた足元を見て見ると。

あら驚き、輩に蹴られたり人質にされたり散々な目に遭って居酒屋にいるはずの歌舞伎装衣に身を包む幼子がこちらを見つめて...

「うぉおおお!!?」

「わひゃー!!?」

彼にしては珍しいリアクションを取ってしまった。

彼の驚きに驚いて幼子も声を上げる。

そして2人のシャウトをスピーカー越しで聞いていたオリヴァーは大惨事。

[ッ...おい、何事だ...?]

「あ、あぁ悪い...ガキに聞こえちまっただけさ。」

「ガキじゃない。」

「そりゃすまねぇガキンチョ、名前は?」

「なまえはー...何だろ?」

「知らねぇよ...」

からかわれているのだろうか。

けれども、真剣な表情だ。

しかし、壮年の話ではあまり口を利けないのでは無かったのか。

わからない事尽くめだ。

とりあえず記憶喪失なのだろうと仮定する。

「ねー、なまえなにー?」

「あー...」

マズい、この流れは自分についてくるつもりか。

とりあえずオリヴァーに断りを入れて切る。

どうしたものか...

「なまえ、なまえ。」

「待ってくれ...あぁー...」

ずっとこの子のペースに持っていかれっぱなしだ。

名前...歳は7~9くらいか。

その子の特徴は...歌舞伎な羽織を身に着けていて。

狼の皮を被った様なフードケープを着けていて。

腕には虎の手を模した手袋。

後、関係無いが..."お嬢ちゃん"。


...


「アニマ。」

「お?」

「お前の名前はアニマだ。」

「おーアニマ!アニマの名前はアニマ!」

まんま"アニマル"が由来だ。

しかし困ったことになった。

この場で放り出す訳にも行かないし、さっきの店に戻そうか。

...いや、ひっしりとズボンの裾を掴んでいる。

退路を塞がれている...仕方ない。

「...ウチに来い。」

「ん!」

わかった!と言わんばかりに万歳する。

最近は女子(おなご)に調子を狂わされっぱなしだと頭を抱えながら帰宅する。

後にマハロに偶然来ていたクラナとメアリーに無表情で銃口を向けられる羽目になった。





to be continued...


やったねブレード君、同居人が増えるよ!

これにて第9話、終了です。

読んでくださってありがとうございました!


次回は土曜日!


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