EP:06-Heroismer on Stage. 〜②〜
はい、ヒロイン登場。
そして作者の最お気に入りキャラ。
ブレードさん、実はとっても優しい。
暴虐だけど。
公演終了後、1人セントラルの通りを歩くブレード。
結論から言うと、とても面白かった。
あらすじはこうだ。
世界は光と闇に分かたれた。
1人の魔法使いによって。
決して交わる事の無い、国同士の戦による始まりが告げられた。
互いの街は焼き払われ、沢山の人が死んだ。
戦争が一時集結し、そこで不可侵条約が生まれた。
互いに決して関わってはならぬと。
それから数十年、今も尚条約は守られていた。
けれど、全く関りが無い訳では無い。
年に一度、使者を選んで交流会を行う。
今回はその使者におまけが付いた。
それが最初に舞台に立った少女...もとい、使者の妹だ。
妹は交流会が退屈で、会場を抜け出し。
闇の王子様と出会う。
会場にいるのは影武者で、本物である彼は彼女と出会い。
話し、別れる時が来ても互いを忘れられず。
恋に落ちた。
なんて、ロミオとジュリエット亜種かと思って観ていたら違って。
アクションシーンもド派手で。
世界を敵に回しても彼女と一緒にいるという気概を持った闇の王子様が確かにそこにいた。
最後には世界を統合し、人知れず想い人と暮らして終わり。
それまでの流れが爽やかで、鮮やかで。
心が躍った。
スサノオ...確かに自分はアレに心を鷲掴まれた。
あの動きを何とか戦いの参考にできないかと思い、資料文献や映像を探しに書店、中古屋等を探し回る。
が、一向に見つからない。
それはそうだ、黄色い声が客席からキャーキャー聞こえる程の人気演者。
ファンが回収していない訳がない。
今度美沙にでも聞いてみるか、それとも怪盗娘でもとっ捕まえて...
なんて、思考を巡らせながらフラフラ歩いていると。
何かがぶつかって来た。
否、誰かが。
ツインサイドアップの黒髪少女がブレードに偶然抱き着く形で衝突して来たのだ。
彼女は顔を上げると半泣きで混乱気味。
それはどこか庇護欲を惹き立てられる幼い顔立ち。
歳は16か7程か、とても綺麗な肌をしている。
「ご、ごめんなさいッ」
そう一言謝ってその場を去ろうとするが、彼は逃がさんとばかりに彼女の腕を掴む。
彼女の後ろからドタバタ聞こえる足音で察する。
「へ...?」
「...こっちだ。」
ブレードはその手を引いて走り出す。
少女は引かれるままについていく。
後ろを見ると、如何にも破落戸な輩共が追いかけてくる。
相手の足音が強まればこちらも足を速める。
が、連れている少女がバランスを崩すと危ない。
そこに気づいた彼は彼女を抱き上げる。
「ふぁっ」
「口閉じてろ、舌噛むぜ。」
そう言って空に浮かび上がって。
霧散した。
破落戸達は辺りを見回すがどこにも目当ての者は見当たらない。
一緒にいた男も。
探し回す頃、ブレードと少女は霧散...粒子化を解いてブティックへ。
彼は真っ先に店員を呼びつけ。
「こいつを別人の様に変えてくれ、代は俺が出す。」
「え、あの...」
「かしこまりました。」
言われるがまま、店員は彼女を連れて行く。
何が何やらと混乱の最中、少女はドレスアップされていく。
サイドアップは下され。
簡素なカーディガンスタイルでいた服装は...こう、ジーンズとライダース、テンガロンが似合う、西部劇に出てきそうな...
「待て、何でカウガールをチョイスした?」
「別人の様じゃないですか!?」
「様じゃなくて別人だろうが。」
まさかの店員がぶっ飛んでいた。
しかし、時間を掛ける余裕もない。
「俺の分も寄越せ、同じ路線のだ。」
その後、通りのカフェにて。
奥の席でカウボーイとカウガールが2人、向き合っていた。
「飲めよ、連れまわした詫びだ。」
「い、いえ...逆に助けて下さってありがとうございます。」
「そんな事した覚えねぇ、いいから飲めって。」
「で、では...」
緊張が解けないのか、おどおどした様子でカップに口を付ける。
カップに入れられたのはウインナーココア。
クリームがたっぷり乗っかってて、甘くて美味しい。
ブレードも、合わせて飲む。
何とも言えない、静寂がそこにあった。
不思議と心地よくもある。
彼女にとってどうかはわからないが。
気が気ではないか、見知らぬ男にこんな所まで連れて来られたのだから。
しかし、彼女は口元に白い髭を作りながら満面の笑みで。
「美味しいですッ!」
と、一言。
その顔が何だか微笑ましくて、少し破顔する。
けど、不格好な髭が目立ったので、ハンカチを彼女に向けて伸ばし。
「拭けよ。」
と、一言。
何のことかわからず、一瞬キョトンとする彼女だが、鼻の下を指差すと直ぐ様顔を真っ赤にして理解した。
「す、すみません...」
一言断ってハンカチを受け取った。
口元を拭いて。
「あの...」
「ん?」
「どうして、こんなに優しくしてくださるんですか?」
「優しいか、これ?」
「はい、とっても!」
「チョロくねぇか、それ?」
「そんな事ありませんよ!...えぇと...お名前は...」
「ブレード。」
「ブレードさん...ブレードさんは優しいです!」
「そりゃどうも。」
何だかムズ痒くなる程に真っ直ぐだ。
少し苦手かもしれない。
いつも誰かを引っ掻き回す彼が目に見えぬ何かに手玉に取られている様で。
冷静に見えて実は彼も困惑しているのだ。
「しかし、何でか...さっき劇を見たんだがな。」
「?」
何のことかわからず、首を傾げる彼女。
当然だろうなと苦笑いを浮かべそうになるが抑えて続けて。
「スサノオって演者の出ていた劇だが、そいつがヒロインをエスコートするシーンがあってな。」
街を連れまわし、追っても鮮やかに巻き。
正しく絵に描いた"ヒーロー"の姿だ。
「年甲斐もなく、憧れを抱いちまった...真似の実験台にしたみたいで悪いが。」
「いえいえ、寧ろ光栄です!」
「あん?」
「だって...私を使者の妹さんに見立ててくれたんですよね?」
「…お前も観たのか、あの劇。」
「あ、えっと...はい!」
どこか歯切れが悪い。
ただ観ただけならこうはならないだろう。
目を逸らしながら何かを誤魔化す様。
そこで彼は一つの考えに辿り着いた。
「...関係者とか?」
それも、先程追いかけられていたのを考えて...影響がデカい人物の。
「スサノオの...か?」
と、小さな声で尋ねれば。
「あ、当たりです...。」
小さな声で返って来た。
ということは、破落戸共はスサノオに何か目的か恨みを持った連中という所か。
「スサノオ専用の楽屋から出てきたところを目撃され、さっきの奴らに追いかけられていたのか。」
「凄い...その通りです...。」
思い出したのか、みるみるうちに沈んでいく。
「すまん」と一言断って話を続ける。
「奴らのバックに心当たりは?」
「いえ...あ。」
何かを思い出したように懐から一枚の紙を取り出した。
内容は狂言に近い物...というかそれだ。
"スサノオ、君のせいで僕らは愛を阻まれている。
君の存在が邪魔だ。
君はこの世の男性の愛を否定する悪だ。
存在を許してはならない。"
「何だこれ、ラブレターか?」
「だったら良かったのですが...」
まぁ、早い話が僻みである。
その僻みであんな集団で掛かってくるという事は。
「多分、相手はお坊ちゃんだな...意中の女がスサノオに惚れた、んで...逆恨みでスサノオに報復しようとしているってところか。」
「分析上手ですね...」
「どうも...で、楽屋から出て来たお前を人質に取ろうと部下を寄越した訳だ。」
「そうだったんですね...。」
「この事、スサノオには?」
「つ、伝えてません...感情に左右されやすい人なので、伝えると公演に支障が...」
「そんなに過敏か?」
「はい...落ち込むと演技がまともにできないんです...」
「それはマズいな...次の公演も楽しみにしてるってのに。」
「観に来てくれるんですか?」
「あぁ、すっかりファンになっちまってな。」
「そうですか...」
頬を紅潮させながら喜ぶ少女。
まるで...
「自分の事の様に嬉しそうだな。」
「へ?えっと...そうですね...」
はにかむ様に。
「ずっと一緒でしたから。」
「そっか。」
いつの間にか飲み終わっていたブレードは席を立つ。
「お前、名は?」
「ソニア...です。」
「ソニア、オウムアムアに依頼しな。」
「オウムアムア...?」
「ASにあるギルドさ、腕利きのランカーがお前の悩みを晴らしてくれるぜ。」
高くつくがな...そう言って店を去った。
店を出た所で、見覚えのある姿が目に入った。
向こうもこちらに気が付いたらしい。
「よぉ、破落戸共...面貸せよ。」
ソニアさんソニアさんソニアさんソニアさんソニアさんソニアさんソニアさんソニアさんソニアさんソニアさんソニアさんソニアさんソニアさんソニアさ




