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EP:04-It doesn't matter. 〜③〜

女怪盗フロンティーヌ、見参。

が、相手が悪かった。


翌日の夜。


スクエアにある大きな屋敷。

今宵は大賑わい。

いつぞやのフロムシャンゼリゼを思わせるかの様に。

元凶は同じだが。


フロンティーヌ、フェミニアントップの屋敷に侵入す。


廊下に大量の構成員がいるが、彼女は腰から取り出した小両剣をバトンの様に振り回す。

すると小さな風が巻き起こり、構成員を吹き飛ばしていく。

次にポケットから黄土色の宝玉を取り出す。

土の魔石である。

左腕に填めてある銀の腕輪(違法A・W)に装填。

「はぁっ!!」

地面に刃を突き刺すと、色とりどりの花を咲かせながら無数の蔦が床から生える。

蔦は構成員を縛り付け、動きを封じる。

彼女の目的はこの屋敷に潜む盗品。

自分を理由に盗んできた物を全て奪い去るのが原因だ。

盗んだものはどうするかは後で決める。

いつも行っている事だ。

ぬかる筈が無い。

地下の宝物庫を目指して突っ走る。

普段、隠密を好む彼女だが自分の名前を勝手に使われて腹が立っている。

これ見よがしに面子を潰してやろうと目立ちながら動く。

「...」

背後に尾ける者がいるのも気づかずに。







宝物庫の前に着いたが、大きな金庫扉がある。

ダイヤル式...解除するのには訳ない、解除用端末を扉に取り付けてダイヤルを回す。

端末が瞬時に扉の構造を解読するのでスムーズに解除。

開いた瞬間、背後に立つ気配に気づき、小型ナイフを投擲。

しかしそれは豪快な回し蹴りで弾かれる。

自分の背後にいた者の全貌は、マントに歌劇にでも登場しそうなマスク、ハット。

自分を男性にした様な姿だ。

気に入らない。

しかし、それは彼女を無視して宝物庫へと進む。

目的は同じらしい、即座に後を追う。

しかしそんなに広くない宝物庫の宝の山を、それは見向きもしなかった。

目当ての物が無かったのか、その場の物を去ろうとする。

だが、放っておいては邪魔になる可能性がある。

「大人しくしてもらいますわ!」

ポリシーとして殺しはしないが、動けなくなってもらおう。

そう思ってその場に植物の蔦を生やす。


が。


「触手プレイか、俺にそんな趣味はねぇ...ジャパニメーションとかで見るのはまぁまぁ悪くないが。」

返ってくるのは軽そうな男の声。

発言と共にに何かを足元の床に撃ち込まれたと思えば、蔦が消えていく。

「なっ...そんな!?」

消えた蔦の元には一つの弾丸が落ちていたが、それは吸い寄せられるように男の手元へ飛んでいく。

行動の予想がつかないイレギュラーだ。

排除するしかない。

両剣を構えるフロンティーヌ。

だが、男はいつの間にか目と鼻の先にいた。

攻撃を加えるかと思えば彼女を飛び越える様に去ろうとする。

「俺は忙しい、チャオ。」

男は再び何かを床に撃ち込んだ。

「くっ...何で...」

すると自分が出した筈の蔦が現れ、彼女を拘束する。

それも割とキツめに。

「これが正しい触手プレイってやつだ胸意外ナイスバディ、ご利用は正確に。」

おどけながら男は去るが、かろうじてフロンティーヌは腕輪に赤の宝玉...炎の魔石をセットしていた。

魔法を発動し、徐々に締め付けてくる蔦を焼き払う。

少し熱いが問題は無い。

衣装は防火製だし、早急にあの男を追わねば。

大きくないというコンプレックスを刺激されて腹を立てているのもあるし。


と、目的が変わってしまっている事に気づかない。


宝物庫以外に宝が置いてあるとすればこの屋敷の主...フェミニアンのトップ、アグリシア・リジェヌスの自室だろう。

フロンティーヌは来た道を戻りながらそこへ向かう。

風の魔法を発動し、速度を上げて行く。

この屋敷は三階建て。

最上階の一番大きな扉の前に辿り着く。

道に迷っているのか、あの男はまだ来ていないらしい。

ここはダイヤル式じゃない、付いてる錠前を得意のピッキングで解除する。

入るとそこには、ショットガンを構える暗めのブロンドの女性がいた。

彼女こそがフェミニアンのトップ、アグリシアだ。

胸元には鏡をヘッドにしたペンダントが。

「直接来るとはね、フロンティーヌ。」

(わたくし)の名前を語った罰を下しに来ましたの。」

「あなたも女、私たちの一員として動けるのなら本望ではなくて?」

「その気はありませんの、特に私はあなた方の様な輩が嫌いでしてよ!」

話し合う気はない。

風の魔法を鋭く構築して刃にして飛ばす。

「くっ」

ショットガンを発砲するが風は弾丸を弾く。

咄嗟に避けるが、その横を風で速度を速めたフロンティーヌが通る。

手元には先程まで着けていたペンダント。

「貴様ッ...」

「宝物庫に入れず、自ら身につけるだなんて余程お気に入りですのね、これ。」

手元で見せつける様にペンダントを遊ばせるフロンティーヌ。

次の瞬間、それは消え去っていた。

「なっ!?」

光の粒子が現れたと同時に。

次第に粒子は先程の黒衣の男の姿を構築する。

「はい、ご苦労さん...あんなクソの臭いに塗れたクソアバズレ触りたくねぇし、大助かりだぜ。」

あぁ、彼の目的はあのペンダントだったのだ。

自分はその為に囮として利用されたのだ。

あれがどれ程高価な物か知らないが、気に食わない。

「誰も彼も...私をコケにし過ぎですわ!!」

怒り心頭。

もう一度風の魔法を発動し、男にぶつけようとするが。

対して男は。

「お怒り?じゃあかっけぇ姿見せてやるから許してくれ。」

両腕を交差し、太極拳の構えを思わせるかのようにゆっくり大振りで動かし。

ファイティングポーズの構えを取った瞬間。


「ヘンシン!!」


と叫び、ベルトのバックルに付いてあるスイッチを押す。

姿が黒衣から白を基調としたメタリックなスーツに変わっていく。

頭に正しくヒーローのマスクが現れて決めポーズ。

「これぞジャパニーズトクサツヒーロー…究極戦士、アルテマン!!」

日曜朝7時、放送中!!


...


「吹っ飛びなさい!!」

「うおっ」

容赦なしに風をぶつけられた男は吹っ飛ばされ、スーツを砕かれる。

見た目より脆い。


が。


「ロマンがわからねぇか、まだまだだな。」

ダメージは無いらしく、即座に空中で受け身を取って立ち上がる。

態度も余裕綽々、益々気に食わない。

魔法を連発するが、彼女は魔石にヒビが入ってるのに気づかない。

多用し過ぎると爆発を起こして砕け散ってしまう。

それに、後ろのアグリシアが2人揃って狙っている。

男は自らの身体を粒子化させ、先ずはアグリシアの持つショットガンを何らかを使ってバラバラにする。

次に腹を殴ってから。

「ハイヤァアアア!!」

「ガハァッ!?」

バックドロップ。

綺麗に決まったそれはアグリシアの意識を刈り取るのには十分だった。

ここに用は無い、去ろうとする男だが。

「待ちなさい!」

フロンティーヌが今度はこのペンダントを奪おうと手を伸ばす。

咄嗟に粒子化して躱す男。

「邪魔すんなよ、こいつは渡せない。」

「私は狙った獲物は一つも逃しませんのよ!!」

「ならこれがテメェの初めてだ。」

意を蹴散らす様に。

「ぶっ飛びな…オラァッ!!」

「あぐぁッ!?」

男は刀を召喚させて峰でフロンティーヌの腹部へとフルスイング。

部屋の隅まで吹っ飛ばされるフロンティーヌ。

壁に叩きつけられ、息も絶え絶えな彼女に男は近づき。

「あばよ、嬢ちゃん(レディ)。」

それだけ言い残して去っていく。

鈍い痛みが身体中に響く中、水の魔法石をセットして治癒。

その際にヒビが入ってるのに気づいた風の魔石を捨てていく。

身体は治ったし、本来の目的であった宝物庫の盗品を回収しに行こう。

あの男はもういないだろう。

悔しいが...

「この借りは絶対に返しますわよ...」

こうして金星続きだったフロンティーヌの経歴に黒星が塗り加えられた。


所か。


サイレンが聞こえて来た。

警察が来たのだ。

何故?わからない。

考えられるのは先程の男。

...つくづく自分の邪魔となる存在だと腸が煮えくり返りそうになるがそんな場合ではない。

捨てた風の魔石を拾って装填。

自身を風と同化させながらその場を去った。

逃げ切ったその先で、砕けた魔石を今度こそ捨て。

拭いきれない敗北感を抱いてその場を後にした。


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