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EP:04-It doesn't matter. 〜②〜

クラナ、君は真面目で優秀な良い子だ。

だが全ては君の同級生が悪いのだよ。


微戦闘シーン。


門を潜った瞬間だった。

彼がクラナを突き飛ばしたのは。

その直後にどこからか飛んできた大鎌を召喚したインペリアルで受け止めたのは。

鎌は回転しながらこちらに押し込んでくる。

一度魔力を爆散させるように刀身に込め、弾くが追尾するように戻ってくる。

受け止める度に土埃が舞っている。

「ホプキンス君!」

「クラナ、索敵!」

駆け寄るクラナに指示を飛ばす。

遠隔操作の技は近くに術者がいる筈だ。

「は、はい!」

辺りを見回すクラナ。

すると、近くにあるのは公園。

その草むらに何やら布の様な質感を発見。

今現在、拳銃は持ち合わせていないクラナはカバンから化粧水の瓶をそこに投げつけようとするが。

「後ろだ!」

「へ?キャッ!?」

クラナの背後からも大鎌。

かろうじて前転で躱すが、化粧便は落ちて割れてしまう。

投てきするものは無い...見ると鎌は更に数を増やしている。

スーパーノヴァを使いたいブレードだが、クラナも巻き込んでしまう。

どうした物か、コンマで考えなければならない。

筈だが、その必要はない。


その時。


「2人とも何かにしがみつけ!!」

突如聞こえて来た声。

ブレードは従う様に鎌を弾いてインペリアルを地面に深く差し込む。

「クラナぁ!!」

クラナに向けて手を伸ばし、彼女はそれを力強く掴む。

次の瞬間。

大気の怒り(アエルレイジ)!!」

極大の竜巻が場を覆う。

吹き飛ばされぬよう、2人は必死に踏ん張る。

鎌は耐えきれず放散していく。

動かないところを見ると、術者も怯んでいる様だ。

あの手の術は集中力を乱されたら維持できない。

だからここが好機だ。

先程クラナが見ていた草むらへ向けてローグを構え、腰の端末にタッチ。


[Finishing Slinger moge - Activity.]


壊せし(ワスターレ・)蠍尾(アンタレス)。」


放たれた極細の魔弾は草むらに着弾。

するとか細くも悲痛な悲鳴が響く。

壊せし蠍尾は蠍の尻尾に含む毒に因んで着弾した場所を破壊する意図追尾性魔法。

威力は抑えたので欠損は無いだろうが、底はかとない激痛が相手を襲っている筈だ。

竜巻が止む頃、そこには繰り出したであろうケインと。

それに耐えながら撃ったブレードにクラナ。

そして黒紫に爛れた右足を抑えながら泣きじゃくる女性。

彼女が刺客だ。

「ケイン、サンキュ。」

「どうって事は無い、君が連絡を寄越したのだろう。」

そう、襲撃を見越してブレードはケインに連絡を入れていた。

最初に対峙した怪盗...の姿をした何かから土塊が見えていたのだ。

先程の鎌も。

敵はランカーか、それかこの間のゲンマが流した違法A・Wを使用しているのか。

どうにしろ魔術が相手なら魔術で対抗する必要がある。

その為の隠し玉としてケインを署まで呼び付けたのだ。

「しかし...やりすぎじゃないか?」

「甘い...こいつは敵だ。」

「あぁああ!!...がっ...」

未だに泣き叫ぶ女性の首を掴み、持ち上げる。

額に銃口を押し付けながら。

「殺ろうとしたら殺られる、それが世の常だアバズレ...死にたくなきゃてめぇらの情報吐け、さもなくば一分おきに四肢の残りをズタズタにしてから殺す。」

「ひぃっ...」

「あ、やっぱ秒に変更だ、いーち...」

「い、言いまず!殺ざないで!!」

「はいよく言ったぁ!!」

「がぎゃっ!?」

頭を地面に叩きつけて解放。

「容赦なさすぎる...」

「ホプキンス君は昔からこうだから...」

何はともあれ、情報源確保である。

しかし、彼女の近くに何か落ちている。

銀の腕輪。

そこに填め込まれているのは黄土色の魔石。

土属性の魔石だ。

それ自体は普通に専門店に置いてある物だ。

だがこの腕輪は見たことが無い。

ブレード以外は。

「ゲンマで見たヤツだな。」

「つまり、違法A・Wか?」

「だな、こいつ以外にもつけているのを考えると大量に蓄えている可能性が高い。」

最初に対峙した奴も同じ属性を使っていたのが証拠だ。

かといってまたゼロミッションを行う訳にもいかない。

いい加減この国の人口が薄くなる。

とりあえず呻く資格の女性を引きずりながら再び署内へ。

事細かく聞いてから逮捕させた。

聴取で更にほんの少しのトラウマを植え付けてから帰宅。

「そういえばホプキンス、さっき僕の名前を呼んだな?」

「さぁな、覚えてねぇな。」

「ホプキンスは昔から素直じゃ...痛い痛いッ!」

「クラナのほっぺはよく伸びる...千切って量産するか。」

「猟奇的過ぎるよ!?」

「やめてやれよ...。」

帰り道にはこんな会話も。






ーーーーーーーーーーー






翌朝。


マハロのホールには酔い潰れたブレード、クラナ、そして巻き込まれて床に伏すケインとスティーヴの姿が。

「おはようございます...うわっ酒臭い!?」

不運なことに早めに着いた美沙はその魑魅魍魎の光景を目にする。

続いて入ったゴラムも「うわぁ...」と声を漏らす。

その声に目を覚ましたのはブレード。

「よ、よぉJAPにツルッパゲ...見ての通りツワモノドモガユメノアトだ。」

「日本語上手ですね...って、お店どうするんですか...」

「休みにするか。」

「そんなあっさり!?」

「俺らが片付けますから休んでてくださいよ...」

「頼む...おいクラナ、起きろ。」

「うぅ...ホプキンスくんおは...うぷっ...」

「JAP、緊急事態だ...こいつをトイレに連れていけ。」

「は、はい!...こちらへ...」

「ごめんなさ...うおぅ...」

「口を開かないで、もうすぐですから!!」

まぁ、大丈夫だろう。

自分も早く回復しようと水を一杯飲み干すとゴラムが。

「オーナー、話はリンから聞いてます。」

「ん?あぁ、例の怪盗もどき共の件か。」

「リンの奴、目に見えて落ち込んでるんスよ。」

「よく見張っとけ、仕事ミスりそうなら休ませろ。」

「オーナー...リンの身を案じて...」

「そのまま顔面を30分程水面に浸けとけば落ち着くだろ。」

「いやそれ死ぬやつ!!」

スティーヴは自力で起き、ケインの溝を踏んでトイレからはクラナのクリーチャーみたいな声が聞こえながら店の開店準備完了。

そしてリンがいつもより遅めに出勤してきた。

おはようございますの声が聞こえるがかろうじて聞き取れるレベルで小さい。

「よしハゲ、やれ。」

「やりませんよ!?」

「でなきゃ俺がやる。」

「あ、ちょっとぉ!!」

止めたいが代わりに自分がやられそうなので近づけないゴラム。

許せ、リンと心の涙を流しながら厨房へ向かった。

他の従業員も次第にやってきて、マハロ開店。






ブレードの自室にて。


「成程、ばあちゃんの形見ねぇ...」

コーラ瓶片手にリンの事情を聞くブレード。

盗まれたペンダントは、故郷である中国でよく甘えていた祖母が着けていた物。

遠くに来ても大丈夫。

そう思えるようにお守りとして持っていた。

彼女は底なしの元気さが持ち味だった。

が、今はその面影が無い。

「どうしよう...戻って来なかったらどうしよう...」

今にも散ってしまいそうな花の様に萎れている。

見かねたブレードは。

「暫く休め。」

「...へ?」

「そんな調子で出てこられても迷惑だ、休め。」

「うん...そうする...」

戦力外通告。

益々沈む彼女に。

「3日以内には取り返してやる。」

「え?」

「形見がどれくらい重要か、俺にだってわかる。」

いつもの傍若無人なキャラを装う気にはなれなかった。

彼だって、昔家族と色々あった人間だからである。

語るのはまた次の機会だが。

「だから俺に任せて休め、そんで吉報を待ってろ。」

「...うん!!」

やっと、彼女に笑顔が戻った。

ブレードはホールに降りてきてその場にいる全員に聞こえる様に叫ぶ。

幸い客はいない、好きに叫ぶ。

「これから暫く俺はこの店の仕事に参加しねぇ、てめぇらに全部任せるから経営傾いたらぶっ殺す。」

当然、凍り付く。

続けて。

「後チャイニーも臨時休職だ、不当だの文句言う奴もぶっ殺す...以上!!」

「は、はい!!」

ゴラムが勢いよく返事。

「他は!?」

『は、はい!!』

残りも。

「スティーヴも忙しくなる!!」

「任せてよ。」

既に意図は理解済み。

「なので代わりに...」

「はぁ...やっと落ち着いた...え?」

リバースストーリーを体感して生還してきたクラナの肩をガシリ。

「この警察の姉ちゃんがオーナー代理だから。」

「えぇええ!?何の話ぃいい!!?」

哀れクラナ、唐突にオーナー任命。

「こいつはクソ真面目だから色々好き勝手言っていいぞー。」

「あのーホプキンス君、事情を説明してもらえると助かるかなーって...」

「じゃあよろしく!」

「ちょっと!?」

サムズアップして放置、外道の所業。

「行くぞ堅物!!サポートしろ童貞!!」

「任せなよ。」

「やれやれ...」

「さぁ、ロードショウの開始だ!!」

ブレードは聞こえないふりをして。

スティーヴは慣れた様に。

ケインは呆れる様に。

三者三葉でホールを後にした。

「鬼ぃいいいい!!!」

クラナの嘆きをBGMに。

尚、署に連絡するとチャールズが出て、クラナの数日貸し出しが受諾された。

この日の終わりには、昨日より飲んだくれるクラナの姿があった。



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