赤将が動いたようです。
赤将ボルグは、イライラが最高潮に達していた。
「ナメやがって……!!」
乗騎である炎龍の横で腕組みをして、小刻みに爪先で地面を叩いては、幾度も舌打ちする。
このクソ属国に来てから、ふざけた事が多すぎた。
皇帝陛下のお求めになっておられる朱髪を見つけたかと思ったら『妙な邪魔が入った』と逃げられた、無能な部下。
属国の隻腕は妙な強さを持っていて、よりにもよってあの忠誠心の欠片もない蒼将アレクと自分を比べて『劣る』など口にする。
ーーーご命令さえあれば、即座に焼き払って踏みにじってやるってのによぉ……!
あの澄ました面をした、スセリとかいう女の目も気に入らない。
横にいる隻腕がいなきゃ何の力もないようなクズが、ボルグを蔑むような目をすることなどあってはならないのだ。
ミスをした部下を嬲り殺しても気が晴れない。
怯えた顔をしているスセリの、左目の傷をナイフで抉る妄想をしても、怒りが収まらない。
そんな時、別の部下が『情報を提供された』と持ってきたのは、朱髪がいるという街の情報だった。
「居場所が割れてるってのに、手ェ出してねぇってことか……!?」
ボルグは、歯を剥き出しにして部下を睨み付けた。
ーーーあの野郎、何してやがるんだ!!
アレクが何故、五将の地位に留まっているのか、ボルグには全く分からない。
事あるごとに総大将に逆らい、五将同士の争いを禁じられていなければ、即座に殺しても飽き足らない相手だ。
「何故総大将はあんなゴミに、皇帝陛下のお命じになられた、朱髪の捜索を任せたのだ……!!」
それも、ボルグが気に入らない理由だった。
何故あんな奴が重用されるのか。
ボルグが来てすぐに手に入れたような情報を知らず、朱髪をいつまでも野放しにしている。
明確な、皇国への反逆だ。
ーーー俺サマが朱髪を捕まえたら、怠慢を報告して……おん?
これは好機だ、と、ボルグは機嫌を直すことにした。
そうだ、朱髪を捕らえた手柄の対価に、アレクの野郎を始末するのだ。
「クハハ……おい、準備しやがれ。出るぞ!」
「は?」
「皇帝陛下は朱髪を御所望だ。居場所が割れてるってんなら、街ごとぶっ潰して攫うんだよぉ! グズグズするんじゃねぇ!!」
「は、はっ!!」
怒鳴りつけると、逃げるように伝令に向かった部下に舌打ちしてから、ボルグは横にいる愛龍の体をポンポン、と叩く。
「炎牙ァ……久々に思う存分暴れられるぞォ……?」
幼い頃から、ボルグ以外には懐かない気性の荒い炎龍。
コイツと共に育ち、心を通じ合わせたことでボルグは総大将に見出された。
そうして、幾多の反抗的な部族の村を、完膚なきまでに焼き払い、女子ども関係なく犯し、痛めつけ、その全てを始末して来た功績で、赤将の地位を得たのだ。
「皆殺しだァ……!!」
圧倒的な力で雑魚どもを蹂躙する快感を思い出して、ボルグは舌なめずりをする。
「朱髪にゃ手を出せねぇが、それ以外の奴は好きにして良いよなァ……?」
クハハ、と、それから上機嫌になったボルグは、得た情報通りに軍を率いて街へと向かう。
すると、まるで予測していたかのように、城のある街で警鐘が鳴り響き、こちらが軍を展開する間にわらわらと虫どもが姿を見せる。
エンガの背中の上から見下ろすと、その先頭に立っているのは、どう見ても雑魚そうな白い外套を羽織ったヒョロガリと、褐色肌の色気の足りない女。
さらに、小柄な獣人の女と、呪紋士みたいなローブを羽織った金髪の男。
そして、イイ体をしている、長剣をぶら下げた女だった。
「オイ、あの前の方にいる連中は俺サマの獲物だ。手ェ出すなって言っとけ」
近くにいる部下に告げて、ボルグは好色さを隠そうともせずに、長剣の女を視姦した。
「たまんねぇなぁ……」
手足を切り落としてブチ犯してやったら、さぞかしいい声で鳴くだろう。
ゾクゾクとした劣情を覚えながら、ボルグは自分の得物……長大な柄の先に巨大な戦斧に似た刃を備えたそれを、担ぎ上げた。
「さァ……狩りの時間だ!!」
久々に、クズオブクズの称号を与えられるキャラを書きましたね……。
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謎の色っぺぇ長剣の女性は、アルゴの仲間の一人です。アルゴ、イーサ、ウルズに続くエの人。




