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最強パーティーの雑用係〜おっさんは、異世界で休暇の日々を過ごすようです。〜  作者: 凡仙狼のpeco


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11/27

おっさん達は、朱い髪の少女に恐れられるようです。


 スイキの話を要約すると。


 クトーやペンタメローネの王都が出現したのは、『和繋国ワノツナクニ』と呼ばれる国の北東、辺境に近い地域だ、ということだった。


 その国自体は、大陸のほぼ中央に位置しているらしい。


「かつて八岐大国ヤマタイコクと呼ばれた国があり、その国が崩壊した後、都のあった場所を中心に生まれた小国が、和繋国です」

 

 八岐大国の崩壊は、周辺国が同盟を組んで一斉に侵攻したことによって起こったらしく、東西南北の国が領土を奪って傘下に置き、都のあった地域は最終決戦の地となった後、空白地帯になったらしい。


 そこに。


「国を起こしたのが、非羽々アラハバノ那牟命ナムチと呼ばれる男です」


 〝旋風の覇王〟〝龍の後継〟と呼ばれた彼は、『弱肉強食の掟』を掲げ、瞬く間に無法の地域を征服したらしい。


「……神聖オース帝国とやらの話は、どこに行ったんだ?」


 アルゴのもっともな疑問に、スイキは淡々と答えた。


「神聖オース帝国は、八岐大国ヤマタイコクを滅ぼした四国のうちの一つで、西に存在しています」


 帝国は、和繋国を起こしたナムチといち早く同盟を結んだことから、ナムチはそもそも、帝国の支援を受けて国を起こしたのではないか、と噂されていたらしい。


「その後、帝国から複数の進駐軍しんちゅうぐんが、この国に入っています。私を襲ってきたのは、その進駐軍の一つに所属する兵士です」


 クトーは、スイキが最後に口にした言葉に、隠れた事実があることを推察した。


 おそらくはそれが、彼女の事情に通じる部分なのだろう。


 ーーー複数の進駐軍、その中の一つ、と口にしたな。


 そこに、歯切れの悪さを感じる。

 もし帝国の全てと敵対しているのであれば、そうした言い方にはならないはずだ。


 『相手が一枚岩ではない』という意味なのか、『スイキが敵対しているのが、帝国の一部だ』という意味なのか、は分からなかったが……彼女の事情を推測する要素にはなった。


 ーーーどちらにしても、帝国のことより、この国の状況の方をもう少し掘り下げるべきか。


 クトーはそう考え、疑問を口にする。


「同盟を結んでいるとはいえ、それなりの規模の軍が他国に入り込んでいるのは、何故だ?」

「正確には分かりませんが、何か目的があっての行動だと聞き及んでいます。進駐軍は、基本的にはナムチの許可の元で、動いているはずですので」


 ーーーそれも秘密に関わる部分か。


 もしかしたら、スイキ自身は帝国の一部と通じているのかもしれない。


 それを真とした場合、彼女が最初に襲われていた理由として成り立つ話を、クトーは仮定してみた。


 帝国の進駐軍同士での争いがあって、その片方がスイキ側、もう片方がこの国の支配者側に加担しているから襲われた、というのが一番無理のない筋だろう。


 帝国の味方をしていて、この国に害を為そうとしているのなら、帝国兵に彼女が襲われる理由はない。

 また彼女が和繋国側の人間であれば、進駐軍に関して先程のような物言いにはならないはずだからだ。


「ふむ」


 クトーは、アゴを指先で挟み、目を細めた。


「おれは、大体の状況を飲み込めた。そちらはどうだ? アルゴ」

「この辺りを支配しているナムチ王が、西の帝国兵に滞在許可を出し、その一部が彼女と敵対している。という理解で合っているのならな」

「おそらく、それで間違いはないだろう」

「一つだけ疑問があるとすれば、この国やスイキ側にいる帝国軍の者が、俺たちの存在を認識した時にどう出るかだな。襲ってくる可能性が高そうだが」

「同感だ」

 

 アルゴの言葉にクトーがうなずくと、周りの者たちの様子がおかしかった。


 スイキが大きく目を見開き、ウルズが困惑したようにこちらを交互に見ている。


「「なんだ?」」


 同時に疑問を口にすると、イーサと目線を交わしたレヴィが、頬を指先で掻きながら答えた。


「二人で通じ合ってるところ悪いけど、今のやり取りでなんで話が通じるのか私にはさっぱり分からないし、なんでそんな結論になるのかも全然分からないんだけど……?」

「同じくスw え、そこのスイキちゃんって帝国の人間なんスか?www」

「かなり分かりやすかったと思うが」

「むしろ、何故分からない?」


 二人の言葉にクトーとアルゴが答えると、レヴィは眉根を寄せて、またイーサに目を向ける。


「ねぇ、この二人ってなんか似てる気がしない? あのアルゴって人、多分頭がいい類いの変人よね?」

「正解スねwww ちなみに、アルゴさん並の変人は、オレは初めて見たスwww」


 そんなやり取りは置いておいて、アルゴがオールバックの髪に軽く指を通しながら口を開く。


「この国について話してくれたことには感謝しよう。そして話したくないことは話さなくていいが、どうも事情がややこしい気配がする。俺たちを味方に引き入れたいと思うなら、多分話した方が楽だと思うぞ」


 彼の言葉にクトーもうなずいて、メガネのブリッジを押し上げた。


「現状では、お前の扱いを含めて、その内、ここを攻めてくるだろう帝国兵への対処が難しい。助けた手前、味方をしたいとは思うが」

 

 すると、珍しく呆然とした表情を浮かべていたスイキが、徐々に元の無表情に戻って、小さく首を横に振った。


「信じられない洞察力ですね。……恐ろしい人たちです」

  

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― 新着の感想 ―
[一言] 頭の回る人たちの話は読者に対する考える仮定をすっ飛ばしてしまいます (※レヴィたち目線)
[良い点] 変人同士気が合うといいなあw もう一人いれば文殊の知恵・・・w [気になる点] あの女騎士 神聖オース帝国出身だったっけ?
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