なんちゃって★エジプト神話講座
※こちらは作者の自己満足コーナーです。
作中に出てくるエジプト神は
原作神話ではどんな感じなのか
そんな素朴な疑問にお答えするオマケコーナーです。
まえおき
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★神話は1つではない!
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古代エジプトは約3000年続いた文明です。
とても期間が長いため、同じ神様でも時代によっては
全く違う扱いを受けていたりします。
ここではあくまでもメジャーな解釈・神話を中心に
筆者のフィルターを通した情報を紹介します。
ちなみに、
本作のモデルとなった時代は存在しません。
「この神様のこういう神性を魅せたい!」
という意図から好きな設定を拝借しています。
(歴史小説ではないので)
なんちゃって神様図鑑
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●セト
まずは本作のもう一人(一柱)の主人公から。
主に「戦いの神」として古くから信仰された、
砂漠、嵐、雷、暴力、戦争の神。
基本的には王権を脅かす悪として描かれますが、
もっとも古い時代には、
ラーの敵・アポピスを倒す「力の強い神」として信仰されていました。
その力が内側に向けば国に害を成し、
外側に向けば国を守る神となる。
善と悪が表裏一体であることを体現したような神様です。
時代が下るにつれて悪神の性質が強調され、
混沌・アポピスを手下に加えたりします。
エジプト神話で最も有名なストーリーは、
セトとホルスの王権争いです。
神話のセトは、王位に執着して色々やらかす神として描かれます。
具体的には王を殺し、その息子であるホルスを虐げます。
いつも最後はホルスに負けるのですが、
とにかく、しぶとい。しつこい。諦めない。
80年間戦い続けて、ようやくホルスが父王の後を継ぐことを認める――
神話はそんなお話になっています。
元々は悪を退治する正義の武神だったのが、
このような悪神に貶められたのには、
当時の政治的な要因が絡んでいると言われています。
(ホルス派の王とセト派の王の争い)
しかし、そうやって国神から降格しても、
面白おかしく貶められても、
存在は消えずに後世まで恐れ敬われ続けました。
神話の内容よりも何よりも、
この事実こそがセトの神としての魅力&パワーを
如実に物語っていると思います……!(力説)
好物はレタス。レタスしか食べないレベルで好き。
(本作の「酒好き」描写については、セトの名をもじった文句に「大酒飲み」を意味する言葉があるところからきています)
モチーフの動物は不明。
ツチブタ、ロバ、ジャッカルあたりが有力だが、想像上の動物の可能性も。
そのため本作でもイスメトの想像に委ねるかたちになっています。
ゲームではなぜか「狼」にされがちですが、
個人的には「絶対違う」と思っています。
(だって頭の形がアヌビスと全然違う……)
●ホルス
セトの仇敵として早くから名前だけは出ていた神様。
太陽、天空、王家の神。
やはり戦神として古くから信仰されてきた、
とても人気の高い神様です。
エジプト神話を知らなくても、ホルスの名前は大体の人が知ってますよね。
王家の神としての神格が確立されると、
ファラオはホルスの生まれ変わりとされました。
天皇みたいですね。
そのせいか、時代・地域によって
ホルスには様々な性格付けがなされ、
「○○のホルス」みたいに区別する必要が出てきました。
大ホルス・小ホルスもその一部。
筆者がエジプト神話を学ぶ際、最初に混乱した部分です。
「ホルスいったい何人おんねんッ!」
という気持ちが、そのまま作中の設定にも活かされています……(笑)
現存する神話では、
オシリスの息子として叔父のセトと戦います。
でも実はセトの兄にあたるホルスもいます。(!?)
本作では「小ホルス→甥っ子タイプ」「大ホルス→兄弟タイプ」をイメージしています。(本作の神に親族関係はありませんがイメージとして)
エジプト神話では時折こうした
「時間軸を無視した設定」が垣間見えます。
神は時間を超越する、とかなんとか……
まあ多分、3000年の間に後付けで色々増えた結果かと思います。
A地点で信仰されたホルスと
B地点で信仰されたホルスは
正確には別モノなんだけど
今となっては同じ神とされている――
という事例も恐らく多いかと。
(ホルスに限らずですが)
ホルスのモチーフ動物はハヤブサ。
空高く舞い、素早く獲物を狩る。まさに天空の戦神。
熱狂的に信仰された理由は推して知るべし、ですね。
●アポピス
神様というより概念的な存在に近い神格その1。
死者や神の魂を喰らい、
無に帰す恐ろしい存在。
世界を「混沌」に変えようとしている。
現代的に捉えると、
宇宙をビックバンが起きる前の
「無」に戻そうとしているようなイメージですね。
何か明確な意志や目的があって
活動をしているというより、
「そういうもの」「概念」として存在している。そんな神格です。
アポピスは、
武神から変容したセトとは異なり、
最初からがっつり「悪」として認識されていました。
時代によって、セトの敵にも仲間にもなります。
人にとっては当然、倒すべきもの。
ですが、完全に消滅させられるとも思われていませんでした。
自然の摂理として、命は死に、物は朽ち、無に帰る。
それは、そもそも世界が混沌に戻ろうとする「何らかの力」を孕んでいるせい――そんな価値観が垣間見える気がします。
モチーフの動物はヘビ。
そのため、ヘビをやっつける宗教的な儀式がよく行なわれたそう。
ヘビがなんの悪いことしたっていうの! やめたげて!
●マアト
神様というより概念的な存在の神格その2。
真実、正義、秩序、バランスを意味する。
全てが従うべきこの世の「理」。
それを神格化した存在だと言われています。
人間はもちろん神でさえも、
マアトには従います。
×マアトという神に絶対的な権力がある
○神々にはマアトに従うルールがある
こんな感じですかね。
親族関係としては、
「ラーの娘」になります。
モチーフの動物はいないけど、
頭に付いてるのはダチョウの羽根です。
●アヌビス
言わずと知れた冥界の神様。
現代日本ではホルスより有名かも知れない。
かくいう私も、エジプト神話にハマるきっかけとなったのはこの神様でした。
たまに「死神」と勘違いされますが、
死はアヌビスの意志ではありません。
死んだ人の魂を冥界へと導き、
死後の安寧を守るのが彼の仕事です。
天秤に死者の心臓とマアトの羽根を乗せ
生前の罪を判定する「死者裁判」も
あまりにも有名ですね。
なお、作中に登場した
「道を開く者」という二つ名は、
アヌビスと習合された別の神様の称号・名前だったりします。
実際、この二神は姿も役割も瓜二つ。
アヌビスはウプウアウトの神格を吸収し
現在の地位(設定)を得たという解釈もあるようです。
モチーフの動物はジャッカル。
人々からの親しみを表現するため、
本作では「犬神」と、あえて日本人に馴染みのある呼称を用いてみたりしました。
墓地を徘徊する犬の姿が
墓を守っているように見えたから、
この姿になったという説があります。
●アメミット
アヌビスの同僚として知られる女神様。
「死者裁判」において
有罪と判断された死者の心臓を
バクリと食べてしまう恐ろしい神様です。
心臓を食べられた死者の魂は消滅します。
逆にこの裁判をクリアした死者は
オシリスの治める来世に転生して
永遠に豊かで穏やかな人生を送ります。
元々は、冥界で死者を襲う魔物だったようですが、
途中からこのような役割が定着したそう。
●アテン
これだけは言わないといけない。
アテンは別に「悪い神様じゃない」んだと……ッ!(平身低頭)
本作では完全に悪役ポジの神様ですが、元々は普通に太陽神の一柱です。
一時期、唯一神として祭り上げられた時期があったというだけで、
別に邪悪な神ではないことをここに弁明しておきます。
混沌との関係云々は、完全に作中信者の独自解釈です。
神を悪に貶めるのはいつだって人間なのです。
本作では、人々の強い願い(信仰心)が神として「現実化」します。
この世界観で唯一神が神格を確立するためには
「ナイルシア唯一の神になる」ことが必要なため、
結果として他の神々から敵視されています。
たくさん伸びる手が禍々しく見えたりもしますが、
千手観音みたいなものらしい。
たくさんある手で皆を助けてくれるよ、みたいな。
モチーフはもちろん太陽。
ラーと同一視されたりも。
なお、現実世界で実際に行なわれたアテンによる宗教弾圧も、そこまで酷くはなかった模様。(次の王の代では廃止されている。ちなみにその王こそ、かの有名な少年王・ツタンカーメンである)
●ラー
名前だけ出た神様その1。
言わずと知れた太陽神。あるいは太陽そのもの。
ホルスと同じく大人気神様だったので、
似たような性質を持つ別の神が
最終的にラーと同一視されるという現象がしばしば起きました。
本作では創造神「アトゥム=ラー」の神性を主に採用しています。
アトゥムは、すべての神々の父、宇宙の主人、万物の創造者。
一般的に「エジプトの主神」と言われて
真っ先に思い浮かぶのはこの神様ではないでしょうか。
実際は時代によってホルス、オシリス、セトなどと入れ替わりがあります。(セトは初期王朝のほんの一時期だけど)
ホルスとの見分け方は、頭の上のアイテムです。
王権の神・ホルスは
エジプト統一の象徴である王冠を被っていることが多い。
一方、ラー様は偉大なる太陽!
なので太陽円盤を乗せています。
これでもう間違えないね!
(実際の壁画では描き分けられてないことも多々あるけどね……)
●オシリス
名前だけ出た神様その2。
ミイラ姿の冥界の王。役割としては閻魔大王に似ている。
生前は立派な王として地上を治めていたとか。
もともとは豊穣神だったのが、
大地のサイクルからの連想で
生命を司る神→冥界神に変化。
有名な神話では、セトの妻を(事実上)寝取ってセトにぶっ殺され、ナニを魚に食べられながらもアヌビスのミイラ制作テクと妻の魔法で蘇って息子ホルスを産み、そのあと冥界に引きこもって王様してる神様。
うーん、すごい神生w
ホルスとセトの王権争いの発端です。
死後の世界の王なので、
当時の人気も相当なものでした。
「死んだ後くらいは真面目で優しい王様の元で楽に過ごしたいよね」みたいな人々の願望が反映された性格をしています。
モチーフの動物は、完全に「ヒト」ですね。
●トト
名前だけ出た神様その3。
知恵の神様で、人間に文字を教えた神様。
神々の書記。
いわゆる学問の神様で、特に書記に大人気。
他にも暦を作ったり、歴史を記したり、裁判記録や死者のリストを管理したり、様々な魔術を知っていたり、超優秀で多忙な賢者ポジション。
某エジプトゆるキャラシリーズで、
アヌビスと「ズッ友」設定になっているのは、
死者裁判の場面でアヌビスの横に立ち、
裁判の記録を取っているシーンが
超絶有名だからだと思われます。
(実際は死者裁判に限らずあらゆる場所でメモ魔と化しているご様子)
神話でも大体お助けマンをしている印象。
エジプト神の中で
一番マトモな思考回路をしていると思う。
モチーフの動物はトキ。
また、ヒヒとして描かれることも。
なぜかホルスの(自主規制)を食べちゃったセトの頭からトトが産まれたとするオモシロ神話もある。あまりに荒唐無稽なので、たぶん後世の後付けですが。
でも、こういう変な物語のほうが後世まで残りやすいので、この逸話を付け足した人はある意味有能かもしれない。しかし、お陰でセトさんに変な属性がついた。オイコラ原作者ァッ!(セト信者発狂)
いや待てよ? 脳みそがトトになって出て行ったから、セトは脳筋になったのk(不敬
だとしたらトトが生まれる前のセトさんは、天才的な頭脳を持った上に超強い武神だったということでは……パーフェクト・セト! やはり最強!
……で、何の話でしたっけ。
●メジェド
唯一、挿絵でババーンと登場した、あの目玉の神様。
なんとなく、コイツは絵を描かなきゃダメだと思った。
なぜか現代で大フィーバーしている。
神としての詳しいことは不明。
べ、別に下調べをサボったわけじゃないんだから!
本当に不明なんだから!
だから本作での扱いも言えないよ!
死者の魂を脅かす悪いやつ(アポピスとか)をやっつけてくれる、頼れる冥界の神様らしい。
そして、この謎の布で正体を隠しているらしい。
めくったら誰が出てくるのかな。ワクワク。
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●ウアス杖
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お気付きの方もいるでしょう。
ほとんどの神様が手に持っているあの黒い杖!
ウアスです。本作では「支配の杖」と表現しています。
実はセト固有のアイテムではありません。
「セトの恐ろしい力を制御している=スゴイ」という意味で、
色んな神様や王様の持ち物として描かれることが多く、
その神や王の支配力・権力を表す記号となっています。
「セトの力を制御する記号……」
「セトの力がこもった杖……」
「つまりセトの杖ってことか!(拡大解釈)」
という感じです。
壁画などでは杖先がアヌビスの頭であることも多いです。
どっちが正統派なのかは不明。
冥界で死者を守ってくれる杖でもある。壁画だけでなく実物(頭はセト)も発掘されていて、これらは葬儀に使われた副葬品らしい。(超欲しい)
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以上、なんちゃって★エジプト神話講座でした。
神様の画像はフリー素材をお借りしました。
これを機に、少しでもエジプト神話好きが、
そしてセト神好きが増えてくれることを願っています。
それでは、また会う日まで。
こんなところまで読んでくださってありがとうございました。




