プロローグ
現在、別に書きたい作品があることに加え、この話の構想が完全に完成していないので当分更新されません。ご了承ください。
静かな病室に心電図の音が鳴り響く。暗闇の中で、彼はゆっくりと眠っていた。
しかしその中で彼は戦っていた。
頭に残された後悔の厄に。
ーー何で…何で…
頭の中に刻み込まれたトラウマは、彼を一層苦しめていた。
もしあの時、自分に力があればと。
何度も何度も頭をよぎる。
ーー僕は…守れなかった…
彼はまた鮮明に思い出す。絶望的な状況に追い込まれ、無様に殺されることを待つしかできなかった。血だらけの上に、手足の感覚はほとんどなく、立つことも困難であった。
ーーいやだ…いやだ…
彼には家族がいた。大事な、大事な家族が。
痛みを堪え、それでも家族を守ろうとした。
しかし、もう彼には、手遅れだったのだ。
ーーはあ…はあ…
「ここは私たちに任せて。」
「でも、それじゃーー」
「大丈夫。私たちのことは気にしないで。早く行って…早く!」
ーー何で…何で…
「早くしろ!逃げるぞ!」
「イヤだ!イヤだ!」
「おい!俺だってこんなことしたくねえよ。だけど、俺たちまで死んだら、もう何もかもおしまいだぞ!」
ーーはあ…はあ…
次の瞬間だった。鳴り響く銃声と共に、無数の弾が彼の家族を撃ち抜いた。
彼の目の前で、体に無数の穴を開け倒れた。
彼はそれを見て、絶叫すると同時に気を失ったのだった。
ーー何で…何で…
「何で僕は生きているんだ?」