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目がない僕  作者: 井黒 薯蕷
7/11

旅立ち

僕が鬼になっていた状態では

外見の変化はあるが 内面の変化は

さほどはなく 理性はしっかりと持っていた


走っても息も切れない、身体能力の増加

そして 底から溢れ出すのような

-力-というものを身をもって感じていた


まず 移住の確保を考え、

家の周辺は危険だと感じたことから

人里離れた

大火事のあった 7歳の頃 親の代わりに僕を育ててくれていた おばあちゃんの家に向かうことにした


家の前に着いた時には

僕は

『本当に受け入れてもらえるのか』

『今の僕をみてどう思われるのか』


という不安に押しつぶされそうになっていた


そんな時 家の扉が開き

おばあちゃんが出てきて

『蝉ちゃん。突然 どうしたんだい こんなド田舎に。 家の中に一旦入りな。』

と優しい言葉をかけてくれた


家の中でも 僕がいつもとは違うことに即座に気づき 気を使って接してくれた


僕は何も言い出せずに。


そして 1週間という月日が経った

この間 鬼化をすることは1度もなかった


だが 今の僕には 鬼化の原因も明確にはわからない。

また鬼化を起こしてしまうかもしれない。

危害を加えてしまうかもしれない。


僕はそう考え 決意をし おばあちゃんに話を切り出すことに決めた


『僕は この家を出て 都会に上京をしたいと思っているんだ。』


言い返すように、おばあちゃんは


『突然なにを言っているんだい。今の蝉ちゃんには上京するための費用も知識もまだ 足りないんだよ』

と心配の言葉をかけてくれた


その通りだった。

中3の僕には 費用もなければ 力もない。

ましては 信頼さえも。


僕の反応をみて おばあちゃんが話を切り出そうとした瞬間、 押し返すように 僕は


『やらなきゃいけないことがあるんだ。明確にはわからないけど 今を、未来を見据えるために。

進むべき駒を打つために。』と言い放った


そういうとおばあちゃんは ふっと笑い


『蝉ちゃんがそこまで 本気になるなんてねぇ

私もかけて見ようかね 【進むべき駒】というものに。』

と 笑って返してくれた


僕はその時 嬉しさと 全てを伝えられていない憎悪の気持ちに襲われていた


翌日

上京するための費用は おばあちゃんがお母さんの遺産から 少し出してくれることとなり

僕は 故郷を出て 【旅立つ】ことになった


自分を取り戻す旅へと。


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