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「と、言うことがあったんだけど楓さん聞いてます?」

「ああ、良かったな」


 冬休みあけの全体朝礼終了後、ホームルームが始まる少しの時間を使い父との関係が良好になった事を報告した。だけど楓は上の空で、少し離れたら場所でダルそうに日向ぼっこをしている大野くん達が気になるようだった。


「レイレイも大変だったんだねぇ」


 綾ちゃんは、偉い偉いと頭を撫でる。


「まあ、私の駄目さが招いた事故だからそんな大変ではなかったよ。特別仲が悪かった訳ではないからね。後は、進路の話とかもしたかな」

「この時期から考えないといけないのが辛いな。私の両親なんか凄く心配してて、休み中も勉強しろしろ五月蝿くて……。レイレイはもう進路を決めてるの?」

「私?私は特にやりたい事もないから父の伝で就職を考えてたんだけど、もしかしたらやりたい事が見つかるかもしれないから大学行けって、ここの附属大学に行こうかと思ってるよ」


 私の人生は、一般人からすると勝ち組だ。就職難のご時世でも、必殺『父のコネ』を使えばどうとでもなる。行き遅れそうでも結婚相手だって見つけて貰える。今一番大事なのは、働いて稼いだお金を今まで我慢してきた事に費やす。それ一点に限るのだ。


 綾ちゃんは、就職と聞いて最初こそ驚きはしたものの私の勝ち組理論を聞いて呆れていた。


「レイレイって、最初は凄いお嬢様っぽかったけど、話みてると庶民的で今はなんて言うか……」

「干からびてる。だろ?」

「ちょっと楓!幾ら何でも干からびてるは酷くない。さっきから碌に人の話も聞いてなかった癖に」


 私が剥れてそっぽを向いていると、大野くん達がやって来た。


「蛇窟さん、ちょっといい?」

「えっ⁉︎ここで愛の告白をするの大野くん」

「いやいや、違うから!蛇窟さん、そろそろそのネタ引っ張る勘弁してくれ。こ、この間も……」


 彼が今にも泣きそうな表情を浮かべ言葉を詰まらせる。そんな彼に代わり楓が話を続ける。


「お前がそのネタ引っ張るから、好きな子にそのネタを使われて友達止まりで終わってしまったんだと」

「ご、ごめん」


 大野くんは気になる女子がいても、私が好きと言うネタでいつも予防線を張られてしまうらしい。皆んな冗談なのは知っているのだが、察しのいい女子は上手くそのネタを利用する。


「だけど、大野くんだったモテそうなのに……」


 現に大野くんは私のストライクゾーンだし、家柄的に問題なければ大野くんか佐藤くんの二択だろう。もし、灰色の高校生活を送ってしまうなら屍は拾っておくさ。軽いノリで思いを告げサムズアップをする。


「じゃ、蛇窟さん、頼むから冗談でもそんなこと言わないでくれ。か、神白に怨まれるから」


 そこで、何故に楓の名前が出てくるのだろうか。


「えっ⁉︎冗談抜きで私のストライクゾーンなんだって」


 本心なので、ついむきになり声を張り上げてしまう。私の声に静まる教室。あれ?何か失言してしまったか。


「痛い、痛い、痛いって楓さん!アイアンクローは痛いから」


 次の瞬間、それぐらいにしておけと楓からのアイアンクロー。彼の手は意外に大きいく、おまけに私は小顔でそこそこ美人です。


「じゃなくて、本当にごめんなさい。本当に痛いから」


 私が涙目で訴えかけると楓は手を引いてくれた。


「お前、これ以上に状況を悪化させてどうする」

「でも、本当の事だし」

「レイレイ、いくらなんでも鈍すぎるよ」

「俺なんかより、神白が可哀想だ」

「なんで楓が可哀想なの?」


 よく分からないが私が悪者なのか。でも、なんで楓?綾ちゃんは呆れているし、大野くんはジト目でこっちを見てくるし、これは頂けない。


「え、ええと、大野くん。私に聞きたい事があったよね」


 私は咳払いを一度して、話を露骨に切り替えた。


「ああ、そうだった。蛇窟さん、彼氏ができたの?」


 大野くんは初詣で私とシュウくんがそれは仲睦まじく手を繋ぎ参拝しているのを目撃したらしい。教室はその話で持ちきりみたいだ。私に話しかけてきた学友は、どうやら仕事をしなかったらしい。


「あっ!それ、私も気になってたよ」


 綾ちゃんは興味深々だ。楓さんもジッとこっちを見ている。なんだよ、皆んなして家族の絆より色恋沙汰のが大事なのかい。ちょっと、泣いちゃうぞこの野郎。


「凄いイケメンだったでしょ。あれは弟のシュウくんなんだ。凄く私に懐いてかわいいんだよ」

「なんだ、シュウか」


 楓は面識があるけど、皆んなは知らなかったよね。今度、紹介するか。


「楓は佐藤くんから聞いてないの?神社で佐藤くんに会った時、シュウくんを紹介したんだけど」


 楓は、あいつ何も言ってなかっと独りごちる。どうやら、佐藤くんも仕事をしなかったみたいだ。


 私の説明に楓以外が難色を示したのは言うまでもない。えっ⁉︎あれは幾ら何でもと顔に出ている。聞き耳を立てていた周りも似たような反応だ。言いたい事はわかるよ。今からでも訂正しましょうか?


「さ、最近、まともに会話するようになったから姉弟の距離感がわからないんだよねアハハ」


 声を揃えて大野くん達は歯切れの悪い相槌をした。私達姉弟を見たら違和感があるだろうけど、無理矢理納得したみたいだ。だぶんブラコン、シスコン姉弟だって思われてるよね。フォローしたいたいけど、さてどうしたものかと悩んでいたらホームルームが始まりこの日は半日で終わりなので何の弁解も出来ず終わった。





 楓と綾ちゃんと三人で帰宅。だけど何やら校門前が賑わっている。原因は……。


「姉さん」


 物凄いイケメン、シュウくんが校門前で待っていた。私を見つけるなり、駆け寄って抱きしめる。


「シュウくん、なんか用事でもあった?」


 いくら慣れたとはいえ、人前で熱い抱擁は流石にきつい。シュウくんはのっけから飛ばしているなぁ。


「レイレイ……」


 綾ちゃんなんかは、言葉に詰まってる。わかるよ。わかりますよ。若干引いてるし。楓は……。


「久しぶりだな。シュウ」


 目、目が潰れる!司と同様キラキラオーラ(大)プラス色気マックスでシュウくんにご挨拶。楓もこの技使えたのか⁉︎綾ちゃんが腰砕けになってます。まあ、当然周りの女生徒もだけどね。


「お久しぶりです。楓さん」と、シュウくんも負けじと応戦!ってシュウくんも同じ事できるのかい。流石、続編メインヒーロー。


 私はこの状況でどうすればいいんだ。まあ、あの二人の被害者が出るのは仕方がないが、綾ちゃんだけは助けねばなるまい。


「私達、今日は一緒に買い物行く予定だからサラバ!」


 私は慌てて綾ちゃんの腕を掴み、速攻でこの場から逃げ出す。無論、楓達はキラキラバトル?に夢中で聞いていなかったようだ。


 取り敢えず近くのコンビニまで退避。綾ちゃんに水を買って渡す。


「綾ちゃん、大丈夫?」

「ありがとう。なんか、凄かったね」

「うん。まさかあの二人がアレをやるとは思わなかったよ」


 綾ちゃんがアレの説明を求められたので、軽く私なりの解釈を述べる。


「キラキラオーラ大ね……確かに私にも見えたよ」


 綾ちゃんは言い得て妙だと納得する。


「アレは目に毒だから、あと少しあの場を去るのが遅れたら漏れ無く綾ちゃんもキラキラ被害者になってたよ。私も一人ぐらいなら免疫あるから大丈夫だけど二人同時は流石にキツイよ」


 そんな会話をした後、彼女に私がブラコンでない事を説明した。話を聞いていた綾ちゃんからは、呆れ顔で押しに弱すぎると指摘されたしまった。


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