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童話のようななにか

涙を食べたアーシャ

作者: わだか

 

 ある時代のある寂れた町に、アーシャという名前の女の子がいました。アーシャのおかあさんは子供の世話をするのが面倒になり、娘をこの町に捨てたのでした。

 でもアーシャはおかあさんのことが忘れられません。さみしくてさみしくて毎日泣いてばかりのアーシャに、見かねたおばあさんが言いました。


「アーシャや、もうこれ以上泣かないでおくれ。見ているこちらもかなしくなってしまうよ」


 それを聞いたアーシャは悲しくなりました。引き取ってくれたおばあさんが本当のおばあさんじゃないことも、ちゃあんと知っていました。泣いてばかりのアーシャに手をこまねいていることも。

 それでも、アーシャの涙は止まりません。

 泣きながら困ったアーシャの口の中に、ふいに涙が一欠片入りました。アーシャは閃きました。


 そうだ、さみしさを食べちゃえばいいんだ。


 そう考えたアーシャは、涙といっしょにさみしいきもちを丸ごと食べてしまいました。


 それからアーシャはずっと、怒ることも悲しむことも泣くこともなく、いつもにこにこしています。

 さみしさを食べてしまったアーシャはずっと小さい子どものまま年を経りません。さみしさをおなかに抱えたまま、でもさみしいということも知らないままで、アーシャはおかあさんが帰ってくるのをずっと待っているのです。

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― 新着の感想 ―
[一言]  短いお話ですが涙が出そうになりました。  アーシャちゃんの今の状況や彼女が捨てられた理由もそうなのですが、その村の状況やアーシャの家族のこと、そしてアーシャの今後のことまで想像してしまうと…
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