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5.美少女エルフとの出会い その2

本当に綺麗な子だな、なんて思いつつ男達が逃げていった村の入り口に目を向ける。


「さっきの人達はもう絡んでこないと思うけど、また来たら面倒だからここはもう離れたほうがいいと思うんだけど……あなたは一人でここに来たの? 」


少女は首を横に振るとエルフ特有のとがった耳をピコンと動かすと、マリオンの背後を指差した。

その仕草にマリオンが首を傾げた。


「ユーリ様!! ご無事で!? 」


背後から聞こえてきた声に目を向けると、三人の男性が焦った様子で走ってきているのが目に入る。

いや、訂正します。イケメンエルフ三人組が、走ってきています。

マリオンの横を通り過ぎると、一人のエルフが美少女の肩をガシッと掴んだ。


「ご無事ですね!!! 本当に、本当に心配したんですよ 」


誰が聞いてもほっとしたと分かる声で一人の青年が少女を抱きしめた。

その青年は一見真面目そうな印象だが、美形にも関わらず柔らかい人好きのする印象を受ける。

少女のことをとても大切にしているのが見て取れ、単純にいい人だなと思った。


「ユーリ様、勝手に動かれては困ります。心配するではないですか… 」


続いて紺青の髪のエルフが心配げに眉を顰め、少女の顔を覗き込んでいる。

長い髪を高く結い上げてそのまま後ろに流していると女性かと見紛うが、肩や手の骨ばった印象から男性だと分かる。

それにしても目を見張るくらいの美形である。エルフは総じて美形で、普段ルイザやクレル、その周りの人間で見慣れているはずなのだが彼の美しさは他のエルフと一線を画していた。

些か無表情ではあるが、三人の中でも一番のイケメンなのは間違いない。


「ほんとほんと、ユーリ様。僕等のことおいて行っちゃうだもん。心配したじゃないですか~ 」


三人目は言動がどこか軽薄な印象を受けたが、これまた少女を心配しているのは間違いないようである。

その青年は長いウェーブのかかった髪を自然に後ろへ流した美丈夫で、左目の側の泣き黒子が色っぽいことこの上ない。

よくよく見るとその身なりや立ち居振る舞いから高い身分であるのは間違いない。

三人とも帯剣していることから少女の護衛であるのは明白だ。


「って。あれ? ユーリ様そちらの方は……? 」


軽薄な印象のエルフがさも今気づいたようにマリオンに目を向けると、残りのイケメンと少女が一様にマリオンを見つめた。


「えっと…あの、私は――― 」

「こちらの方は、私が村人に絡まれているところを助けてくれた方です。皆、失礼のないようにして 」


ユーリと呼ばれた少女はマリオンを庇うように立つと、上を見上げて微笑んだ。


(うわーーーーかわいいーーーー。こんな妹が欲しい… )


「そうでしたか。我が主であるユーリ様を助けて頂いてありがとうございます。私はアルベルト・ヒルク。ユーリ様の侍従をさせていただいております 」

「私はミカル・オルソンと申します。同じくユーリ様をお守りする護衛騎士をしております 」

「僕はクロード・デュカスだよ。ユーリ様に仕える魔術師をしているよ。それにしても君って可愛い顔してるね~ 」


紺青の髪に金茶の瞳を持った一番の無表情イケメンがアルベルト。

橡色の髪に若草色の瞳を持った優しそうな騎士がミカル。

百緑色の髪に藤色の瞳を持つ軽薄そうな魔術師がクロード。


三人の完璧な騎士の礼に身分の高さを感じ、内心慌てふためいてしまった。

向こうが名乗って頭を下げたのだからこちらもそれを返さないと失礼なことこの上ないのだが、今の格好が男装だと十分理解しているのでどう返せばよいか迷ってしまっ悩んでしまう。

いくら貧乏な領とはいえ、流石にこの格好で準男爵令嬢だと名乗ったら恥をかくだけではなく、領主の父にまで恥をかかせてしまう。

剣の修行を欠かさない男装の令嬢がいるなんて絶対に隠したほうが良いに事実だ。なんせ嫁の貰い手が無くなってしまうのだから。

ついでに言うと、見知らぬ青年でしかも三人ともイケメン。そんな彼らに男装をした残念な女の子として見られるのは、いかに好きで剣の修行を重ねるマリオンでも乙女心に傷がつくのだ。

差しあたってはお礼を言って頭を下げておけば無難だろうという結論に達した。

そこでふと父のことを思い出す。クレド村は国の端なので滅多に身分が上の人に会うことがない領なのだが、それでも何年に一度かは視察が入る。

その時、父親が身分が上の人間にやっていた礼を盗み見ていたことを思い出したのだ。

マリオンは記憶を総動員させ、なんとか父親と同じように礼をとってみせた。


「ご丁寧にありがとうございます。私はマリオン・オペルと申します 」


頭を下げていた為、イケメンエルフ三人が目を丸くしてマリオンを見つめていることに気づかなかった。

ついでに言うとマリオンのとった礼が、父親が『主君に向けてとった礼』であることをマリオンは知らない。


「……それでは私にも自己紹介させて下さい 」


少女の言葉にマリオンは頭を上げると、微笑んでいる少女を見る。

マリオンが顔を上げたのを確認すると、少女はマリオンに対して美しい騎士の礼を完璧にとってみせた。

輝くような笑顔、肩までの銀の髪、青い瞳を輝かせて首を傾げる姿は本当に天使のようだ。


「私はユーリアスと言います。ユーリアス・セレスタン・リードガルフ。このリードガルフの王子です 」


その言葉に今迄の比じゃないくらい驚き、息を呑んだ。

頭の中が一瞬真っ白になったほどだ。


(え? こ、この子……今なんていった? リードガルフの――王子様? )


「えええええええええええええーーーーーーーーーーーーーーーー! 」


マリオンの叫び声に、ユーリとエルフ達は皆が驚いた顔をしていた。

まさか叫ばれるとは思ってなかったのだろう。

しかしマリオンはそんなことを気にしていられる場合じゃなかった。


「驚くのも無理ありませんねぇ 」


アルベルトは顎に手をかけると、うんうんと頷いている。


「まさかこんなところに王子がいるなんて思いませんよ普通 」


ミカルも頷きながら、目を見開いてユーリを凝視しているマリオンに哀れんだ視線を向けている。


「だよね~。王子様が目の前にいたら誰でもびっくりしちゃうよね~ 」


クロードはクスクス笑いながらからかうような視線を投げかけた。


「お…………じ…………の…… 」


一番近くにいたクロードはマリオンが零した言葉が聞き取れず、顔を覗き込んでくる。


「え? 何? どうし――――― 」

「お、女の子じゃないのーーーーーーー!? 」


言葉を遮って再び叫んだ内容に、ユーリはぽかんと口を開き、アルは目を細め無表情でこちらを見つめ、ミカルは口を押さえて顔を背け、そしてクロードは大爆笑していた。



少年やっとでてきましたーー


ブクマありがとうございます。

登録してくれる方は神です。ブクマ教つくって崇めます。


3/21 サブタイトルですが、番号+文字にしてみました。そのため、1~4話のサブタイトルが変更になっております。

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