僕の声がきこえるらしいよいや参ったね
勢いで2話目。ほぼ説明回です。
…おろ?
「いやおろでもねーよ…」
もしもーし。
「なんだよ。つか早く出てこいよ。」
ほんとに聞こえてるらしいね。うん。
「何の確認だよ…?」
なんで聞こえるの?
「はぁ?」
…なるほど。なんもわかんないけど僕の声はとりあえず聞こえると。
「いいから早く出てこいよ。その辺にいるんだろ?」
いないよ?
「そんな嘘ついたって声聞こえる時点でモロバレだからな?」
いやいやほんとに。探したっていいけどその辺にいないのはほんとだよ?
「じゃあなんで声が聞こえるんだよ?」
さぁ?だから僕も疑問に思ってるわけで。
「…とりあえずお前何者だよ。」
地の文。
「はぁ?」
だから君が気づくまで状況描写してたんよ?
「いやそうじゃなくて、なんで俺の地の文なんてやってんだ?」
仕事だから。
「答えになってねーよ…」
じゃあ君が『物語』の『主人公』だから、でいいかな?
「…どういうこと?」
そっか。なんも知らないのか。なら教えてあげよう。君はこの世界に呼ばれた『勇者』なんだ。
「はあ!?つまりここはもともとの場所からして異世界にいるってことか!?」
なかなか読み込みが早いね。でも、人の話は最後まで聞こうか。
「あ、ああ。スマン。」
わかればいい。あと君の疑問にはYESと答えておこう。でだ。『勇者』はれっきとした『物語』の『主人公』で、『物語』に『地の文』は付き物だろ?
「意味不明なんだけど…」
君は勇者になった。この世界は不思議なもので、こういった話は必ずどこかの世界で物語となるんだ。僕はその話の地の文。そして君は何故かそんな存在であるところの僕の声が聞こえるってこと。わかった?
「なんとなく読み込めたけど…結局お前は何という存在でなんで地の文なんていう仕事してんだ?」
知らない。気付いたらやってた。
「お前にもわからないのかよ…」
まああれだ。気にしたらそこで試合終了だってやつだ。
「自分が勇者として異世界に呼ばれたことより意味わかんないんだけど。」
人生なんて意味わからん事の方が多いんだから気にすんな。こまけぇことはいいんだよ!!
「なんかちょくちょくうざいな…そんで?名前は?そんくらい教えろよ。」
知らん。いつの間にか地の文やってたのに名などあると思うてか!?
「名無しかよ…まあいいや。俺は蓮見悠翔だ。よろしく。」
うむ。地引文人だ。こちらこそ。
「名前あんのかよ!!」
偽名だぞ?
「偽名かよっ!!」
その日、その森からは10代半ばほどの男の叫び声が絶えなかったとか。
「うっせぇ!!!」
地の文「こうして僕こと地の文による勇者いじりが始まったのだった・・・」
悠翔「ふざけんな!」
4/6 『・』を『…』に置き換えました
4/26 会話文同士の間を1行、会話文と地の文の間を2行開けました。