回想1
11話目です。
「ニーナっ!後ろだっ!」
瞬間、叫ぶ。そいつは雪の中に潜り込んだかと思うと、彼女の後ろ側へ姿を現した。
「…え?」
普段から消え入りそうなくらい小さな彼女の声。それを掻き消さんばかりに襲い来るそいつはその瞬間、僕を見ていたような気がした。
僕を、僕らを、見下すような目で。
――――ズガァッ!
「ニーナっ!」
そいつの名は『スノウハンマー』。そいつは、下が潜り込める位の柔らかさを持つ雪だというのに、そんな音を立てるほどのパワーで、その名の由来にもなった太い腕で、ニーナを殴りつけた。
そのあとには、誰の姿を確認することもできなかった。
「くそおおおおっ!」
また、またか。また僕は友人一人守れなかったのか。仲間一人守れなかったのか。そんな自分への怒りさえも魔力に変えんばかりの気迫で、僕はアイツに向かって――――
「イツっ!落ち着いてっ!そんなことしたってどうしようもないっ!」
「っ!…悪い。」
突っ込もうとした所をもう一人の仲間に止められる。そうだ。今は目の前のコイツを倒さねば。
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僕等はアイツの討伐に成功した後、雪山を下山した。
結論から言えば、ニーナは生きていた。アイツの攻撃をモロに受けながら、柔らかかった雪に埋もれてしまったようだ。その時は攻撃のショックで気絶していたようだが、僕等がアイツを倒し、奴が崩れ落ちた時の衝撃で気が付いたらしい。後は彼女が得意とする火属性魔法で雪を溶かして出てきたという。
ニーナは確かに生きていた。だが、長時間雪の中で埋まっていたことによる凍傷、それと彼奴の攻撃で付けた打撲の傷で、直ぐには動けない状態となっていた。
…僕はまた友人を失いかけた…!あの時と何も変わって無いじゃないか…!
「イツ。」
「…カガリか。」
山麓の村、古びた宿の2階にあるベランダに、カガリが入ってきた。
「どうした?」
「どうせイツのことだから、今回のこと気にしてるんだろうなって思って。」
そんなことを軽く微笑みかけながら言ってくる。
此奴はいつもこうだ。人が気にしてる事にズケズケ物を言ってくる。
それで助かってるからこうして仲間として上手くやっていけているわけだが。
「お前は何時も容赦ないな。」
「このくらい言わなきゃ、イツは頑固だからね。」
「うっ…」
事実過ぎて何も言えない。
「結論はあの時と同じだよイツ。悔しけりゃもっと強くなればいい。」
「そうか…そうだね。」
この結論は以前にも出したもの。
カガリを死なせそうになった時に、二人で出したもの。
「…うん。私も、それでいい。」
「なんだ、居たなら言えばいいのに。ってか歩いてて大丈夫なのか?ニーナ?」
何時の間にかニーナまでいた。怪我を押してまで来なくてもいいのに。
「…二人の邪魔しちゃいけないと思って。」
「なっなななななに言っててるの!?」
「余計なお世話だ。」
カガリが何やらテンパってる。そんな狼狽える要素が有っただろうか?――――なんてどこぞのギャルゲの主人公の様な事は言わない。カガリは間違いなく僕のことが好きなのだろう。最初は確かに勘違いかもと思っていたが、彼女との付き合いももう半年にもなるのだ。確信に至る出来事の一つや二つは有った。だが、僕はその好意に応える訳にはいかない。
僕と彼女らは、必ず別れることになってしまうから…
4/6 『・』を『…』に置き変えました。
漢字からひらがなにした表記があります。
一部表記の方法を変えました。
4/26 会話文同士の間を1行、会話文と地の文の間を2行開けました。




