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きみに恋していた日々

作者: メイ

 ある日、きみのことを知りました。

 とても背が高い、というのが第一印象でした。


 ある日、きみと初めて言葉を交わしました。

 素っ気ない態度が怖く思えました。


 ある日、きみの何気ない癖を見つけました。

 よくわからない人だなぁと思いました。


 ある日、きみはいつも仏頂面しかしていないように思いました。

 きみが何を考えているのかがますます分からなくなりました。


 ある日、きみの笑った顔を初めて見ました。

 意外と無邪気だなぁ、と驚きました。


 ある日、きみと話す回数が増えていることに気が付きました。

 それが楽しくて、わたしの笑う数も増えたのでした。


 ある日、きみに身長が低いことをバカにされました。

 きみが人をからかうのが好きなことをそのとき知りました。


 ある日、きみが好きなバンドのことを熱心に語りました。

 その子供みたいに楽しそうな顔を見て、こちらも楽しくなるのでした。


 ある日、きみが放課後の校庭を走っていました。

 その真剣な様子を、わたしはずっと遠くから眺めていました。


 ある日、きみの誕生日を知りました。

 同じ夏に生まれたことが少し嬉しいのでした。


 ある日、きみの前で泣いてしまいました。

 きみは励ますこともなく、いつもみたいにからかって笑うのでした。


 ある日、ふとしたきっかけできみとふたりきりになりました。

 何故か、時間が止まればいいと思っていました。


 ある日、きみがわたしの名前を呼びました。

 男の子に呼ばれることに慣れていなくて、不覚にも緊張したのでした。


 ある日、きみが重い荷物を持ってくれました。

 いつもからかうくせにこのときだけ優しくて、ずるいと思ったのでした。


 ある日、きみのことで初めて泣きました。

 きみはそんなことも知らずに笑っているのだろうと思いました。


 ある日、きみとの接点がもうなくなってしまうことに気付きました。

 それがどうしようもなく寂しく思えたのでした。


 ある日、きみに思ったことを言えませんでした。

 それがどうしようもなく悲しく思えたのでした。





 ある日、きみに伝えたいことがあったのでした。

 わたしはきみのことが大好きなのでした。

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― 新着の感想 ―
[一言] 主人公と一緒に恋をしているような気持ちになりました。 とても入り込みやすかったです。
2013/02/20 17:01 退会済み
管理
[一言] こちらでははじめまして。 詭弁論者です。 何というか、中学生の頃を思い出してしまいました。 好きな女の子がクラスで一番早く登校するのを知って、仲良くなりたくて彼女よりも早く教室に行ってたこと…
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