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宇宙改変ブロガー 姫鷺”神”蜜愛  作者: 沙φ亜竜
第1章 蜜愛、小説を書く。
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-5-

 蜜愛が家に帰り着く頃には、もうすっかり日も落ちていた。

 夕焼けの情景というのがイメージをする上でいい影響を与えてくれるのか、気づけば夕陽は地平線の彼方に沈んでいることが多い。

 それから戻ってくると、どうしても帰りが遅くなってしまう。

 とくに門限は決められていないため、親から怒られるような心配はないのだが。


 蜜愛はうがいと手洗いを済ませ、二階にある自室へと駆け込んだ。


 ノートパソコンを起動し、今日の分の日記をブログにアップ、前日分にコメントがついていたらその返事を書く。

 続いて、手帳に記してある小説のアイディアメモをパソコンに打ち込む。

 そのあいだに母親から呼ばれるので、一階に下りて夕飯を食べる。


 部屋に戻ったらブログに書く小説をまとめる作業に取りかかる。

 まとめ終えた時点で、一旦、お風呂に入る。

 そして再び戻ってきて、ひと通り読み返したのち、実際にブログにアップする。


 小説をアップする日は、だいたいこんな感じの流れとなっていた。




 お風呂から上がり、髪を急いで乾かし終えた蜜愛は、部屋に戻るなり電源を入れっぱなしにしてあったノートパソコンと向き合う。

 長くて分量の多い髪だというのに、ドライヤーを当てる時間が短いせいで、今日も水分はかなり残ったままの状態だったが。

 風邪をひいてしまうかもしれないとか、髪を傷めるかもしれないとか、蜜愛本人はまったく気にしていない。


 なお、蜜愛が自分の部屋にいる時間は、基本的にノートパソコンの画面をのぞき込んでいる。

 それ以外はほとんど、寝ているか本を読んでいるかのどちらかだ。


「今日の『かこまれたちきゅう』のアップ分は、ちょっと量が少なめかなぁ~? でも……ま、いっか」


 パソコンの液晶画面をのぞき込みながら、蜜愛は独り言をこぼす。

 自室にいるときや散歩の途中など、やけに独り言が多いのも特徴的だ。

 無意識に声に出ているのだろうが、あまり周囲を気にしない大らかな……というよりも大雑把な性格、と言えるのかもしれない。


 実際のところ今現在、ノートパソコンの傍らにはポテトチップスが置かれ、それを食べながらブログ用の記事をチェックしている真っ最中だ。

 油や塩でべっとりとなった指でそのままキーボードを打ち、こぼれ落ちたポテトチップスの細かなカケラがノートパソコンにかかったりもしているのだが、それすら気にしてないように見える。


 蜜愛が使っているノートパソコンのキーボードは、キー同士がピッタリとくっついた配置になっているものの、まったく隙間がないわけでもない。

 お菓子のカケラが入り込むだけでも、故障の原因となりかねないわけだが……。


「よし、確認オッケー。それじゃあ、ブログにアップ……っと」


 ブログ投稿サイトの確認画面で、投稿ボタンにマウスカーソルを合わせてクリックする。

 蜜愛の今日の作業はこれにて終了となった。

 ちなみに今回アップした内容は、大まかな概要で示すと以下のような感じだった。




 有力な三つの宇宙人部隊、アンドロメディア・マゼランド・ソンブレランのあいだで、小競り合いが続いていた。

 少し前、ケンカになりそうなところでどうにか回避したことがあったが、そのわだかまりが消えていなかったのだろう。

 それぞれの部隊の中で血気盛んな若者たちを中心に、ついに衝突が発生してしまう。


 マゼランドの部隊が身を潜めている小惑星帯が衝突の舞台となった。

 そこで、アンドロメディアとソンブレランの若者グループが、マゼランドの若者グループを取り囲んだのだ。

 緊迫した睨み合いの末、最終的には小惑星のぶつけ合いにまで発展していった。


 特殊な能力を使っての小惑星の飛ばし合いは、これまでのイザコザの中では一番激しく、凄まじいものとなった。

 とはいっても、まだマシだったと言えるだろう。

 争いを起こしたのが若者たちだけだったため、各部隊の所持している高い技術力を誇る兵器類が使われることはなかったのだから。

 もし全軍を挙げての争いになったら、太陽系全体が軽く消し飛んでしまうはずだ。


 ともあれ、まったく被害がなかったかといえば、そうでもなく。

 お互いに投げ合った小惑星同士がぶつかった際に、大爆発が起こってしまった。


 閃光が辺り一面を覆い尽くす。

 爆音が辺り一面に響き渡る。


 そのあまりの激しさに、若者たちは頭に上っていた熱い血を冷ますことになる。

 マゼランドの若者グループを取り囲んでいたアンドロメディアとソンブレランの若者たちは、散り散りにそれぞれの部隊の拠点へと戻っていった――。




 正確には、真空の宇宙空間では音が発生しても離れた場所にまで伝わったりはしないはずだが、そういった部分はイメージ性を重視しているのだろう。

 映画などでも、宇宙空間で爆発音が鳴り響く。それと同じような、演出上の嘘だ。

 もとよりブログの内容自体が嘘だらけの創作小説なのだから、これくらいの嘘は嘘とも思われないに違いない。

 いやしかし、この小説が嘘だらけだと言いきってしまうわけにもいかないのだが……。




「今回も、たくさんのコメントをもらえるといいな~」


 蜜愛は満足顔で布団に潜り込む。

 ブログをアップしたらすぐ寝るのも蜜愛の日常だ。

 時計の針はまだ十時を回ったばかり。

 よく食べ、そしてよく眠る。蜜愛はそれを実践している女子高生でもある。


 規則正しい生活ではあるものの、ダイエット盛りとも言える女子高生にしては多めに食べ、睡眠時間も長めだからなのか、はたまた夜にお菓子類をバリバリと食べているせいか(おそらくこれが主な原因だろうが)、若干おなか周りに贅肉がつき始めてきていたりする。

 だが、大らかな……いや、大雑把な……というか、がさつな蜜愛自身は、言うまでもなく全然気にしてなどいないのだ。


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