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それから二週間ほど経った。
小説も三話分アップされ、日記のほうも毎日更新されている。
あんなことがあったにもかかわらず、宇宙王子は毎回かかさず、ブログにコメントを書き込んでいた。
ゆゆは、「こいつ、バカじゃないの?」と呆れていたが、蜜愛自身はほっとしているようだった。
ブログを読む人が減らなくてよかったことを安堵し、また、宇宙王子が元気そうだと確認できたことを喜んでいるのだ。
それだけではなく、ある変化にも、蜜愛は気づいていた。
宇宙王子からのコメントがつく時間だ。
以前は平日の昼間だろうと、平気でコメントしていたのだが、今では平日の場合、夜の遅い時間だけに限られるようになったのだ。
働いていないと言っていた宇宙王子だが、蜜愛は仕事を始めたのではないかと推測している。
まだあれから二週間しか経っていないため、バイトを始めただけかもしれないが、少なくとも規則正しい生活を送っているのは間違いないだろう。
単なる推測でしかなく、確実とは言えないわけだが。
それでも、真面目に働き始めた宇宙王子の姿を想像し、蜜愛は頬を緩ませていた。
「頑張ってくださいね」
温かな応援の言葉をつぶやきながら、コメントへの返信を送る。
そして蜜愛は、今夜アップする予定の『かこまれたちきゅう 第16話』をまとめにかかるのだった。
前回までの話で一旦体調が悪化し、生死の境をさまよっていたサラードの部隊の隊長だったが、サラード自身による懸命な看病によって完治する。
サラードが月の裏側で待機している部隊のほうへと戻っているあいだ、『私』を妻にしようと争うのは、レオンとルナのふたりだけとなっていた。
だが一対一となってもなかなか決着はつかない。
ただ、最後の最後で状況が動く。
日没間近の状態でルナがドジを踏み、レオンの前で転んでしまったのだ。
レオンは余裕をかまし、ぐだぐだとごたくを並べながらルナに迫る。
さすがに体勢が悪い。負けを覚悟するルナ。
そこへ、実にタイミングよくサラードが戻ってきた。
「やっぱり、こうでなくっちゃな!」
「僕を差し置いて、決着をつけられたらたまらないよ」
「ふふっ。ですが、最後に勝つのはこのわたくしですわ!」
こうしてまた、三つ巴の戦いが始まる。
といったところで、お約束どおり日没の時間が訪れ、三人は強制転送されて帰っていった。
そんな流れの最新話が、蜜愛の頭の中で組み立てられ、ノートパソコン上で物語へと変換されていく。
しかしここでまたしても、蜜愛の少々おかしな思考回路は、物語を余計な思いつきの展開へと走らせてしまう。
次回への引きは必要。
懲りもせずに、そう考えたのだろうが。
小説の最後につけ加えられたのは、こんな文章だった。
戦うこと自体を楽しみ始めている三人のもとへ、新たな刺客が送り込まれます。
エリートであるはずの三人をも凌ぐ、とても強大な力を持った宇宙人の刺客が……。
さらにその刺客は、宇宙人たち三人だけでなく、『私』をも巻き込んでいくのです。
以下、次回をお楽しみに!




