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『かこまれたちきゅう 第9話』
私は彼らと出会いました。
彼ら――そう、宇宙人のエリートたちです。
アンドロメディアの宇宙人で、長髪がさらりと揺れる爽やかなイケメン、サラードさん。
マゼランドの宇宙人で、気性の荒い感じの野性味溢れるイケメン、レオンさん。
ソンブレランの宇宙人で、見るからにお嬢様然とした超美人、ルナさん。
以上三名が、私の目の前に唐突に現れました。
最初はレオンさんでした。
私は腕をつかまれ、強引に路地裏に引き込まれました。
身の危険を感じ、どうにか抵抗を試みましたが、か弱い私では、筋肉質で野蛮な男性に敵うはずもありません。
こんなとき、お話の中だったら白馬に乗った王子様が助けに来てくれるはずですが。
現実はそんなに甘くないでしょう。
諦めかけたそのとき、私を助けてくれる王子様が本当に現れました。
現実は甘かったのです!
助けに来てくれたのは、サラードさんでした。
「僕のお姫様に手を出したら許さないよ」
爽やかな声で、白い歯をキラリと輝かせながらレオンさんの前に立ちはだかります。
私に微笑みかけ、ウィンクをしてくれたサラードさんの綺麗なお顔に、思わず頬を染めてしまいました。
サラードさんはとても強く、レオンさんをボッコボッコのフルボッコにしてメッタメッタのギッチョンギッチョンにのしてくれました。
ボロ雑巾のように転がったレオンさんを一瞥すると、サラードさんは私に近づいてきました。
そして――。
「これでキミは僕のものだ。僕の妻となって宇宙に来てほしい」
きゃ~~~っ!
いきなりの愛の告白です!
イケメンからの求婚です!
だけど、私は困ってしまいました。
突然、宇宙に来てほしいだなんて……。
そこへ、さらにもうひとりの宇宙人が割り込んできました。
「お待ちなさいな。その子を妻にするのは、このわたくしですわよ!」
「ルナさん……! キミは女性だろうに……!」
「わたくしの惑星では、普通のことなのですわ!」
言うが早いか、ルナさんはサラードさんに蹴りかかりました。
なぜか藍色の落ち着いた和服を身にまとっているルナさんが、長い裾を振り乱しながら乱舞します。
サラードさんは防戦一方になってしまいました。
いくら敵とはいっても、女性に手を上げることなんてできない。
そんな紳士的な考えを持っているのでしょう。
とってもカッコいいです!
素敵なのは顔だけじゃなかったのです!
ともあれ、サラードさんとルナさんの戦いは、一方的なものにはなりませんでした。
なぜなら、ボロ雑巾へと変貌を遂げていたはずのレオンさんが立ち上がり、ルナさんに殴りかかったからです。
「この地球人の女を妻にするのは俺だ! 誰にも邪魔させねぇ!」
どうやらレオンさんの目的も、私だったようです。
それにしても、女性にも躊躇なく手を上げるなんて、とっても野蛮人です。
見ためどおりのワイルドさんです。
今ここに、三人の宇宙人が集結、私を巡っての争いが始まってしまいました。
嗚呼、どうしてこの人たちが戦わなければならないの?
私なんかのために傷つけ合うのはやめて!
悲痛な叫び声は、天の神様には届きません。
それ以前に、彼らにとっての神様は、私だったのです。
彼らは私を妻として迎え入れ、新世界の新たなる神として仕立て上げようという、大いなる野望を抱いていたのです!
戦いはしばらくのあいだ続きました。
やがて、
「そろそろ……日が沈んでしまうね……。ここまでかな……」
「くっ、そうだな……。日没とともに俺たちは強制的に転送されちまうからな……」
「出直してくるしかない、ということになりそうですわね……」
三人は私のほうに向き直り、最後の言葉を残します。
「それじゃあ、また来るよ」
「お前は俺が娶るからな!」
「ごきげんよう、未来の神様」
太陽がビルの陰に隠れるのと同時に、彼らの姿はすうっと薄れ、消えていきました。
レオンさんが言っていたとおり、強制転送されて、一旦宇宙へと戻っていったのでしょう。
はたして私はどうなってしまうのか――。
三人の宇宙人たちの争いの行方は――。
そして、スパイとして地球に送り込まれたはずの三人が、どうして私を求め、神にしようとしているのか――。
それらはまた、今後のお楽しみです!




