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第五話 「遺跡調査開始。目覚める古代の遺産。これってヤバくないですか?」

 あれから、半日近く歩いて目的地である旧ミアネス市街地に到着した。

「ところで、遺跡調査って何やるの?」

 今更だが、僕は何をやればいいかわからない。

「お前、今更何を行っているんだ」

 二人が呆れ顔で僕を見ていた。そんな目で見ないでくれ、知らないものは知らないんだよ。そんな僕を見かねて、二人が説明してくれた。

「遺跡調査をするのは、ほとんど僕だけで構わない」

「レイネスはね、考古学の知識があるからホントはレイネスだけでも出来るんだ。調査自体はね」

「ただ、一人で調査をするのは危険すぎる。調査に気を取られすぎて、魔物におそわれても困るからな」「だから、私たちがやることは基本はレイネスの護衛だよ。偶に手伝うこともあるけど、専門的な知識は要らないから」

 ありがたいことに、僕は戦闘だけしてればいいらしい。

「わかった。説明ありがとう」

「わかったなら行くぞ」

 こうして僕らは遺跡に入っていった。レイ曰く遺跡を破壊するなと言うことで、僕の十八番戦法は現在封印中。

 調査しながら先へ進んでいくと、広間らしきところにでた。広間の中央には、石造りの巨大な像があった。

「レイ、あの像は何だ?」

「当時の彫刻家が作ったものだろう。あの像のモチーフは恐らくは、その時の領主、クロクネス・ミアネスだろう」

「そんなに有名なのか?」

「…考古学界でな」

 何故だろう?一瞬、レイが悲しそうな顔をしていたような気がする。仮面付けてるからわからないけど。

 そんな会話をしてたら、レミアが石像に近づいていった。その時、僕は物凄い魔力が急に集まっているのを感じた。しかも集まった行くのは…あの石像だ。隣にいたレイもそれを感じたらしく、僕らはレミアに向かって走り出した。

 僕らが追いつく前にレミアも気付いたらしく、石像から距離を置いた。僕らが合流すると、それと同時にあの石像が動き出し、僕ら目掛けて向かってきた。僕らは散開し、バラバラになって石像を取り囲んだ。石像は一度僕らを見渡すと、レミアに狙いを定めたらしい。レミア目掛けて殴りかかった。 

「レイ、コイツは破壊していいよな」

「構わん。仕方ないが、やらなければ僕らがやられるからな」

 その答えを聞いて僕は剣に魔力を溜め始めた。そして僕は飛ぶ斬撃を飛ばした。それは、あの石像に傷一つ付けられずにかき消された。そして石像は、僕の方へ向かってきた。

 僕は何が起きたか解らなかった。今まで、斬れない物は無かった。それなのにいとも簡単に防がれてしまった。

「クソッ、クソッ」

 僕はがむしゃらに、何発も斬撃を放った。それらは全て消されて、気付けば石像に僕は吹き飛ばされていた。

「ユキヤッ」

 レミアの声は聞こえたが、言葉を返せなかった。僕は壁にぶつかり、そのまま意識を失いかけた。石像は追ってこなかった。またターゲットをレミアに変えたようだ。

 僕はレミアを助けに行きたがったが、体が動かない。あまりの痛みに動けなかった。

「喰らえ」

 レイが地面に手を置くと、石像目掛けて意志の槍が地面から飛び出した。それを受けても石像は倒れない。

「行くよ。喰らって」

 レミアが石像に手のひらを向けると、手のひらから魔法陣が現れて、底から無数の氷の槍が飛び出し、石像に向かった。それでも石像はダメージなど無いように歩みを進めた。

「クソッ。奴の体は堅すぎる。ダメージを与えられない」

「どうしよう。打つ手無いよ」

 僕らは絶望の淵に追い込まれた。

 僕もどうにかしたいが、どうやら吹き飛ばされた時に、剣を落としたようで剣は見あたらない。それでも武器を探していると少し離れたところに、一本の槍が地面に刺さってた。

 僕はそこまで這って進むとそれを杖代わりにして、立ち上がった。そして僕はそれを抜いた。

 次の瞬間、槍は輝き始めた。

「何!!あの槍を抜いただと」

「すごい光。なに?あの光は」

 レイとレミアが何か言っていたが、僕には聞こえなかった。

 僕はその槍を構えると、槍に魔力を流し込み、飛ぶ突きを繰り出した。それは、あの堅い石像の肩を貫通した。石像は後ろからの攻撃にバランスを崩し、倒れた。しかしそれでもまた立ち上がり、僕の方へ向かってきた。

 僕はもう一度構えて、今度は急所を外さないようにしっかり狙った。

「食らえよ、石人形。スクラップにしてやる」

 そう言って僕はとどめの一撃を放った。それは、石像を動かしていた魔力が集まっていた場所。頭を貫きそれにより、石像は動きを止めた。

 僕が肩で息をしていると、レイとレミアがこっちに来た。

「すごいよユキヤ。よくあれに勝てたね」

「僕がすごいってよりこの槍がすごかったのかな」

「いや、まんざらレミアの言葉は間違っていない。その槍は持つ者を選ぶと言われている、名も無き聖槍だ」 

「名も無き聖槍ってどういうことだ?」

「この槍はここに刺さっていたのだろう。」

「そうだけど?」

「僕は何回かこの遺跡に訪れたことがある。石像はあったが、襲っては来なかった。その時僕もこの槍が気になり、抜こうとした。だが抜けなかった。後で調べたが、この槍はあの像のモチーフだと思われる当時の領主、クロクネス・ミアネスの愛槍だったらしい。当時は槍の名前はなく、ただ聖槍と呼ばれていたらしい。クロクネスは自分の魔力を使い、ここに聖槍を封印したらしい。槍の力が強すぎてな。それからクロクネスはこう言ったらしい、「この槍は封印した。封印を解くためには、この槍に認められねばならない。認められない限り、この槍は二度と使われることはない」

「で、この槍を抜いてしまった僕はこの槍に選ばれたと言うことですか」

「すごいよユキヤ。やっぱりあのアイテムは強者の元へ導いてくれたよ」

「あのアイテム?まさか、レミア、あれを使ったのか?」

「うん。で、連れてきたのがこのユキヤだよ」

「成程。道理でなにも知らないわけだ」

「僕は馬鹿にされてるのかな?」

「それは違う。もしも僕があのアイテムを使ってお前にあったら、もう少し色々教えられた。災難だったな、呼び出したのがレミアで。心から同情する」

「レイネス、それってわたしがバカって事?」

「いかにもそうだが」

「違うよ。私はバカじゃなくて、少し忘れっぽいドジっ娘だよ」

「世間一般でそれをバカというのだ」

 僕は二人を放置して剣を探しに行った。だいぶ苦労したが、無事に見つかった。

 僕が戻ってきても二人は言い争っていた。

「いつまで痴話喧嘩してるの、お二人さん」

 僕が茶化すと、

「すまない。僕としたことがこんな事にムキになるなんて」

 レイは僕の意図に気付いたようで、素直に謝った。勘のいい奴だよ。

「これは痴話喧嘩じゃないよ。第一、レイネスとはそんな仲じゃないし」

 と、レミアに至ってはマジに受け取っていた。やっぱり天然だよな。

「で、遺跡調査はどうするんだ。まだやるのか?」

「いや、今の戦闘でみんなの消耗が激しい。今日は外にでて、明日もう一度調査するぞ」 

 そうなって、僕らは一度外に出た。気付けば夜になっていた。あれから僕らは、僕の作った夕食を食べてくつろいでいた。

 ふと、気になることがあってレミアに聞いてみた。

 「そういえば、レミアの使ったアイテムって、『異世界の強者のところに続く光の門を開ける』だったよな?」

「そうだよ。それがどしたの?」

「いや、それ見つけても僕は元の世界に戻れないじゃん」

「なんで?」

「異世界の強者のところに門が出来るんだろ。それって僕の世界に開くとは限らないじゃん」

「その通りだ。異世界など一つどころか無数に存在するはずだ。確率としてはコイツの世界に門が開くのは、かなり低いはずだ」

「そっか。そう言えばそだね」

「じゃあ、僕はどうすればいいんだ?」

「取り合えずは、情報を集める他は無いだろう」

「ゴメンね、ユキヤ」

「別に、今更しょうがないだろ」

「まぁ、僕もそれに関しては手伝ってやる。しばらくは旅に同行しよう」

「あぁ、ありがとな」

 その後は雑談となって、交代での見張りを決めて僕らは寝た。

 隣で、レミアはスヤスヤ寝ている。レイは見張りだ。僕は眠れなかった。するとレイが話し掛けて来た。

「眠れないのか?」

「あぁ、残してきた妹が気になってな」

「そうか。家族がいるのならば、心配しているだろうな」

「多分、な」

「だが、眠らないと体が持たないぞ。交代の時は起こしてやるから、寝たらどうだ」

「そうだな。じゃあ、おやすみ。レイ」

 そうして僕は眠りについた。

 数時間後僕とレイは交代した。

 僕は空を見上げた。元の世界じゃ見れない、満天の星空を。

 大丈夫だ。雪菜はきっと上手くやってるさ。倖枝だって護ってくれてるのだから、きっと大丈夫だ。

 僕はそう信じることにした。この満点の星空の下で、そう信じた。

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