表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
23/47

第二十三話 「つかの間の休息と仕事の依頼と三人で行く狭間」

 僕らはあの後、一日かけて陸地に辿り着きリアの転移魔法で砂漠船ごとミアネスの町に移動し、砂漠越えはしなくてすんだ。

「リア、お疲れ様。大丈夫か?」

「はい。大丈夫です、お兄さん」

「でも、わからないところで疲れてるかもしれないから、今日はもう休まない?」

「そうですね。色々とまとめなければいけないことも有りますしね。今日は各自自由行動で体を休めて、明日の朝に私の部屋に集まって下さい」

 レミアの提案をロアが受け入れて、今日一日は休めることになった。僕としては嬉しい限りだ。雪菜に色々と教えてあげなくちゃだし、服とかも買ってやらないとな。さすがにセーラー服は目立つもんな。

「じゃあレミア、ちょっと付き合ってくれるか?雪菜に服とか買ってやりたいんだけど、さすがに僕じゃ女の子の服なんてよくわからないから助けてくれないか?」

「うん、いいよ。ユキヤの頼みだし、ユキナちゃんにも色々と話したかったから」

「ん、ありがとう。雪菜もそれでいいよな?」

「お兄ちゃんと一緒ならいいよ」

「それじゃあ行こうか」

 そんな訳で僕は雪菜とレミアを連れて、買い物に出かけた。二人ともなんだか嬉しそうだし、誘って良かった。僕らはレミアの案内で服を売ってる店に来た。何でもここの服は女の子に人気だとか。ここなら雪菜も気に入る物があるかな?

「ねえねえ、ユキナちゃん。こんなのはどう?可愛いと思うんだけど」

「あっ、ホントだ。これ可愛い。お兄ちゃん、似合ってるかな?」

 レミアが雪菜に勧めたのは白と水色が基調で胸元に青いリボンの付いたワンピースだった。僕的には雪菜にとても似合うと思う。

「うん、可愛いじゃん。似合ってるよ、雪菜」

「えへへ、ありがとう」

「こっちはどうかな?これもいいと思うんだけど」

「こっちも可愛い。お兄ちゃんはどっちがいいと思う?」

 今度のは白のTシャツと白と赤の上着のセットと、青いホットパンツだ。これは雪菜の綺麗な脚をより強調していて兄としては些か雪菜に向けられる視線が気になるが、とても似合っていた。

「そっちも良いじゃん。どっちも似合ってるよ」

「んー、どっちにしようかな?迷うね」

「僕的には二つ目の方がいいと思うけど、レミアはどう思う?」

「わたしもユキヤと同じかな。どっちも似合ってるけど、こっちの方がいいと思うよ」

「お兄ちゃんたちがそう言うなら、こっちにするよ」

 僕は雪菜が迷っているみたいだから、素直な感想を言ってあげ、レミアにも聞いてみたら、僕と同じだって言った。それを聞いた雪菜嬉しそうな顔で、僕らが勧めた方を選んだ。

「こちらは全部で2500ゴールドとなります」

「じゃあ、これで」

「はい、2500ゴールド丁度お預かりします。では、こちらが商品です。ありがとうございました。またのお越しをお待ちしています」

 接客態度は元の世界と何ら変わりないんだよなぁ。まぁ変に違ってても困るけど。

「それじゃあ、何か甘い物でも食べに行こうか?」

「さんせーい。わたしも丁度、甘い物食べたかったんだ~」

「あたしも食べたい。早く行こうよ」

 こうして僕らは雪菜の服を買った後、宿屋近くの喫茶店でパフェとかケーキとかアイスクリームとかをコーヒーや紅茶と一緒に頼んで、幸せなスイーツタイムを楽しんだ。美少女二人に囲まれてスイーツ食べれるって、夢のようだよね?でもこれは現実で一人は妹、一人は彼女だから、僕ってかなり恵まれてるよな。

「お兄ちゃん、あーん」

「ユキヤ、あーん」

「あーん♪」

 しかも、こんな感じだからなんかもう元の世界に帰れなくてもいいような気がしてきた。あぁ、マジで幸せだよ。

「ユキヤ君、モテモテだな」

「ワッ。どっから出てきたんだよ、ゼロ?」

 僕らの直ぐ後ろのテーブルにゼロとユーノがいた。二人ともなんかニヤニヤしてこっちを見てるし。幸せの時間に水差すなよ。

「で、何のようだよ?」

「そんなにつれない態度、取らないでくれよぉ。俺様、こう見えても結構繊細なんだぞ」

「そうだよユキヤ。用がなかったら話しかけたらだめなのかい?」

「そうじゃないけどさ。わざわざ、幸せな時間に水を差さなくてもいいじゃないか」

「どんな時間だよそれ?」

「可愛い妹と可愛い彼女に囲まれて、甘い物を食べてる時間だよ」

「まんま、そのまんまだね」

 ゼロとユーノが絡んできて、そう聞いてきたから、ありのままに答えたら呆れられた。しょうがないじゃないか、本当のことなんだから。

「可愛いだなんて。エヘヘ、褒めてくれてありがと、ユキヤ」

「お兄ちゃん、あたし嬉しい」

 よくよく考えたら、今の僕って相当恥ずかしい台詞を口にしたんだった。ヤバい、恥ずかしすぎる。でも、照れてる二人も可愛いよ、本当に可愛いよ。ここが外じゃなければ今すぐに抱きしめたい位可愛すぎる。………何だろう、僕がどんどん変態チックになってるのは気のせいかな?

「ユキヤ、あんた少し自重した方がいいよ。なんかゼロ並にアレだよ」

 気のせいじゃなかった。ヤバい、ゼロ並って相当ヤバいぞ。このままじゃ取り返しのつかないことになる。それだけは阻止しないと。僕はある意味深刻な悩みをない頭を捻って解決策を探った。

「俺様って、ユキヤ君より酷い状況なのかよ?」

「ユキヤのは直るかもだけど、あんたのは酷すぎてもう直らない病気と一緒だよ」

「俺様既に病気扱い!?」

 ゼロが何かぎゃあぎゃあ騒いでるがそれどころじゃない。どうすればいいの。どうしたら、どうすれば?馬鹿だな、僕。

「あぁ、何かもうどうでもいいや。本能の赴くまま生きていこう」

「それじゃ駄目だろう?もっとしっかりしろ」

「お兄さん、負けちゃだめですよ」

 僕が色々と諦めていると何時の間にかレイとリアが直ぐ横のテーブルに座って、パフェを食べていた。何て神出鬼没な奴らだよ。

「レイは結局、リアとどうなったんだよ?」

「どうも何もない。今日は暇だったから買い物に付き合ってやっただけだ」

「私が無理を言ってちょっと付き合ってもらったんです」

 よく見れば、買い物袋と思われる袋がすぐ横に置いてあった。何だかんだでリアに対して優しい奴だよな。

「世間一般的には、それをデートと言うんじゃないのかい?」

「そうそう、こっちもこっちで熱いねぇ」

 ユーノとゼロがレイをからかい始めた。まぁ、確かに二人の言う通りではあるんだけど。さて、レイはどう出るのかな?

「何!?そうだったのか?リア、お前知ってて僕を誘ったのか?」

「ユーノさんもゼロさんも余計なこと言わないで下さいよぉ」

 レイの奴、気付いてなかったのかよ。意外と天然なのな。リアはリアでなんかしょげちゃってるし。

「でもさぁ、ゼロとユーノも人の事言えないんじゃない?」

 そう、二人の近くにも大量の買い物袋が置いてあった。これはどう言い訳してくるかな?

「俺らは家族だからな。それともユキヤ君たちは家族で買い物行った事ないのかい?」

「ふーん。ゼロにとってあたしはその程度ってことなのかい?」

「あの、ユーノさん?何で怒ってらっしゃるんですか?」

「うるさいっ。死にな、この馬鹿男ぉ!!」

「ぎゃあぁぁぁっ、暴力反対ぃぃぃ」

 ユーノがキレてゼロをフルボッコしにかかった。あぁ、そう言う事ですか。ゼロ、コイツも鋭いのか鈍感なのかよくわからない奴だよなぁ。

「ユーノも可哀想だな」

「ゼロじゃなくて?」

「わからないならそれでいいんだよ」

 そんな感じで一日が終わった。次の日僕らはロアの部屋に集まった。

「では、私からユキヤ、レミア、ユキナに依頼を出します」

「ちょっと待った。雪菜はギルドに登録した覚えはないぞ」

「こちらで勝手に登録させてもらいました。そっちの方が都合もいいので」

「勝手すぎないか?それ。雪菜はそれでいいのか?」

「お兄ちゃんと一緒なら何でもいいよ」

 何だろう、雪菜はこっち来てからそればっか言ってるな気がする。まぁ、本人がいいって言うならいいんだけど。

「それで、依頼の内容はユキナの適正属性を調べてくる事です。これからはユキナもこちらの戦力として数えますから、そのためのものです」

「僕らはどうすればいいんだ?」

 レイがロアにそう聞いた。まぁ、確かに何もしないなんてことはないだろうしな。

「残りの人たちと私でギルドの方に届けられた依頼の方を担当してもらいます。内容は盗賊団のアジトの壊滅ですね」

「それって私たちだけで大丈夫なんですか?」

「問題ありません。雑魚がせいぜい百人集まった程度ですから」

「いや、でも五人対百人てきつくないか?」

「大丈夫です。私に一つ効率的な作戦がありますから」

 そう言ってロアはリアとレイの懸念に笑って答えた。いや、滅茶苦茶心配なんですけど。

「では、お願いしますね。ユキヤ、レミア。それでは皆さん行きましょうか」

 そう言って、ロアはみんなを連れて行ってしまった。どうすればいいんだろう?

「じゃあ、わたしたちも行こっか?」

「行くって何処に?」

「だってここじゃあ、何かあったらロアさんに何されるかわからないし外行こうよ」「あぁ、そういう事か。んじゃあ行こうか。雪菜行こう?」

「うん。今行くよ」

 僕らは街の外に出てゼロとかと修行した森の方に向かった。あの辺なら特に問題ないだろうしね。

「じゃあレミアよろしく。僕の時みたいにやってあげてくれないか?」

「レミアさん、お願いします」

「う~ん、どうしようかな~?」

 何かいつもと反応が違うな?いつもなら快く受け入れてくれるのに。何でだ?

「じゃあね、条件二つでいいよ」

「ん、何だよ条件って?」

「ユキヤにじゃなくてユキナちゃんに何だけどね」

 僕にじゃなくて、雪菜に?内容が物凄い気になるな。

「何をすればいいんですか?」

「一つは簡単だよ。えっとねぇ、ユキヤを今度丸一日貸してくれない?」

「ようするに、お兄ちゃんと二人きりになりたいってこと?」

「うん、そうしてくれれば兄妹で二人きりの日があってもいいから。お願い」

「それ位だったらいいよ、もう一つの方は何ですか?」

「わたしのこと『お姉ちゃん』って呼んでくれない?」

 レミアがそう言った瞬間、雪菜の顔が曇った。いや、それはしょうがないんだけどね。

「レミア、それはちょっと厳しいかな?」

「わたし、何か不味いこと言っちゃったかな?」

「うん、かなりね」

 僕はしょうがないから、レミアに簡単に倖枝の事を話した。まぁ、何時かは話さなきゃいけなかったからな。丁度良いって言っちゃあ丁度良いんだけどね。その事を話すとレミアは自分がどんな事を頼んだのかがわかったらしく、その顔には後悔が浮かんでいた。

「ユキナちゃん、ゴメンね。わたし、無神経なことを言っちゃって。知らなかったって言っても言い訳にしかならないよね。ほんとにごめんなさい」

「ううん、大丈夫。もう、昔のことだから。そこまで気にしてないし」

「でも………」

 何か気まずいな。しょうがない、やれるかどうかわからないけど、あれにかけてみるか。

「とりあえず、適正属性を調べようよ。レミア、お願い」

「う、うん」

 気まずい空気の中、雪菜の適正属性を調べ始めた。うん、どうやらこれは………。

「風属性二系統だね。ユキヤと同じだね」

「これって家族間で同じって当たり前なの?それとも稀なの?」

「う~ん、普通は一人一人違くて、家族間で同じなのは珍しいね」

 何で普通の事が起きないんだろう、僕の周りや僕って。あれ?僕って確か普通の少年だったよね?そうだよね?

「お兄ちゃん。これで、どうすればいいの?」

「とりあえず、同じだから僕がコントロールの仕方を教えるよ。レミア、基礎を教えてあげてくれないか?」

「うん………。あのね…ユキヤ」

「大丈夫、僕も一緒にいるから」

「うん。ありがと、ユキヤ」

 多分、雪菜と二人きりになるのが気まずいんだろうな。雪菜もくっついて離れないし。嫌な壁が出来ちゃったな、二人の間に。どうにかしないとな、これは。

「んじゃあ、先に基礎の方を教えてあげてくれないか?」

「いいよ。じゃあまずは、属性の種類から………」

 この後、しばらくレミアの講義が続いて少し休憩を挟んで、コントロールに移った。つまりは僕の担当に移った。僕はまんまゼロに教わったことを雪菜に教えた。僕もそれ程詳しい訳じゃないから、どうしても受け売りが多くなってくるのは大目に見て欲しい。一通り教え終わったから、僕は一つの作戦に移ることにした。

「とりあえずはこんな感じかな。レミア、少しおなかが減ったから何か作って欲しいんだけど、いいかな?」

「え?うん、別にいいよ。ちょっと待っててね」

 そう、僕の作戦とは雪菜とレミアを倖枝に会わせることだ。とりあえず、雪菜がまだあの事を乗り越えてないとなると、ここで区切っとかないと色々と大変だからな。まぁ、死んだ人と会うのに払う対価が死の片鱗を見ることだから、何時でもいけるんだけどな。

「お兄ちゃん、何か変な臭いがするけど大丈夫なの?」

「雪菜、倖枝に、お姉ちゃんにもう一度会いたいと思ったことあるか?」

「………あるよ。何回も、もう一度会いたいって思ったことあるよ」

「ならいいんだ。変なこと聞いてゴメンな」

「ううん?大丈夫だよ」

「お待たせ~。出来たよ~」

 僕は雪菜の問いに答えず、逆にこっちから質問した。妹のことを無視するのは悲しいけど、これも雪菜のためだ。頑張ろう。そんなことを決意してると、レミアが料理を運んできた。うん、前回と同じで生物兵器だね。

「お兄ちゃん、これって………?」

「大丈夫、食べれるから」

 僕はそう言いきると、雪菜の口に無理矢理それを入れた。許してくれ、雪菜。どうか嫌いにならないでくれ。それで雪菜が気を失ったのを確認して、脈が動いてることを確認して、レミアに言った。

「レミア、とっても言い難いんだけどさぁ」

「何?何かあったの?」

「これ言っても、嫌いにならないでくれる?」

「大丈夫だよ。わたしは何時までもユキヤのことを想ってるから」

 僕はそれを確認して、レミアを傷つける覚悟でその言葉を放った。本当にゴメン、レミア。

「この前レミアの料理を食べた時、僕気を失っただろ?その時、意識だけ『此の世と彼の世の狭間に行ってたんだよ。そこでさっき話した倖枝と会って話をしたんだ」

「えっと、それってわたしの料理が酷いって事?」

「本当にゴメン。本当はこんな事言いたくなかった。でも、雪菜を倖枝と会わせてあげないと雪菜は進めなくなっちゃうから。それだけは避けなきゃならないんだ」

「ユキヤはわたしとユキナちゃん、どっちが大事なの?」

「両方だよ。どっちかなんて選べないよ。だから、レミアにも会ってもらいたいんだ、倖枝に」

「そうだよね。うん、ユキヤは優しいもんね。わたしたちのことをここまで心配して考えてくれるもん。わかったよ、わたしもそこに行くね」

 そう言うとともにレミアは自分の料理を僕の分一口分を残して、全て食べて気を失った。最後は僕だな。僕は覚悟を決めて、残りの一口を食した。それと同時に、意識が遠のいていくのもわかり、僕は気を失った。


 早速約束を破りました。風宮です。

 七連休で毎日更新するって言ったのに、二日間投稿できませんでした。すみません。話の内容は浮かんでくるのに、細部がだめなんですよ。全く浮かんできません。何とかしなくては。雪菜のキャラ紹介は次回の後書きでやるのでもう少しお待ち下さい。

 何時もより短い後書きですがそろそろ時間です。本当にすみません。それではっ。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ