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第十七話 「緊急事態。クソッ、何で雪菜が………」

「…き…ぃ」

 何か聞こえる。でも何が聞こえるのかがわからない。

「…きにぃ…きて…。ゆきにぃ…」

 ようやく、今まで聞こえてたのが誰かの声だとわかった。でも誰だ?

「ゆきにぃ…。幸兄起きてったら」

 そこまで聞こえて、ようやく誰が呼んでいるのかがわかった。コイツは…。

「倖枝…か?」

「うん。おはよう、幸兄♪」

 僕が目を開けるとそこには死んでしまった筈で、最近再会した僕の妹が、倖枝がいた。

「ここにお前がいるってことは、僕は死んだのか?」

「死んだって言うより、瀕死状態の方があってるかな?」

「じゃあ、この前みたいな状態か」 この前は、レミアの料理を食べた時だっけか?一回こういう状態を経験すると、人間って結構冷静なのな。動じない自分にビックリしている…と思う。

「この前よりかは酷いかな。それよりも、幸兄に知らせなきゃいけないことがあるんだ」

「何だ?雪菜になんかあったのか?」

「幸兄、悪いニュースだよ。覚悟して聞いてね」

 真剣な様子で倖枝はそう言った。何だ?雪菜に何があったんだ?

「実は雪菜が………、攫われた」

 この時程、僕は全身を雷に打たれた様な衝撃を受けた。雪菜が、攫われただと!?

「誰に?誰にだ?雪菜は誰に攫われたんだよ?」「幸兄たちが敵対してる組織『ブレイカー』のトップに。シェイド・ジョイントにだよ」

 嘘…、だろ?冗談だよな?冗談なんだろ。僕はそう言いたかったが、倖枝の目を見て本当のことだと悟った。クソッ。僕があの時、ヤツに聖槍を渡していたらこんな事にならなかっただろう。僕の所為だ、僕の所為で雪菜が………。

「ゴメンね、幸兄。私、約束したのに雪菜を護ってあげられなかった…」

「いや、倖枝の所為じゃないよ。僕の…、所為なんだ。僕が悪いんだ。」

「違うよ。悪いのは幸兄じゃない。幸兄の判断は間違ってなかったよ。悪いのは雪菜を攫った、シェイドだよ。幸兄、自分を責めないで。」 そうかもしれないが、やっぱり僕にも非がない訳じゃない。僕は守ってあの時誓ったんだから。となると、やることは一つだ。

「倖枝、雪菜が何処に連れて行かれたかわかるか?」

 そう、やることは雪菜を取り返すことだ。

「わかるけど…、一人で行くつもり?」

「そうだよ。これは僕の問題だ。みんなは巻き込めない」

「危険だよ。それでも行くの?」

「当たり前だよ。雪菜が待ってるんだから。」

 危ないのが嫌だとか、ヘタレたことを言ってる場合じゃない。急がないと、雪菜に何をされるかわからない。僕はもう妹を、大切な人を失いたくない。僕は覚悟を決めて、そう言った。「幸兄は昔から、私や雪菜の事となると、止まらなかったもんね。わかったよ。大好きな幸兄の頼みだもん、教えてあげる」

「ありがとう倖枝。助かるよ。」

 そう言うと倖枝は、何処からか地図を取り出した。何処から取り出したんだ?そしてそれを広げると、地図の真ん中付近を指した。そこには小さな島が描かれていた。

「これは幸兄のいる『クリアレス』の地図で、雪菜のいるところがここ、『メシア』って名前の島だよ。」

「メシア…、『救世主』か」

 メシアって…。こっちの世界じゃどうか知らないけど、僕の世界じゃなぁ。………救世主ねぇ。イヤな予感しかしないよなぁ。

「うん。ありがとう倖枝。じゃあ早速行ってくるわ。」

「気を付けてね。死んじゃダメだよ」

「わかってるって。大丈夫だよ。じゃあ、いってきます」

 僕はそう言って、狭間の世界を離れた。

「どうか、幸兄が無事でいれますように」

 最後に倖枝が何かをぽつりと言ったが、僕には聞き取れなかった。


「ここは………?」

 僕は目覚めると、見知らぬ部屋のベッドに横たわっていた。ベッドの横のいすには、レミアが座っていた。いや、これは正しくない。正確には、いすに座りながら僕の胸の上に腕と顔を置いて眠っているレミアがいた。

「気ぃ失ってる間、看病してくれたのか…」

 僕はレミアを起こさないようにそっとベッドから抜け出した。そして僕の武器を探すと、それらはすぐ近くにあり簡単に見つかった。僕はそれらを身に着けると、部屋から出た。

「何処へ行くつもりですか?」 部屋から出るとそこにはロアがいた。今一番会いたくなかった奴だ。

「何処でもいいだろ。散歩だよ、さ・ん・ぽ」

 僕は適当にあしらって外に行こうとした。こんな事に時間をかけていられない。

「一人で、しかもそんな体で『メシア』島に行っても、妹さんは助けられませんよ」

 僕は驚いてロアの方を振り向いた。

「お前、何で知っている?」

「べつに、ロアだけじゃあねぇぜ」

「あたしらも知ってるさ」

 何時の間にか、背後にはゼロとユーノもいた。

「先程戦闘を行った、キラとメアから聞き出しました。なんでも、捕まったらそう言えとシェイドに言われたらしいです」

「ユキヤ君、酷いんでねぇの?俺たちに何も言わずに行くのはさ」

「これは僕の個人的な問題だ。みんなには迷惑をかけられない」

 そう、僕の問題でみんなが傷つくことはないんだ。迷惑をかけることなんて出来ないんだ。

「迷惑なんかじゃないよ。わたしたちなら大丈夫だよ」

「お前は馬鹿か?今更そんな事を言うなんて」

「迷惑をかけられないとか、そんな事言われたら悲しいです」

 声のした方を向くとレミアとレイ、リアがそこにいた。

「でも、だからって…」

「わたしたちにとってユキヤは大切な仲間なんだよ?ユキヤはそう思ってないの?」

「思ってるよッ。大切だからこそ、みんなを僕個人の危険なことに巻き込みたくないんだ。大切な人たちが傷つくところを………もう見たくないんだよッ」

 僕がそう言った瞬間、バシッと、顔を叩かれた。

「そんなにわたしたちのこと、信じることできない?」

「信じてるよ。レミアのことも、レイのことも、鬼畜だけどロアのことも、ゼロのことも、ユーノのことも、会ったばかりだけどリアのことも、みんなのことを信じてるよ」

「だったら僕らが傷つくなんて考えを捨てろ。信じてるならこういう時に頼れ」

「そうだよ。こういう時に頼れないなんて仲間じゃないさ」

「仲間外れってのは、結構悲しいもんだぜ?」

「一人で抱え込まないでください。私たちは仲間なんですから」

「そういうことです。これでも貴方は一人で行こうとしますか?」

「ユキヤ、みんなでユキヤの妹さんを助け出そうよ!!」

 レイがユーノがゼロがリアがロアがそしてレミアが、みんなが僕のことを心配してくれたんだ。なのに、僕は一人で………。なんて馬鹿だったんだろ。そして、なんて狙い澄ましたような登場をする奴らなんだよ、全く。

「わかったよ。みんな僕の妹を、雪菜を助け出すのに力を貸してくれ」

「そう来なくっちゃな」

「任せておくれよ」

「私も頑張ります」

「わかりました。手伝ってあげますよ」

「当たり前だ。力なんて幾らでも貸してやる」

「ユキヤ、絶対に助け出そうね」

 こうして僕らは、雪菜の救出に向かうこととなった。


「ところで、鬼畜とはどういう事でしょうか?」

「ボクニハナンノコトダカサッパリダ」

 この後、僕はロアに地獄を見せられた。

 一応、この話って流れは決まってるんですよ。それでもたまに、流れをいじりたくなるんです。風宮です。

 当初、今回の話というより今回からの流れは、もう少し後の登場予定でしたが、話の流れ的にもこの辺りの登場の方がしっくりくるような結果となりこうなりましたね。

 順番が変わっただけで、話の構想は変わらないので、本当ならここにくるはずの話も、きちんとあげるので大丈夫です。何が大丈夫なのかはわからないけど………。 

 倖枝の再登場が今回になりましたが予定ではこの話で倖枝は出て来ない筈でした。でも、こっちの方が盛り上がりやすいのでこうなった訳ですが。

 

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