第十四話 「空前絶後。チートな能力を持つ少女。そして、敵のトップ登場」
「ここは…、どこだ?」
僕は気付くと、見知らぬ部屋のベッドで横になっていた。……?僕は死ななかったのか?
「おや。気が付きましたか。大丈夫ですか?あれから二日も目を覚ましませんでしたし。」
声のした方を向くと、この部屋に入ってきたばかりなのか、扉の前にロアがいた。
「恐らくは、大丈夫だと思う。迷惑をかけてすまない。」
「いえいえ、お礼ならリアに言ってあげて下さい。殆ど、彼女が看病してましたから。」
「僕は何故助かったんだ?普通ならあの傷では致命傷だろう?」
「それは、彼女に直接聞いて下さい。その方が早いので。」
「ところで、アイツはどこに行ったんだ?」
「彼女は買い出しをしてもらっています。そろそろ帰ってくるはずですが?」
すると、部屋の外からドタバタと足音が聞こえてきた。
「ロアさん、ただ今戻りました~。あっ、レイさん。起きたんですか?体の方は大丈夫ですか?」
「あぁ、とりあえずはな。ところで、僕はどうやって生き残ったんだ?ロアはお前に聞けと言っていたが。」
「それはですね、わたしの能力のお陰なのです。」
「お前の能力は転移じゃないのか?」
「いえ、それもあるんですけど転移魔法を含めて、わたしは三種類の魔法を使えるんです。一つはさっきも言った転移魔法、もう一つはレイさんを助けるために使った治癒魔法です。これは自然治癒力を上げたり、細胞の再生を行ったりできるんですよ。」
リアは特殊な魔法を使うとは言っていたが、まさかここまで規格外なモノを持っているとは思っていなかった。これは、ユキヤやレミアと合流した時の説明が、面倒だな。
「あと一つは、戦闘用と言いますか攻撃用の魔法ですね。まぁ、属性は普通の物じゃないんですけどね。それは今は関係ないんで置いときます。」
「そろそろ、いいですか。とりあえずレイネス、あなたはもう動けますか?」
「問題ないと思うが。どうしてだ?」
「いえ、特に意味はありませんが。まぁ、あなたの体の安否を確認しただけですので。」
…!!驚いた。こいつにこんな人間らしい所があるなんて。明日は何だ、槍でも降ってくるのか?
「貴方は一度、地獄を見たいのですか?」
クソッ、一瞬でもこんな奴が人間らしいなんて思った僕が馬鹿だった。読心術なんて無くなってしまえ。
「まぁいいでしょう。では、今まで集めた情報を貴方達に話してあげましょう。」
「そういえば、まだ聞いていませんでしたね。アハッ、忘れていました。てへっ。」
コイツ、ふざけているのか?僕の中に怒鳴りたい気持ちが、沸々と湧き上がってきたが、話が逸れそうだったので我慢した。
「『ブレイカー』の目的が分かりました。『先時代の宝具』が奴らの狙いです。」
「すいませ~ん。『先時代の宝具』って何ですか?」
「『魔剣』、『妖刀』、『霊斧』、『聖槍』、『神爪』そして、『王銃』の六つの武器のことです。それらを全て集めると、すさまじい力を得ることが出来るらしいんですが、詳しいことはよくわかりません。」
「『聖槍』というのは遺跡にあった物、今はユキヤの持っているアレか?」
「そうです。そして、最悪なことに少なくても、向こうには既に『霊斧』と『神爪』が渡っています。」
「それって、かなりヤバいんじゃないんですか?」
「あぁ、最悪だな。」
いや、最悪じゃ済まないのかもしれないな。下手をすれば、残りを全て集められてもおかしくないくらいだ。それを防ぐためには、残りを僕たちが手に入れなくてはいけないだろう。
「…場所の見当はついているのか?」
「『魔剣』と『王銃』の場所は見当がつきます。ですが、残り二つについては未だに所在は不明です。」
「そうか。なら、ユキヤ達と合流しないか?情報を共有しなくては、どうしようもないだろう。」
「そうですね。その方がいいでしょう。では、明日になったらリアの転移魔法で『ミアネス』に戻りましょう。」
「?レイさん。ユキヤさんって誰ですか?」
「僕の仲間だ。後は、明日会ってから本人に聞くといい。」
「そうですか。わかりました。それじゃあそうします。」
そういって、僕らはその日一日を自由に過ごした。
次の日、僕らは街を出て少し離れた森に行った。
「それじゃあ、転移魔法を発動するんで、少し離れててください。」
そう言うとリアは地面に指で魔法陣を描きだした。
「案外、普通なのだな。特殊といっても結局の所、基本は普通の物と変わらないのだな。」
「当り前ですよ。私が思うには、リアの魔法は特殊なのではなく、私たちの使う魔法の発展形だと考えています。」
「どういうことだ?」
「今度、説明してあげますよ。どうやら、準備も終わったようですし。」
ロアに言われて気付いたが、成程どうやら準備が終わったみたいだ。
「それじゃあ、転移するんで陣の中に入って下さい。」
僕とロアはリアに言われた通りに陣の中に入った。
「入りましたね。じゃあいきますよ。『時空を越え、光となり、我らを定めし場所へ送りなさい。』」
リアがそう言うと足下の魔法陣が光り出し、僕らは光に呑まれ、次の瞬間には『ミアネス』の街壁が目前に広がっていた。
「ふ~。無事に着きました。あう~わたし~疲れちゃいました。」
「お疲れさまでした、リア。いや~本当に助かりますよ。リアがいれば旅費が半分になりますから、必要経費も少なくすみますし、本当に彼女は重宝しますよ。」
ロアの鬼畜具合が、一日でかなり上がっている。昨日、何があったんだ?
「おや、『死染」のロア殿ではありませんか。」
僕らは急に聞こえてきた声の方へ振り返った。そこには三十を少し越えた位の男が立っていた。髪は灰色、襟足の部分を結んでいる。背は190有るかないかくらいだ。そこまではまだ普通だ。僕らが驚いたのは、僕やリアならまだしもロアすらも気配を感じなかったことだ。
「貴方は…シェイド・ジョイント!!何故貴方がここに?」
「何、聖槍を貰い受けに来たのだよ。『鈴無 幸也』君からね。」
その男-シェイド・ジョイント-はそう言って不気味に笑った。コイツが僕らの敵。気配取りすら出来なかった僕らに勝ち目は有るのか?そんな事を考えながら、向こうからユキヤたちから来ていることに気づかなかった。
僕らはこんな奴に勝つことが出来るのか?
はい、今回のお話でレイネス視点は終わりです。
次からはまた、ユキヤ視点に戻します。
今回はキャラ紹介なしで、もう十話程度話が進んだら、敵キャラの紹介もしていきたいと思います。文中で正確にキャラの特徴を表現できない未熟な僕をお許し下さい。
今回もいくつか伏線はありましたが、今までの伏線含めて回収のめどが立っておりません。ですが必ず回収するのでご安心を。
十数分前に投稿する予定というより昨日投稿するつもりが、今日になってしまいました。つくづく、自分の計画性のなさに呆れます。
こんな作者の作った作品ですが、これからも頑張っていくので応援よろしくお願いします。