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第十一話 「タッグバトル開始。前衛二人対前衛一人後衛一人ってキツくない?」

 僕らは目が覚めた後、朝食を食べてから森を抜けて草原に出た。

 「広いとこに出たし、サッサと始めようぜ~。」

 「チョット待て。そっちは前衛二人だろ?後衛のいるこっち不利じゃね?」

 「大丈夫サ。あたしがしっかり、前衛相手でも戦えるように教えたから。」

 「だからって、パワー負けしちまうだろ。」

 「わたしなら、だいじょぶだよ。心配しなくても、平気だよ。」

 「わかったって。じゃあレミアちゃん以外、魔法禁止な。これで文句ねぇだろ。」

 「それでいいよ、ありがとうな。ベテラン相手だから、自信なくてな。」

 僕は必死になって、ハンデを付けて貰った。いやだってあの二人の本気に勝てねぇもん、僕じゃね。レミアは良いとしても、僕に自信はない。これでようやく、対等だと思う。

 「じゃあ、今回の条件はレミア以外の魔法使用禁止、武器ありのタッグバトル。どちらかのチームの戦闘不能で終わりとするよ。これでいいね。いくよ、構えな。」

 そう言うと、ユーノとゼロはそれぞれの武器を構えた。よく見ると、ゼロの双剣が変わっていた。刀身が湾曲している。多分、片刃剣だ。僕はそんな事を考えながら剣を構え、レミアも双銃をホルダーから抜き、臨戦態勢にはいった。

 「じゃあいくよ。覚悟しなっ。」

 ユーノがそう言って、僕の方へ突っ込んできた。あの、これって模擬戦ですよね?覚悟っておかしくね?そんな事を考えながらも、僕はそれに対応した。二十メートル位離れたところでは、ゼロがレミアに向かっていったようだ。とはいえ、ゼロは攻撃を防いでるだけだ。さすが女好き。女の子には剣を向けられないらしい。見直したぜ。そんな事を考えながら、僕はユーノの素早く打ってくる拳を全てとはいえないが、ダメージを喰らわない程度に避けている。確かにユーノの言うとおり、動きは何倍も早くなったみたいだ。

 「やっぱり早くなってるねぇ。ゼロ、交代しなっ。あんたの方が上手くやれるよ。」

 「だから言ったっしょ、俺様がユキヤ君とやるって。ユーノもレミアちゃんとの方が効率良いっしょ?」

 「確かにそうみたいだね。後は任せたよ。」

 そう言うとゼロとユーノが交代し、僕VSゼロ、レミアVSユーノになった。こうなると、こっちも予想通りだ。僕はゼロと距離をとり、レミアのそばに行くと、レミアに聞こえる程度の小声で言った。

 「作戦通りにアレを仕掛けてくれ。」

 「任せて。準備できたら、合図送るから。」

 レミアの返事を聞き、速攻でレミアから離れた。まとまると厄介だからな。

 僕はゼロに接近すると、剣で斬りつけようとした。しかし、それは右の剣で防がれた。そして左の剣で反撃してきた。それを僕は、バックステップで避け、間合いを取ろうとした。だが、ゼロはそれを許さず、素早く間合いを詰めてきて、双剣での流れるような連撃を繰り出してきた。僕はそれを剣で防いだ。確かに反撃は難しそうだが、この程度では防御は崩れない。そう思いながら、連撃を防いでいるとゼロがニヤリと笑った。僕が不思議に思うと、ゼロは剣を逆刃持ちに持ち替え、腕を交差させた。次の瞬間、ゼロはその状態から両の剣を振りぬいた。僕はそれを剣で防いだ。だが次の瞬間、僕は自分の目を疑った。なんと、僕の剣がそれにより折れてしまった。どうやら、ゼロの剣は両刃の湾曲剣だったらしい。

 「ちょ、これ酷くねぇか?」

 僕は、レミアの方をチラッと見た。なんとか、準備は終わったみたいだ。今は双銃を乱射してユーノを近づけないようにしていた。僕はそれを確認すると、ゼロに殴りかかった。それは意外だったのか、それはゼロの腹にクリーンヒットした。それでゼロが怯み、そこにさらに掌低を叩き込み、ゼロをダウンさせた。その後、レミアの元へ駆けていった。

 「レミア、あれの準備はいいな?僕が二人を誘うから、仕掛けた場所に入ったら合図するから、発動してくれ。」

 「わかったよ、まかせて。」

 僕はそう言いながら、二人の様子を見た。ゼロは起き上がり、ユーノは乱射から逃れ、ゼロと合流した。

 「なぁ、二人とも僕一人でまとめて相手してやるから、来いよ。」

 「いいぜ。希望通り、そうしてやるよ。」

 「後悔すんじゃないよ。あたしたちをまとめて相手にすることを。」

 何だろう、二人のセリフが雑魚キャラっぽく聞こえる。そんな事を考えていたら、二人がポイントに入ってきた。

 「今だ、発動しろ。」

 僕はそう叫んだ。それと同時に、レミアが二人の足元に銃弾を撃ち込んだ。すると、ほかに地面に打ち込まれた銃弾が光りだし、それらは地面に魔法陣を描いた。

 「うおっ。やべぇ、何だこれ?」

 「し、しまったね。嵌められたよ。」

 魔法陣からは、すさまじい冷気が吹き出し、二人の足は凍りついた。これではもう、動けない。計画通りだ。

 「あ~あ、これじゃもう駄目だな。俺様降~参。それよりも氷、溶かしていい?凍傷になっちまうんだけどよぉ。」

 「確かにこれじゃあ、もう戦えないね。あたしも降参だよ。」

 そう言うなり、ゼロは自分の魔力を使い、自分たちの下半身の氷を溶かし始めた。数分後、氷を溶かしきるとテンション下げた状態で話しかけてきた。

 「あ~らら。俺様としたことが、あんな安い挑発に乗っちまうなんて。落ちたもんだぜ。」

 「まさか、こんな事が出来たなんて。甘く見てたねぇ。」

 「いや、僕もこんなに上手くいくなんて。レミアのやり方が上手かったんだな。」

 「でも、こんな事を考えついたのはユキヤでしょ?あたしはただ、指示通りやっただけだよ。ユキヤの作戦の勝利だよ。」

 そう、今のは僕の考えた作戦だった。昨日寝る前に、考えついた作戦だった。最初のハンデの話も、作戦のうちだった。ゼロの魔力はこの作戦の唯一の穴だった。相手が魔力さえ使えなければ、氷は溶かされない。そうすれば、速やかに戦闘終了だ。レミアの魔力をテストしてみても、この程度のことは普通に出来たので、問題はなかった。え?いつ確かめたって?朝食前にだけど、何か?

 「ユキヤって、奇策練るのが上手いね。この前の遺跡の時も結構危ないものだったけど、成功したし。」

 「ユキヤのそれは、立派な才能だよ。奇策師を名乗ったらどうだい?」

 「何でそんな、白髪頭のそこそこ偉い女が名乗ったようなもん名乗るんだよ。」

 二人は頭に?を浮かべたように見えた。ヤベッ、こっちじゃ通じないネタだった。西尾維新読みたいなぁ。てか、本読みてぇ。こっちの世界の文字読めねぇんだもん。英語も苦手だけど………。あぁ、日本語が恋しいよ。

 「ユキヤ君が何言ってるのかわからねぇけど、向こうがそろそろ恋しいんじゃねぇか?」

 コイツも、結構勘が鋭いよな。こういうことは、感心するよ。

 「まぁ、そんなとこかな。」

 「向こうって何だい?」

 「実はかくかくしかじか………。」

 「ゼロ、かくかくしかじかじゃ何言ってるのかわからないよ~。」

 ゼロがふざけた事を言っていると、レミアがツッコミを入れた。こっちにも、かくかくしかじかってあったんだ。ところでこれって誰が作ったんだろう?作った人は偉大だと思う。

 「とりあえず、戻りながら話すよ。どっちにしろ、いつかは話さなくちゃいけなかったんだし。」

 僕は街に戻りながら、今までのことを話した。流石に、レミアの料理と夢については話さなかったけど。

 「聖槍を抜いたことは知ってたし、タダ者じゃないとは思ったけどまさか異世界から来たなんてねぇ。アンタも色々と大変だったんだねぇ。」

 「信じてくれたんだ。こんな突飛な話を。」

 「ゼロもロアも信じてるんだろ?だったらあたしが疑う必要はないよ。」

 「俺様の名前が先に出たってことは、俺様かなり信頼されてんじゃん。もしかして、俺様のことす………、グハッ。」

 「黙りな、この馬鹿男。自意識過剰もいい加減にしな。」

 ゼロのセリフの途中で、ユーノが腹に一撃喰らわした。そのせいで、ゼロが何かピクピクしていたが気にしないでおこう。

 「ちょ、少しは心配してくれよ。俺様の扱い、酷くない?」

 「だいじょぶ、ゼロは丈夫だから。」

 「レミアちゃん、それフォローになってないぜ~。」

 その後、僕らはとりとめのない話で笑いながら、街に戻った。

 街の入り口に辿り着いた時、僕らはレイたちを見つけた。僕はこの後、衝撃の事実を知ることになるが、それはしばらく後の話になる。

 

 次回から、しばらくレイネス視点で別行動中の話になります。

 ユキヤ視点ではないので、気をつけて下さい。

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