天国の道
ぼくの彼女は完璧な女だ。
日本中の男どもが俺様に嫉妬するだろう
小さな顔に大きな目
そしてアヒルのようなかわいい口元。
さらに、今では絶滅してしまった日本人らしい艶やかな黒髪。
アジアンビューティー
まだまだ沢山あるが、最大の魅力は、その巨乳だ。
まさに奇跡。
こんな美少女に、あんな武器を持たせていいのか。
神は二物を与えたのか。
彼女は人間なんかじゃない。
たぶん天使なのだろう
僕はそう悟った。
そんな天使と、僕は、今、遊園地に来ている。
世界中が不況の中、ネズミ人間の家はとても豪邸だ。
ゴージャスだ。
ネズミ人間は、自分の家を他人に勝手に入られて、不快じゃないのか?
おぞましくないのか?
しかし、そんな事は、どうでもいい。
僕の隣にいる天使の笑顔を見ると、そう思えた。
「ねぇ、鼻くそおじさん。 ジェットコースターでも乗ろうよ。」
彼女が僕に、ネズミの帽子を被せながら言ってきた。
鼻くそおじさんとは僕のことで、彼女は、友達や他人の事を名前では呼ばず、ウンコ野郎や耳くそ兄貴、ケツの穴など非常に独特の言い方をする。
鼻くそおじさんは、ジェットコースターは苦手なのだが、ここで断ると、男らしくない。
そして、なにより
鼻くそおじさんの名が廃ってしまう。
一番怖くなさそうな、テーマがメキシカンマウンテン系のに乗ることにした。
行列に並んでいたが、ネズミ人間の安っぽいパレードがあったので意外とすぐに乗れた。
そのジェットコースターは、6人乗りで、鼻くそおじさんのカップル以外に、2組のカップルがいた。
「一番前に乗っちゃおうよ。」
彼女が僕の手を強引につかんで、一番前の席座らせた。
僕はそわそわしながら、後ろの席を見ると、ブサイク同士のカップルが座っていた。
類は友を呼ぶ。
僕の彼女が、このカップルを見てしまったら、カップル達の名前は馬糞男、馬糞女になってしまうだろう。
そうなってはいけない。
僕は彼女の注意を必死にひきつけようとしたとき、
「ヂリヂリヂリヂリ。」
鼻に付くようなおぞましい音とともに、
ジェットコースターが動き出した。「カタカタカタカタ。」
なんと不快な音だろう。
人間の恐怖をあざ笑うかのようなその音は、
ジェットコースターをすぐに一番恐怖を感じる場所に連れていき、
そして、
急降下した。
これを考えた奴は大馬鹿者だ。
あのフワッとした感覚。
あれが嫌いでこの乗り物には乗りたくはなかった。
この感覚があとどれくらい続くのか
考えるだけで、吐き気がした。
しかし、せめての救いは、
彼女が怖がっている僕を安心させるために
僕の手をつかみ、
「私の乳を揉んでいれば大丈夫だよ。」
と言って痴女のように手を乳に擦り付けてきた。
昨日食べた物を全部吐きそうになっていたが、
彼女の乳を揉むと、不思議と冷静を取り戻せた。
しかし、次の瞬間、
彼女の乳パワーがあっても冷静ではいられなくような事態がおこった。
ジェットコースターが落ちた。
何の前触れもなかった。
順調に進んでいたジェットコースターの車輪が外れ、
地面に落下していった。
下はアスファルト
このまま行けば、間違いなく自分は死ぬだろう。
いい家族に恵まれとても幸せだった
やりたいこともいっぱいあった。
童貞のままでは死にたくなかった。
しかし、最後に彼女の乳を揉めたんだ。
我が人生としては素晴らしき人生だった
ジェットコースターはそのまま地上に落下していき、
地面に激突した。