ガールズソード 魔王討伐は婚約破棄の後に
ここは、ドルワル王家の舞踏会場。 紳士、令嬢たちが華麗にダンスという名の花を咲かせる場所。
しかし、その会場で突然、とある令嬢の怒号が響き渡りました。
来客たちはその声の主に注視するのでした。
そこには、険しい顔をした二人の令嬢が、一人の令嬢を咎めているではありませんか。 令嬢たちは続けて、彼女に強くあたります。
「この犬の飼い主はアンタ? 婚約者だからって、犬をこんな場所に連れて来るなんて理解不能だわ」
「ドルワル様に縋り付くなんて、身の程を知りなさいよ」
「そうよアヤティス。 アンタなんて、目に触れるだけでも不敬よ」
「ガルル」
「そんな! 酷い⋯⋯」
「なにが酷いのです。 ドルワル様の婚約者は、このお方⋯⋯ユイベル様に決まっているんです。 突然現れた貴方なんかには務まりませんわ」
「ふふ、当然よねアカーナ。 なんたって私の後ろ盾には貴方がいるんですもの」
「ガルル⋯⋯」
「そんなことないわ。 私とドルワル様は、運命によって導かれているの。 そう、共に魔王を討伐する運命にね⋯⋯」
「まあ、汚らわしい女。 そうやって媚びて、他の男を虜にしたのかしらね?」
「ガルル⋯⋯」
会場の冷たい目が、アヤティスに向けられました。 彼女はただ向けられる嫌悪な視線に耐えることしか、出来ませんでした。
そんな中現れたのは、渦中の王ドルワル。
ドルワルは来賓たちを掻き分け、こちらにやって来ました。
「⋯⋯これは、なんの騒ぎだ」
「ドルワル様。 こちらのアヤティスが不敬な発言をしたものですから、咎めておりましたの」
「⋯⋯私はただ、ドルワル様が魔王を討伐する運命だと、申し上げたまでです」
「ガルル⋯⋯」
アヤティスは控えめに。 しかし、彼の目を見ながら話しました。
ーーすると。
「ははは、傑作だ! アヤティス。 私が魔王を討伐だと」
その嘲りを込めた笑い声に、彼女は絶望感を覚えた。
「くだらぬ、世迷子をほざきおって⋯⋯アヤティス。 お前との婚約を破棄する!」
「ガルル⋯⋯」
突き放すように告げられた、宣言に固まるアヤティス。 その発言に一番に声を上げたのは、ユイベルだった。
「ふふ。 無様ね、アヤティス。 さあ、ドルワル様。 私と一緒に⋯⋯」
「さあ、行くぞ。 アカーナ」
「はい。 ドルワル様」
ドルワルがアカーナの手を引いて、ダンスを踊ろうとする。
当然、それを阻止するのはユイベルだった。
「どういうことですの。 私を婚約者にするのではないのですか?」
「貴様、不敬だぞ! 衛兵よこの者たちを追放しろ」
「⋯⋯そんな。 アカーナ! 貴方からもなにか⋯⋯」
「さっさと、追放してくださいね。 ⋯⋯邪魔な虫が消えて嬉しいわ」
「ガルル⋯⋯」
「⋯⋯この負け犬も一緒にね」
こうして、アヤティスとユイベルは追放されたのだった。
「なんでよ。 どうして私まで追放されなきゃならないのよ。 こうなったのもアンタのせいだからね、責任をとってよね」
「ガルル⋯⋯」
「ユイベル、ここは冷えます。 場所を変えませんか?」
「はあ? どうしてアンタと、一緒に行動しないといけないのよ。 アンタの辛気臭い面を見ていたら、こっちまで気が滅入るわよ」
「魔王様、大変です! 奴らが城に攻めて来ました!」
「城の守りを固めろ! この城に奴らを入れるな!」
この城の主ーー魔王は、撃退を部下に任せて酒盛りをしていました。
「ふう。 人間如きが、この魔王には向かうなんて100年早いわ」
「あれ? 魔王様、酒盛り中? おかわりいる?」
「魔王。 討伐します、覚悟!」
「ヌウ。 貴様なに奴! グハ⋯⋯体が動かぬ。 まさか、この酒に毒が」
魔王はなにも抵抗が出来ず、そのまま息を引き取りました。
「⋯⋯呆気なかったわね。 こんな雑魚のために、私たち無駄に時を過ごしたのかしら、アヤティス?」
「過去は戻らない⋯⋯ 私たちは進むだけよ、ユイベル」
「はわわ。 これがコトネ様のお力です」
「ガルル⋯⋯お、体が! 魔王にかけられた呪いが解けてた⋯⋯」
「貴方様は、英雄ケンタロウ様!」
こうして、魔王を討伐した彼女たち。
城を根城とし、やがて国家を築き世界にこの名を轟かせるのであった。




