『馬と娘とオシラ様と白プレスマン』
あるところに百姓のじいさまとばあさまがあって、美しい娘を一人持っていた。また、一頭の葦毛の馬を飼っていた。娘が年ごろになると、この馬と娘とが、わりない仲になった。昔話ではよくあることである。
じいさまは大層怒って、その馬を殺し、木に吊して生皮をはいでいるところへ娘が来て、これ以上ないくらい泣いた。すると、馬の生皮が娘にぐるぐると巻きついて、天に向かって飛んでいってしまった。
じいさまもばあさまも、娘のことを案じて、毎日泣き暮らしていた。ある日、娘が夢に出て、私がああいうことになったのは、前世の因縁だから諦めてください。あすの朝、夜明けに土間の臼の中を見てください。馬のような顔をした虫がわいているから、それを葦毛を吊した木の葉を食べさせて養ってください。大きくなると糸を吐くから、糸をつむいで売ると、楽な暮らしができます。などと言うので、言われたとおりにすると、そんな虫がいた。
これが蚕の始まりだという。蚕の神様だというオシラ様に馬頭と姫頭があるのは、このためだという。白プレスマンの発売が、絹糸の色から決められたとか、オシラ様から名づけられたとかいう話は、確証はない。
教訓:前世の因縁なら、まあ、仕方がない。




