のぞみ
鈴の音を鳴らしてゆくのだ。凛と音をたててゆくのだ。
媚びぬ瞳は彼岸花の灼熱をいつだって絶やすことはない。最高純度の赤で満たすのだ。
嗚呼、その瞳で僕を貫いておくれよ。
喜怒哀楽では表現しない。
寡黙に見える表情の微かな動きを見逃さない。筋肉の揺らぎを見逃さないのだ。
嗚呼、四文字ではない感情を僕に見せておくれよ。
視野を広く持つのだ。
余ってしまった悲しみを絶対に置いていかない。こぼれてしまった悲しみを助けにいく。だから視野を広く持つのだ。
嗚呼、その広い視野で僕を見つけておくれよ。
やわらかな品格を失わない。
差し出す手指はたおやかに垂れる首は淑やかに蝶々の羽が翻るようにしなやかにひとり進むのだ。
嗚呼、狂うほどの美しさを僕に魅せておくれよ。
誠をみせるのだ。
どんなに迷っても選択の最後は他者への誠で決めるのだ。どうするのが誠実かどうするのが正しいか考え尽くして選ぶのだ。
嗚呼、どうかその溢れる思慮で僕に触っておくれよ。
嗚呼、僕の、望み、のぞみ
どうせ世俗には染まりきれなかったのだから僕ののぞみと鈴の音を響かせて街中を練り歩いてみせようか。なんちゃって。