プロローグ
「ねぇ、いつか私を殺しに来てよ。」
そう少女は、闇に告げながら微笑んだ
返事は帰って来ない。が、満足したように少女は頷き、深い眠りに沈んでいった。
少女は生まれつき死ぬ事が出来ない身体だった。
17を迎えた時から老いることも無くなり、人々は何年経っても美しい容姿を保ち続ける少女のことを『聖女』だと、神の寵愛を受けている神子だと、崇め奉った。
しかし、最初の頃は娘だからと大切に育てていた家族も、聖女だと崇めていた人々も、時が経つと次第に欲の混じった目で少女を見るようになった。
ある日少女は欲に溺れた人々に襲われ、穢された。
自分に優しくしてくれていた人々が、自分が優しく接していた人々が、急に自分に牙を向いた事実に少女は耐え切れず、自害を試みた。何度も、様々な手段で。
―――少女は死ねなかった。
狂ったように自殺を繰り返しなお生き続ける少女を、人々は魔女だと罵り魔女狩りの対象にした。
火に炙られても死ねず、ギロチンでも死ねない少女は、痛みに悶えながら純粋だった心を蝕む恐怖で狂っていった。
どれだけ処刑しても殺せない少女に怯えた人々は少女を幽閉した。
少女が外に出る事が叶ったのは、国が疫病に犯されて滅んで暫く経ってからだった。
少女は誰も居なくなった国でただ1人孤独に暮らす事になった。
死にたいと、そう願いながら。
物語はお楽しみ頂けたでしょうか?
私は猫足月と言います。小説を書いて投稿するのはこれが初めてで、色々と拙い部分はあると思いますがそこはご愛嬌という事で。
今後も作品を乗せていきますがどうか暖かい目で見ていただけると幸いです。
それではまた次の物語でお会いしましょう。