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ヤンデレ男装王女は逆ハー狙いのスパイ女装令息を堕としにかかる

作者: 下菊みこと

ヤンデレ男装王女は逆ハー狙いのスパイ女装令息を堕としにかかる

僕は王子だ。王太子は弟である。


僕はアレクサンド・フィリップ。この国の王子だ。この国はここ最近戦争ばかり繰り返していて、当然のように勝ちまくり超巨大国家として成立している。そしてそのため、色々な人間に恨まれている。そして王家は、とある魔女から呪いを受けていた。それは、王家に生まれた女児は幼いうちに呪い殺されるというもの。それも結構えげつない死に方をするらしい。だから僕は、それを避けるため男として育てられてきた。そう、僕は本当は王女なのである。


当然のように弟が王太子になっている。下の妹達もとりあえず王子として育てられている。僕はこれから王女として公式に発表されるらしい。…正直困る。王子としての教育も、王女としての教育も受けてきたのでとりあえずなんとかなるとは思うが、一応王子として生きてきたので今更王女として扱われるのもむず痒いし、適当に公爵位でももらって男として独り身で生きて、適当に一人で終わりたい。


…と、最近までは思っていたのだが。好きな人が出来た。れっきとした男だ。ただし女装して逆ハーレム狙っているけれど。


彼はクリスティアン・ノルン。第一王子である僕をはじめとして、騎士団長令息殿や魔術師団長令息殿、公爵位序列第一位令息殿、公爵令嬢の使用人の平民。主要な人間全員を堕としにかかっている。みんなすぐに彼に惹かれていた。僕だけは節操のない女性だなと引いていた。だがある日、彼の懺悔を聞いてしまった。


彼はその日、一人でこっそりと学園の中庭で猫と戯れていた。それをたまたま見ていた僕は、可愛いところもあるじゃないかと、こっそりとその様子を見ていた。しばらく猫と戯れた後、きょろきょろと周りを見回してまた猫と向き合う。僕がその可愛いらしさに少し胸を打たれた後、彼は猫と戯れながら懺悔を始めた。彼は亡国の王子であること。この国に攻め落とされたこと。この国に復讐するため自分の美貌を使いスパイ活動をしていること。


僕は、彼の秘密を知ってしまうと、その愛らしさ、いじらしさに徐々に惹かれていった。そして、彼を救いたいと思った。


そこから僕の行動は早かった。彼をこっそりと転移魔法で攫って、僕の部屋に閉じ込めた。彼の国には魔法はなかったらしく、彼も魔法を使えなかったので、魔法で彼を拘束してしまえば大した抵抗もなかった。


「な、何をするんですか!アレックス様!」


「クリスティアンこそ、酷いじゃないか。僕達を騙していたなんてね」


クリスティアンは青ざめる。どうしてそれを、と零す彼に追撃をかける。


「君は亡国の王子なんだってね。女装趣味なのかい?」


「違う…私は、私っ…」


「僕達のこともスパイ活動のための遊びだったんだよね」


「…ご、ごめ」


「僕達もすっかり騙されていたよ。酷いことするね」


「ごめんなさい…」


「でも仕方ないか。復讐のためだもんね?」


「…」


「でも、王族である僕だけならともかく、彼らまで巻き込むのはどうかなぁ?」


「…ごめんなさい」


「…ま、僕も人のことは言えないのだけど」


「…え?」


「だって僕も、王子ではなく王女だからね」


「!?」


クリスティアンは驚いて顔を上げる。可愛い。


「まあ、そういうことだから。めくるめく夜を、始めようか」


「えっ…いやっ…!」


「女の子見たいな反応だね。可愛い。君の祖国を滅ぼした国の、王子に抱かれようね」


「いやあっ!」


そうして僕達は、めくるめく夜を過ごした。


ー…


今日は僕達の結婚式。と言っても、二人きりの、だけど。


僕は結局あのあと、王籍を離れ公爵位をもらって、独り身で生きていくことを選んだ。もちろん、こっそりと彼を連れてこちらの領地に移り住んだ。


「幸せにする。愛しているよ、クリスティアン」


「アレックス様…私…」


「これからも、僕が死ぬまで守ってあげるからね」


こうして僕達は、鳥籠の中、小さな愛の巣でいつまでも幸せに暮らしたのだった。

メリバってこういうことですか?

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