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SOS 226 ソフィア2

「……へえ、こんなところがあるのねー。

手入れはしばらくされてないみたいだけど、

面白いのが生えてるじゃない」


 ラジにつれて来られたのは

街外れにある草の生えた一角だった。


 一般人からすれば、

ただの雑草が生い茂る空き地だが

ソフィアからすればここが薬草などを

自然に近い環境で自生させる目的がある

実験的な土地だと直ぐに理解出来た。


「さすがですね……先生は」


「それはどうも。ところで、

これは誰の持ち物なの?

放置されてるけど、かなり優秀な

作り手みたいね」


 ソフィアがまじまじとそこに自生している

草花を見る。その眼は真剣であり

何かを読み解こうとする研究社のそれだった。


「……僕の、お父さんです」


「へえ、ラジの? 薬学の仕事をしていたのかしら?」


「いえ、お父さんは、ただの農家だって言ってました。

ここは、お父さんの趣味の土地です。仕事の傍らで

薬草を育てていたんです」


「ふぅん? だからかしら。面白い分類の箱庭ね。

独学、いや亜流かな。何にせよ、結構あたし好みかな」


 そこでふと、ソフィアは今更の疑問に手を止めた。


「……ん? ちょっとまって。

ラジって、確かもう……」


「はい。両親は居ません。今は

兄と姉に養って貰っています。まだ、

薬師としての稼ぎがありませんから」


 ふわりと、香りが鼻に付いた。

この箱庭からではなく、人工的な香りだった。


「そうそう、それでね?

呼び出してもらうことにしたわけさ」


 ソフィアが振り返ると、そこには小柄な少年が立っていた。

見た目は若いが、実年齢はその限りでは無い。地人族の特徴だ。


「……何か用? おっさん」


「ごあいさつだねー? やっぱり同族じゃあ

誤魔化しが出来ないか」


 少年はカラカラと笑うが、ソフィアは全く面白くなさそうで

死んだ魚のような目になっていた。


「……え? 何? これってそういうこと?

裏切り者に死を、的なあれ?」


「そこまでじゃないけど、まあそんなとこだね。

やっぱり何も無しってわけには、いかんでしょう?」


 地人族の男が、ラジに話しかける。


「ラジ君。そこにいる平原の娘を殺せば、

君のお父さんの箱庭は君のものだよ。

兄姉に気を使うことも無く、自由に使える土地さ」


 ソフィアはなんとなく構造が読めた。

金の無いラジが、小さいとはいえ土地を買うことは

到底出来るものでは無い。

 そこに付け込んだのが、この男というわけだ。


「(……ラジの思考力も奪ってると考える方がいいわね。

さて、どうする? 薬でも盛られてたら、面倒だけど……)」


「申し訳ないけど、考える時間は与えないよ?」


 地人族の少年が、懐から瓶を取り出す。


 ソフィアが左手に付けている指輪がちかりと瞬いた。

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