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SOS 225 ソフィア1

「……と言うわけで、調合の際に最も必要なものは

その調合材の明確な振り分けです」


 ソフィアは細工工房の奥にある、薬師小屋にて

調合の講習を行っていた。


 カルマリには一名しかいなかった高齢の薬師は

先日の騒動で命を落としていた。


 他国、多種族の薬師が来ることに

最初懐疑的だった面々も

ソフィアの知識量と講師としての能力の高さを

目の当たりにしてから、手のひらを返したように

授業に熱心な取り組みを見せていた。


「先生。しかしそれは、ギルドからの納入の際

必ず振り分けされておりますが」


「はい。ですが

純度についてはある程度の目安しか

保証されていません。

また、生産地、移送中の保管状況によって

明確な区分を行う必要があるのです」


 最初はやや面倒そうなソフィアだったが、

今では講師役が板に付いている。

 ……理由として、薬師を目指す男は

大概が肉体労働ではなく

こういう知的労働を好み、かつ

若く幼い優男が多いことも大きな要因であった。


「(……鬼雪が居なければ、持って帰って

摘まみ食いするのに……)」


 と、ソフィアは至極真面目で凛とした

表情を崩さず、劣情全開の

思考回路をしていた。


「……あれ? 今日もラジはお休みですか?」


「ああ。あいつ最近、変なんです……。

家にもいないし、どこで何やってるのか……」


 一番仲の良かったフリオがやや暗い顔を見せる。

最悪なことに、ソフィアはそういうのも

大好物であった。


「(……親友を思う少年……、

ヤバい。めちゃ好みなやつ。

妄想はかどるわー……)

そう。わかったわ」


 キリッという擬音がぴったりの表情で

ソフィアは講義を続ける。



 午後の講義を終え、ソフィアは寄り道をしながら

帰路についていた。


 そこまで遅くならなければ、

あの鬼雪も小言ぐらいしか言わない。


 多分、ご主人様に何かを言い含め

られてのことだろう。


「(……確かに、鬼雪でなくても

心配になるほどお人良しよねー、

あのご主人様)」


 お店を冷やかしながら、ソフィアは

ぶらぶらと歩く。


「あ、あの先生。……ソフィア先生」


「ん? ラジ? こんなところで

……どうしたの?」


 ラジの住まいとは反対の商業地区だ。

何か用事でもあったのか。

……ちなみに、なぜ住まいを知っているのかは

ソフィアにしか理由が分からないことだろう。


「お話が……ちょっとお時間、

よろしいですか?」


 ソフィアはそこで、気になる匂いに気がついた。

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