SOS 185 白雪5
ピースには妙な馴れ馴れしさが
あるものの、情報源としては優秀だった。
シロは間に挟んでくる睦言を
あしらいながら、必要な情報を得た。
普段はこういう手合いは全員
文字通りの口封じをしていたが、
今回は珍しくそのまま生かすことにした。
情が沸いた訳ではなく、単純に
情報源として惜しくなったからだ。
シロの生きる世界では、情報は
なりより価値のあるものだった。
「ま、飲み比べで私に勝てたら、
今度は好きにさせてあげるわよ」
それだけ言うと、
シロは二階の窓から飛び出す。
ピースは頭をポリポリかきながら、
既に昼を過ぎている街の景色を見渡した。
「世知辛い世の中だねえ~……」
シロは情報を元に、ゼンと使用人が暮らしている
家に張り付いた。予想通り、
神導術対策は施されているが
物理的な侵入には無頓着だった。
シロの身体能力であれば、
侵入は造作もない。
しかし、今回は慎重に事を進める。
情報の不確かさが、シロの警戒線に触れたのだ。
「(……この時期、この状況で
先王の隠し子なんて、
キナ臭いにもほどがある。
殺すとしても、本当の情報が欲しい…)」
気配を絶ち、ひたすら潜む。
壁一枚向こうには対象者がいる。
こちらに気付く気配は無く、ずっと真面目に
作業を続けていた。
子供のお小遣い程度の仕事に対して、
やけに真面目に取り組んでいる。
「(……王族とは思えないわね……)」
シロは疑問を持つ。王族や皇族など
シロにとっては働かないブタのような存在だった。
そこにいるゼンとは、似ても似つかない。
続けて待っていると、使用人が帰ってきた。
主人を独りにして外出など有り得ない。
やはり彼女たちは純粋な使用人ではなかった。
会話を聞いて、外出する事を知る。
シロは考え、先に動き出す。
言っては何だが、あの二人程度の護衛であれば
無いも同然の戦力だった。
「(……期限まであと3日。
どうする………?)」
ゼンを殺す事は確定している。
しかし、ゼンが殺されるほどの
業を背負っているとも思えなかった。
「(……理由が知りたい。
本当の理由が)」
シロは駆ける。明日を生きる為に。
自分の命を賭け続ける。




